挿入歌付き恋愛小説~ドラマ名場面を添えて~
ずーっとこんな気持ちで生きていくのでも平気だと思ってた。
元々恋愛に興味ないし、面倒くさいことに巻き込まれるし、年々自分のことを知られるのが怖くなって自分のことを話そうとしたら泣いちゃうから、家族の前でも本音で話したことがない。そして、たとえ恋が成就しても別れる日がいつか絶対に来る。家族や友人でさえ、そうなのだから。
始まらなければ終わらない。中学生の頃にはそんな風に考えるようになっていた私は恋愛小説は読んでも、ドラマや映画には興味が湧かなかった。恋愛経験がない訳ではないけれど、自分から好きになったことはなかった。好きになろうとがんばってみたこともあったけれど結局始まる前にいつも終わった。同性からの心無い言葉にビクビクしていたというのもあるけれど。
そんな私が最後に恋をしたのはたぶん大学の先輩だ。そこそこ慕っていた兄がバンドオタクだったからその真似事をしたいというのもあった気もするけれど、その先輩に憧れてベースを始めるくらいには好きだったんだと思う。
ドラマや映画を観ないから、流行りの音楽は友達とのカラオケで知るくらいでCDを買ったことすらなかったから(そもそも買える場所がわからなかった)、慌てて兄や友達やTSUTAYAにお世話になって好きな曲を探したくらい。我ながらチャレンジャーにもほどがあると今なら思うけれど、好きな曲を聞かれて勧めたアルバムを「へえ、俺も聴いてみよう」なんて言われるくらいで、ドキドキするんだから恋煩いとはなんと恐ろしきことか。
今思い返すと何ともややこしい恋だった。相手は三つ上の先輩で仲良くしてくれる女性の先輩もその先輩が好きで何度も告白していたと聞いた。同じバン研の子にも、その先輩が好きだと先に打ち明けられ「私も」なんて言えるはずもなくて……誰にも打ち明けられないまま、雪のようにひっそりと、ゆっくりと恋心を溶かして消すしか、私にはわからなかった。
とても優しい先輩だった。学園祭での私の演奏は漆黒歴史並みにハチャメチャだったにも関わらず、ゼミの催し物でイチゴシェイクを販売していたら「美味しい、美味しい」とお腹がゆるくなっても何度も来てくれた。裏で作業していても、「いる?」みたいな感じで覗かれたら、イチゴ増し増しになってミキサーとともに頭から煙が出るかと思った。全くもって、らしくもない。こんなに平静を装えない私、自分でも知らない。
その後にあったOB・OGも参加する飲み会でOGに当たる女性の先輩に「あんた、まだ彼女いないの?この中でタイプの子いないの?」的なことを問われた先輩は私の名前を挙げてくれた。嬉しくなかったわけじゃないけれど純粋に喜べるほど私は鈍感じゃなかった。
悲しいほど瞬時に気づいてしまったから。
先輩が本当に好きな人は、その女性の先輩だってことを。相手は既に結婚していたから、なんとかして諦めようとしているんだろうなってことを。それでも忘れられないから他の人から告白されても断ってきたんだってことを。
相手の女性は弟のように接していたけれど、先輩の視線が全てを物語っていた。隠してるつもりだったのかもしれないけれど、丸分かりだった。きっと私も同じように先輩のことを目で追い続けていたんだろうなと感じて、恥ずかしくなった。
それでも私への想いも嘘じゃないというのもちゃんと感じていた。ベタだけれど風邪を引いてしばらく休んでいたら心配してメールをくれてアパートのドアノブにポカリや冷えピタや風邪薬が入った袋をぶら下げてくれていたこともあったから。
私からアクションを起こせば、何か変わっていたのかなと思ったこともなくはないけれど未だに忘れられない相手がいる人に自分の想いをぶつけられるほど、私はズルくなれなかった。何よりも、先輩の好きな人と私は真逆なタイプだったから……まだ煙草も吸えない年齢だったけれど
こんな風なことをやってみたいと思ったこともあるくらい私の心の奥に潜んでいた願望を具現化したかのようなロック好きでサバサバしていて、かっこいい女性だったから。嫉妬なんてものは湧かなかった。むしろ私自身も憧れるような雰囲気の人だったし、私のことも可愛がってくれて、すごく嬉しかった。
もしかしたら先輩も私の想いに気づいていたのかも、なんて今更ながら考えてみる。でも同じようにズルくなれなかったのかな、とも思う。そんな先輩だからこそ、私は惹かれたんだとも思うから。
本当の初恋がこの恋であるなら最後に選ぶ曲は何がいいかすごく悩んだ。それを考えているうちに、こんな私も好きになった恋愛?ドラマがあることを思い出した。その名も『カルテット』
