#1 “付き合ってみないと分からない”から始まった、モラハラ実録記
モラハラ💥
経済DV💥
風俗💥
一口馬主💥
借金💥
10年の婚姻生活を経て、2020年、脱走完了。
出会いは、いわゆる合コンだった。
共通の趣味は「旅行」。
といっても、当時の私は氷河期にやっと入れた会社で働く、薄給のOL。
年に2回ほどの国内旅行と、夏のボーナスで年1回の海外旅行。
ごく平均的な“働く女”だった。
元夫は違っていた。
長期の休みをとって、ヨーロッパをバックパッカーで旅するのが常。
話は面白くて、地図も時差も越えるような時間が、ふたりの間に流れていた。
「旅行いいですよね」「あの町、行ったことあります?」
そんな会話だけで、どんどん盛り上がっていった。
後に元夫は「鉄道マニア(乗り鉄)」と判明するが、この時は隠していた。
「アズさんと話してると、楽しいな。また会ってください」
そう言って、元夫は名刺を差し出した。
勤務先は、大手。
“ちゃんとした人”に見えた。
⸻
2回目のデートは、イタリアンでのディナー。
とにかくよく褒める人だった。
「アズさんって可愛いね」
「そのワンピース、すごく似合ってるよ」
大人になってから、そんなふうに素直に褒められる機会って意外と少ない。
私は戸惑いつつも、悪い気はしなかった。
帰り道。
夜の街の交差点で、元夫が言った。
「……アズさん、付き合ってください」
たった2回のデート。
ほんの少し、頭の片隅に警告灯のようなものがよぎった。
ちょっと待て。
2回しか会ってないのに大丈夫なん?
でも、その直後、もうひとりの自分が囁く。
「また、そうやって用心深く立ち止まるのは、アンタの悪い癖やで」
「付き合ってみないと、何も分からんやん」
気づけば、私はその言葉に背中を押されていた。
「はい、お願いします」
——そうして、あの10年が始まった。
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