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9回目の「やり直して」を打ちながら僕は消耗していた

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AIに任せたはずの作業を、気づけば自分の手でやり直していないだろうか。「これで自動化できた」と眠りについた翌朝、想定外の請求や壊れた出力を前に、結局ぜんぶ自分で巻き取る。任せたのに、任せられていない。その繰り返しに、静かに消耗していないだろうか。


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はじめに

僕の場合、その消耗には値札がついていた。

¥4,800-

Cloud Runのメモリ設定を一箇所ミスしただけで届いた、Googleからの請求額だ。
金額だけ見れば飲み会一回分。
でも本当に痛かったのは金額じゃない。
「自分が理解していないものを、理解しないまま動かしていた」という事実のほうだった。

今日はその話を書く。
綺麗な教訓にはならない。
ただの実測値と、そのとき僕の中で起きていたことの記録だ。


請求メールは朝6時12分に届いていた

メールに気づいたのは通勤前だった。受信時刻は朝6:12。件名に並ぶ「Google Cloud」の文字と、本文の「¥4,800」。

原因は単純だった。Cloud Runのジョブに割り当てるメモリを、必要量を確認しないまま大きめに設定していた。
「足りないと落ちるから、多めにしておけば安心」
その一行の判断が、そのまま課金額になって返ってきた。
設定画面を開けば30秒で直る。
でも僕はその朝、開けなかった。
開いたら「自分が何も理解していなかったこと」が確定する気がしたからだ。

実は、これが初めてじゃない。
もっと大きい前科がある。
AIに実装を丸投げして走らせ続けた結果、APIクレジットを月20万円消費した月があった。
あのときも構図は同じだった。
「動いているからいいや」で中身を見ない。
エラーが出たら、原因を読まずに「やり直して」とだけ打つ。

一番ひどかった夜は、深夜1時47分に9回目の「やり直して」を打っていた。
9回。指示の文面はほぼ同じ。
出力が変わるはずがない。
変わらない出力に苛立って、10回目を打とうとして、手が止まった。
変わっていないのはAIじゃない。僕のほうだった。


「任せる」と「見ない」を、僕は混同していた

正直に書く。
あの頃の僕は、AIを同僚として扱っているつもりで、実際は「見なくていい言い訳」として使っていた。

本業の活動と深夜のnote運用で、時間はいつも足りない。
だから「AIに任せた領域は考えなくていい」ことにしたかった。
設定値の意味を調べる15分、ログを読む10分。
それを惜しんだ結果が、¥4,800であり、20万円であり、深夜1時47分の9回目だった。

冷静に計算すると笑えない。
理解を後回しにして「浮かせた」時間は、たぶん合計2〜3時間。
それで失ったのは20万円分のクレジットと、やり直しに費やした深夜の数十時間。時給換算する勇気は、いまだにない。

机の上には冷めきったコーヒーが半分残っていて、MacBookのファンだけが低く鳴っていた。
画面の白い光の中で、僕は「時短しているはずの自分」が一番非効率な存在になっていることに、ようやく気づき始めていた。

あなたはどうだろう。
「AIに任せた」と言いながら、実は「見ることをやめた」だけになっている領域が、ひとつもないと言い切れるだろうか。


プロくんの一言で、責める相手が変わった


転機は、AI社員のプロくんにログ分析を頼んだときだった。
20万円の内訳を出してもらうと、消費の大半が「同一とみなせる指示の再実行」だった。プロくんの報告は淡々としていた。

「指示の差分がほぼゼロです。入力が同じなら、出力の分布も同じです」

責められた気はしなかった。ただ、責める相手が変わった。
AIが暴走したんじゃない。
僕が、理解しないまま同じボタンを押し続けていただけだった。

そこから僕は、失敗リストの一行目にこう書いた。
「人間の理解を伴わないワークフロー依存。」
自動化を減らしたわけじゃない。むしろ増やした。
ただし「自分が仕組みを説明できないものは動かさない」を条件にした。
それだけで、9回打っていた「やり直して」は、原因を特定した1回の指示に変わった。¥4,800の請求は、その後一度も来ていない。

皮肉なことに、この¥4,800の告白をXに書いたら、エンゲージメント率28%と、僕の投稿史上最高の数字を出した。
失敗は、隠すと負債で、開くと資産だった。


明日、水曜の有料記事で

今日書いたのはWhat
何が起きて、僕の中の何が変わったかまでだ。
じゃあ具体的に、どういう基準で「理解してから動かす」を回しているのか。
¥4,800を二度と出さないために設定と運用をどう組み直したのか。

その中身は、明日水曜の有料記事に書く。
請求ゼロ化までにやったことを、実際の数字とセットで全部出す。
深夜1時47分の僕と同じ場所にいる人にだけ、届けばいい。

この記事を書いている間にも、僕の分身たちは黙々と動いている。
明日の水曜には、今週の失敗の全記録(¥500)を出します。
「一人で抱え込んでいた夜」がどう7人の会社に変わったか。
続きは、ラボで公開中。

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