「全員片思い 全員嘘つき」というキャッチコピーに惹かれたのにリアタイではなぜか1話で脱落しちゃったけれど、その後、何度観ても泣いてしまう回がある。
それは8話の満島ひかりさんが演じるすずめちゃんと就職した先の社長の根本さん(ミッキー・カーチスさん)が話すシーン。
「私の好きな人には好きな人がいて、その好きな人も私は好きな人で。うまくいくといいなあって」
っていうすずめちゃんに
「君の『好き』はどこ行くの? 置き場所に困らないのかね」
って根本さんが心配してくれるのだけれど、ここでいつもダバダバ泣いちゃう。その後のすずめちゃんの台詞もとても素敵で「私の好きはその辺にゴロゴロしてるっていうか」というのもすごくよくわかる。
友達が同じ人を好きなのもそう。好きな人に他に好きな人がいるのもまさにそう。どっちも好きだから、自分からは行けない。たぶん向こうから来ても私の心の扉は開かないし、開けない。自分でも開き方がわからないとか、どれだけこじらせてんだよって話だけれど。当時の私は仲良くなった人はみんなすぐにいなくなっちゃうって本気で思っていたから。
強がっているだけで、本当はすごく寂しがり屋だったのかもしれない。優等生ぶっていたけれど、わがままも言ってみたかったのかもしれない。
今も理由のわからない涙をシャワーとともに流しているくらいだから。寝なければ明日にならない謎理論で、昨日は一睡もしていないくらいだから。
この曲を恋愛ソングと捉えていいのかは、わからないけれど私の気持ちはこの曲にほぼ集約されているといっても過言じゃない気がする。(何ならこの曲を紐解いてもう一作書きたいくらい。だから、アイネクライネとも悩んだんだけれど、そっちはそっちでいくつか違う作品と紐付けたくて、すごく悩んだ😢)
だって私は昔から私がいないところで好きな人達が幸せそうにしている姿を、遠くから見られたらそれだけで眼福だって思っているから。
ね、何にも役に立たない話だったでしょ?
おしまい
(全部フィクションだよ〜🙋)
~エンドクレジット~
・『こいのうた』GO!GO!7188
作詞:浜田亜紀子 作曲:中島優美
・『染まるよ』チャットモンチー
作詞:福岡晃子 作曲:橋本絵莉子
・『カルテット』
脚本:坂元裕二
出演者:満島ひかり/ミッキー・カーチス
・『眼福』米津玄師
作詞・作曲:KenshiYonezu
【追記のあとがき】
何でこういった作品になったのかというと今回の場合はふと思い出した曲から文章を紡いでいくうちに挿入歌のように思い浮かんだ曲や作品を選ばせて頂いたというのが実情なのですが……YOASOBIさんは小説を基に曲を作ると知り、答え合わせのように読み比べ、聴き比べをしたこともあったのを思い出したので、逆も然りと思ったというのもゼロではないかもしれないです。
私は基本的に原作が先派なので映像ものは読み終わった後に観ることが多いです。(じゃないと脳内で映像の人物が思い浮かんじゃうので……)あとはやっぱり原作者へ敬意を払いたいというのもあります。映像物の中には改悪されて問題が起きた作品も多々あるし、ひどいものは主人公の性別すら変えられているし、ここに投稿している方ならよくわかると思いますが、ゼロからイチを作り出すのってすごく大変なんですよね……
そして、どれだけ映像物がヒットしても原作者は先に支払われた額しか頂けないと嘆いていたのも見かけたことがあります。そういう意味ではオマージュだからこそ、しっかりと記載した方がいいかな?と思い、改めて映画のようにエンドロールクレジットを加えることにしました。また人それぞれに異なる曲や作品のイメージへの配慮も今後、考えていかないと……とも。まだまだ試行錯誤中ですみません🙇(ネタバレ防止線ってなかったっけ……?)
ほんでもって関係あるような、ないような話なのだけれど『染まるよ』のプロデュースに亀田誠治さんが携わって歓喜!私が直感で惹かれる曲って調べると必ずといっていいほどベーシストとしても尊敬している亀田さんの名前が出てくるんですよ👏同じ曲でも亀田さんが加わると輝きが増すんですよ、本当に!(だから、東京事変は色々ありながらも大好きなバンドすぎた😢)そんな発見もあるから、やっぱりクレジットって大事だと思った私なのでした。
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