スパイラルライフとかスクーデリアエレクトロとかキャラメルボックスの話
スパイラルライフ Spiral Life を教えてくれたのは、大学時代のバイト先の後輩だっただろうか。最近聴く曲がないと言ったら、「スパイラルライフなんてどうです?」とCDを貸してくれた。たしか『FLOURISH』だったと思う。
この『FLOURISH』がなかなか良くて、自分でも集めてみようと思い、スパイラルライフのCD探しが始まった。今のようにサブスクもないし、ポチれば何でも手に入る時代でもない。ネット通販もあるにはあったが、まだまだ怪しさが残っていた時代だ。「Amazonって最近よく聞くけど大丈夫?安全なの?」そんな時代もあったのだ。
とにかくCDを手に入れるためには自分の足を使って探すしかない。関東の田舎の、自分の行動範囲内で探すのは骨が折れたが、幸いにも何枚かのCDを手に入れることができた。
そんな折、ネットの掲示板で偶然、スクーデリア エレクトロ Scudelia Electroの情報を得た。今のようにPCでググれば何でも情報が見つかる時代ではない。知りたいことを知るには、ある程度目星をつけて検索する必要があった。「解散後のスパイラルライフ」について自力でたどり着くことはできなかったが、本当に偶然にも、1人はAIRとして、もう1人はスクーデリア エレクトロを結成して活動していることを知ったのだ。
そうと分かれば、またCD集めである。AIRは比較的順調だったが、困ったことにスクーデリア エレクトロのCDが私の行動範囲内では見つからない。行動範囲を広げたり、店員さんに相談して取り寄せればよかったんじゃないかと思うのだが、当時はそれをしなかった。
しばらくして、たまたま立ち寄った「地元でしか見かけないチェーン店らしき中古ショップ」で偶然見つけたのが、1stアルバム『Scudelia Electro』である。もちろん即買して自宅で再生。1曲目に収録されていたのが『GOOD BYE NAUTILUS -さよならノーチラス号』で、これが、私が石田ショーキチを意識してちゃんと聴いた初めての曲だと思う。もちろん彼のサウンドはスパイラルライフで聴いていたのだが、恥ずかしいことに当時はどちらが作詞作曲してどちらが主に歌っていたかなど、曲の情報にほとんど関心がなく、石田ショーキチサウンドを明確に意識したのは、この曲が初めてだったはずだ。

「スクーデリア エレクトロええなぁ」ということで引き続きCDを探したが、上述の通り地元では見つからない。ネットでスクーデリア エレクトロを検索したところ、ひとつのサイトにたどり着いた。演劇集団キャラメルボックスの公式通販サイトで、サントラを紹介するページだ。演劇とは無縁で生きてきた私がキャラメルボックスを知っているはずもなく、「このサントラ欲しい!」と思ってはみたものの、結局「キャラメルボックスなんて聞いたことがない」という残念すぎる理由で購入を見送ったのだった。何をやっていたんだか……。で、話は数年後に飛ぶ。
それは、アラフォーに手が届きそうになった頃の話。お芝居なんて学生時代の、文化祭の演劇部の出し物くらいしか見たことがなかった自分に観劇ブームが起こった。成り行きは省略するが、年に20~40本くらい舞台を見るようになったのだ。関東で舞台の情報を集めていれば自然とキャラメルボックスの情報も入ってくる。「ああ、この劇団、あの時のホームページの……」と記憶が繋がり、サンシャイン劇場に足を運んだのは自然な成り行きだった。
初めてサンシャイン劇場でキャラメルボックスを見たのはおそらく2011年の『流星ワゴン』だろう。当時のキャラメルボックスはいわゆる原作モノをやっていたが、キャラメルボックスが作る演劇空間の居心地の良さを改めて説明する必要はあるまい。私は小劇場演劇を中心に観劇していたのだが、それでもキャラメルボックスのことが好きになり、年に数回は見ることにした。『トリツカレ男』や『容疑者Xの献身』、『アルジャーノンに花束を』などだ。
そんな生活を何年か送った後、コロナ禍がやってきた。ちょうど同じ頃に、母があまりよくない病気になったこともあり、観劇数は年に1~2本まで激減。いつしか劇場に足を運ばなくなった。アラフィフと言って差し支えのない年齢になり、「演劇がない世界」が自分にとって当たり前になった頃、キャラメルボックスは創立40周年を迎えた。記念公演第1弾は、あの『さよならノーチラス号』だ。
スクーデリア エレクトロの楽曲『GOOD BYE NAUTILUS -さよならノーチラス号』がどのような経緯で作られたのか私は知らないが、この曲がキャラメルの舞台『さよならノーチラス号』で使われていることは知っていた。正直、舞台が初日を迎えてなお、見る予定はなかったが、Xのタイムラインに溢れる感想ポストを見ているうちに、「これは見ないといけないのではないか」と思うようになった。幸い平日ならチケットもまだ何とかなる。思い立ってからは早いもので、早速チケットをゲットした。
観劇日当日。舞台『さよならノーチラス号』は再々演だそうだが、私が見るのは初めて。オープニング。サンシャイン劇場に『GOOD BYE NAUTILUS -さよならノーチラス号』が流れてダンスが始まった時、雷に打たれたような痺れとともに鳥肌が立った。大学時代にスパイラルライフを知ってから自分に流れた歳月。20数年かけて少しずつ組み上げたパズルがカチッとハマったような瞬間だった。あの光景を忘れることはないと思う。
っていう、回顧録でした。おしまい。
多分、時代の齟齬とかあると思うけど細かいことは気にしないように。
あらためまして、キャラメルボックス劇団創立40周年おめでとうございます!!
