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最下位支店に来てすぐ分かった、成績が悪い"超シンプルな理由"

#創作大賞2026
#お仕事小説部門

1か月で、この支店が万年最下位な理由が分かった。拍子抜けするほど単純だった。

羽曳野での勤務が、とうとう始まりました。

羽曳野支店はロードサイド店。駅から10分以上歩きます。
最寄りは近鉄南大阪線の古市駅。

社員寮から布施駅までは電車で10分程度でしたが、今回はちょっとした長旅です。
近鉄大阪線で鶴橋へ、JRで天王寺へ、そこから近鉄あべの橋駅まで歩き、再び近鉄で古市へ。

近鉄 → JR → 近鉄という謎のリレーで、所要時間は約50分。

古市駅から支店までの道中には、白鳥陵古墳があります。
日本武尊の墓とされている古墳で、ヤマタノオロチを退治したヒーローのお墓です。

なんとなくご利益がありそうな気がして、毎朝わざわざ古墳の前を通って出勤していました。

そして、なぜこんな場所に店舗があるのかというと——
レンタルビデオ店に併設されているからです。

しかもこの店舗、少し特殊な仕組みになっていました。

レンタルビデオ店の会員カードを作る際、
キャッシング機能に関する約款と承諾欄があり、そこにサインをすると(後日審査はありますが)、ビデオだけでなくお金も借りられるという、当時としてはかなり画期的なシステムです。

おそらく、サインした人の中には、それが消費者金融のカードローンと一体になっているとまで認識していない人もいたのではないかと思います。

さて、初日は支店メンバーへの挨拶から。

篠田支店長(男性)
40代後半、巨体で色黒メガネ。実はパソコンオタク。頭は良いのだと思いますが、かなり適当な雰囲気の人。

矢島さん(男性)
役職なし、50歳前後。リーゼントに鋭い目つきで、いかにも債務者を追い込みそうな風貌。

金田さん(女性)
契約社員。大阪っぽい金髪のお姉さんで、接客はすべてコテコテの大阪弁。

福島さん(女性)
小柄でおしゃれ。大阪出身らしいけど、どこか神戸っぽい柔らかい雰囲気。

そして僕を加えて5人。
福島さんと僕を除けば、見た目だけなら“絵に描いたような街金の事務所”です。

そんなメンバーで1か月ほど働いて、
この支店の回収成績が悪い理由が、なんとなく見えてきました。

消費者金融の債権管理はシンプルです。
電話、手紙(通知)、そして訪問。

特に初期督促でしっかり電話の数をこなして取りこぼさないことが重要です。

電話がつながらなければ手紙、
それでもダメなら訪問。

やること自体は、とてもシンプルです。

しかし——

同僚の矢島さんは、まず電話する前にシステムとにらめっこ、これまでの督促の経緯などを読み、「こいつは電話してもでーへんわ」などブツブツ言いながら、なかなか言い訳を探して電話をかけません。

お客様との会話の口調は見た目ほど荒くはなく、むしろ穏やかですが、
とにかく電話(架電)数が少ない。

僕が10件電話している間に、2〜3本程度かけるかどうかです。

羽曳野はエリアでも最小規模の支店なので、繁忙期でも2人で回せば1日3回転は余裕のはずですが、矢島さんは自分の担当を1回転できるかどうかという状況でした。

おそらく初期督促での取りこぼしが多いと思われました。
小規模支店ゆえに1件50万円の債権の影響が大規模店とはけた違いに大きくそれが支店の回収率に影響します。

さらに、中長期延滞を担当していた前任の梶原さん(格闘技好き)の記録を見ると、成績が悪いにもかかわらず、あまり訪問には行っていない様子でした。

つまり——

初期督促で取りこぼし、
膨らんだ中長期延滞は電話と通知だけで対応し、焦げ付いた債権が多ふくらむ悪循環。。。

これでは成績が悪いのも当然です。

エリア内では、羽曳野市や松原市は「地域的に厳しい」と言われていましたが、僕から見れば、ひったくり日本一(当時)の布施も大差ありません。

Fラン大卒の新人でも、原因はすぐに分かりました。

というわけで、来月から
支店の成績爆上げ大作戦を実施することにしました。(続く)


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