【投資のパラダイムシフト】AIがソフトウェアを「消滅」させ、世界は再び「物理」に回帰する
今回は、話題のこちらの記事(The death of the (software) services economy)を和訳し、noteの特徴を活かし、表層的ではありますがキャッチアップできるよう纏めました。
「AIによってサービス経済が死にゆく今、我々は再び『ものづくり(物理的な構築)』へと戻ることになるだろう」
先日、友人であるアレックス・キャンベルとの対話の中で出たこの言葉は、現在の市場が直面している本質を、たった一行で見事に射抜いています。彼はゴールド・バグ(金強気派)であり、同時にAI企業のオーナーでもある。この稀有な視点を持つ彼との会話は、私が過去12〜18ヶ月の間、自身のポートフォリオで少しずつ、しかし確実に行ってきた「シフト」を完璧に正当化してくれました。
今、投資とビジネスの最前線で何が起きているのか。なぜ「形のないソフトウェア」が輝きを失い、「実体のあるハードウェア」が主役に返り咲こうとしているのか。その背景を深掘りします。
1. ソフトウェア・サービス経済の「崩壊」が始まった
かつてソフトウェアは、PE(プライベート・エクイティ)や投資家にとって「永遠の寵児」でした。一度作れば無限にコピーでき、高額なサブスクリプション料を取れる「金のなる木」だったからです。
しかし、AI(特にClaude Codeのような次世代ツール)の登場が、このビジネスモデルの根幹を揺るがしています。
高額ライセンスの無価値化: ロイター、ファクトセット、マクロボンドといった金融プラットフォームに、年間数万ドルのライセンス料を払う意義が薄れています。AIとPythonを駆使すれば、同等の機能を自社内で、しかもわずかなコストで構築(インソース化)できてしまうからです。
「プロセス」から「結果」への移行: これまでは「便利なツール(過程)」に金を払っていましたが、これからはAIが導き出す「結果」にのみ価値が置かれます。その結果を出すためのコード自体は、もはやコモディティ(日用品)となり、価格は月額99ドル、あるいはそれ以下へと暴落していくでしょう。
2. ボトルネックは「物理(リアル)」へと移動した
ソフトウェアが「無限に供給される安価なもの」になったとき、価値の源泉は逆方向に移動します。すなわち、ソフトウェアを動かすために必要な「有限な物理資源」です。
物理的な制約の顕在化: AIを動かすには、膨大な電力、データセンター、そしてそれらを構築するための鉄鋼、銅、希少金属といった「物理的な素材」が不可欠です。現在のDX(デジタルトランスフォーメーション)を阻んでいるのは、コードの不足ではなく、電力網やサプライチェーンといった物理的なボトルネックです。
地政学による「二重の供給網」: トランプ政権の関税政策や米中の地政学的分断により、世界は「効率的な一つの供給網」から「安全のための二重の供給網」へと舵を切りました。これは、実世界におけるインフラ投資が爆発的に必要とされることを意味しています。
3. クリプトの「原罪」と2026年の分水嶺
現在、市場はビットコインやイーサリアムを「ソフトウェア株」と同じバスケット(分類)に入れています。これが、現在のクリプト・サイクルの「原罪」です。
クリプトが2026年以降に真の飛躍を遂げるには、この「無限供給のソフトウェア世界」から脱却し、「有限供給のハードウェア・実物資産の世界」へとデカップリング(切り離し)できるかが鍵となります。 コードは安くなりますが、そのコードを走らせるためのインフラや「物理的なアンカー(支え)」を持つ資産こそが、最も価値を持つのです。
4. 2027年、クレジット市場に「ゴキブリ」が現れる
不気味な予兆もあります。過去数年、買収案件の約25%がソフトウェア関連でした。プライベート・クレジットの帳簿には、高値で掴んだソフトウェア企業の「多額の含み損」が眠っています。
現在は政策による大規模な設備投資(CapEx)の勢いで隠されていますが、2027年頃、このソフトウェア価値の崩壊が表面化し、クレジットサイクルにおける「ゴキブリ(予期せぬ欠陥)」として噴出するリスクがあります。
エピソード:私がハードウェアへ舵を切った理由
私自身、2024年から2025年にかけてソフトウェア分野で多くの経験をしましたが、そこで見たのは「内製化による契約終了」の連続でした。 自分が経営する小規模な調査会社でも、AIを活用することで高額な外部ソフトを次々と解約できました。自ら手を動かし、AIを使って「自分で直せてしまう」時代に、旧来のサービス経済に固執するのはリスクでしかありません。
だからこそ、私はポートフォリオを「ハードウェア、リアルワールド・アセット(実物資産)」へと大きく移しました。市場が「コードの価値」を疑い始めた今、実際に「ものを作る(Build stuff)」ための物理基盤に投資することこそが、次の10年の勝機だと確信しています。
まとめ
私たちは今、歴史的な転換点に立っています。
ソフトウェアのプレミアムは消滅し、価格破壊が起きる。
価値は「コード」から「物理インフラ」と「実物資産」へシフトする。
「プロセス」ではなく「結果」を、そしてそれを支える「物理的裏付け」に投資せよ。
マージン(利幅)がどこへ移動しているのか。常にその「物理的な所在」を見極め、ポジションを整えておく必要があります。
Build stuff again.(再び、ものを作ろう)
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