日曜劇場ドラマ『御上先生』をより深く理解するための参考書 【読書日記】考える。動く。自由になる。―15歳からの人生戦略―
突然ですが、
TBSドラマ日曜劇場
「御上先生」が面白いですね!

私は御上先生が劇中で使う
シンプルなキラーフレーズが
大好きです。
「考えて」
この「考えて」は
生徒の視点を広げて
冷静な議論を促がす
フレーズになってます。
なにか答えを求める生徒に対し
「考えて」と指導する場面が
とても多いのです。
例えば、
御上「天下り斡旋の責任を取ってここに来たのは事実だ。でも不思議なことに、ぼくにはそんなことをやった記憶がまったくないんだよね」
生徒「そんな嘘が通用すると思ってるんですか」
御上「考えて」
生徒「は?」
御上「もしぼくが言っていることが真実だとしたら。いったい何が起こった」
この「考えて」という
指導の仕方は
「コーチング」と呼ばれていますね。
私が学生の頃は
「ああしろ、こうしろ」の
「ティーチング」が一般的だったので
時代の流れを感じますね。
さて、
あまりにもドラマにハマって
しまった私は
ドラマ「御上先生」の
教育監修をされている工藤勇一さん
の本にも興味が湧きました。
で、手に取ったのが
こちらの一冊。

考える。
動く。
自由になる。
タイトルの
シンプルで力強いフレーズは
御上先生と一緒です!

著者の工藤勇一さんについて
まとめてみました。

工藤勇一さんは
教育関係者の間では
話題の校長先生だったらしく
2014年に
東京都千代田区立麹町中学校の
校長として
宿題や定期テストや学級担任制など
従来「当たり前」とされてきたことを
次々と廃止したそうです。
宿題や定期テストがない学校って
最高じゃないですか!
しかも、
生徒がなんかあると
いつでも校長室に
相談に来ていいルールらしい
これは御上先生の
古代理事長もやってましたね。

本書では15歳を
「子どもから大人への過渡期」
と位置づけてます。
自分の人生を考え始める時期として
重要視しています。
この時期に、
自分の価値観や目標を明確にし
主体的に行動することで
より自由な人生を送ることができる
と説いています。
つまり15歳は自律する時期なんです。
本書における「自律」の定義は
「自分で考え、判断し、決定し、行動すること」。
さらに著者は、
学校生活を社会に出てから
必要となる力を身につけるための
「トレーニングの場」と捉えています。
ご覧ください。
このシンプルで本質的な目次
目次
第1章 自分
第2章 社会
第3章 学校
第4章 人
第5章 学び
ここで、
各章の内容を簡潔にまとめると
第1章は
人間という存在について深く考察し
「自分」とは何かを
哲学的に探求してます。
第2章は
未来の社会について考え
「当事者意識」と
その重要性を掘り下げてます。
第3章は
学校生活を題材にし
校則や多数決やいじめの問題を通じて
「民主主義」を考察してます。
第4章は
友人との関係を起点として
「人間関係」のコツや
その大切さを学べます。
第5章は
これからの時代に必要とされる
「学び」について考え
その重要性を強調してます。
どの章も大変面白いのです。
ここからは、
「自律」をテーマに
各章を横断的にまとめてみました。
◆自律って大人でも難しい

まず最初に本書で
語られていることは
人が自律するには脳の構造的に
大人でもかなり難しいのです。
私たちの脳は原始時代に
敵や災害から
すばやく自分を守るべくして備わった
3つの習性が脳にあるそうです。
1. フィルタリング効果:脳が認識できる情報は、全体の1/1000
2. ネガティブバイアス:脳はネガティブな情報に強く反応します。
3. 習慣の形成:特定の行動を繰り返すと、その行動が無意識に行われるようになる。
たとえば、第一印象で
「あいつはオレの敵か味方か」
とフィルタリングをして
「あいつ敵かも知れない」
と認知すると
相手の悪いところしか目に入らなくなり
結果、
「友達になるのが怖い」
と、無意識の行動パターンとして
脳に定着して習慣化する
特に無意識の行動パターンがヤバい。
ふだんから
人の悪口を言い続けていると
それが無意識の行動パターンとして
定着してしまうそうです。
そう考えてみると
人間がなかなか
ネガティブ・スパイラルから
脱却できないのも納得です。
「やらない・できない理由」ばかりに
目が入ってチャレンジを
避けるようになります。
では、
この脳の習性的に
自律が難しい人間を
どうやって
自律に方向づけるかというと
この解決策は「メタ認知」でした。
メタ認知とは
自分の中でもう一人の自分が
自分を客観的に見る力
とでもいいましょうか
これまでのネガティブな
行動パターンを書き換える方法
を見つけ出すことです。
自分の頭のなかで
①チャレンジしたい気持ちはある
②でも、失敗はこわい
③だから、行動できない
これを、もう一人の自分が
②のネガティブな気持ちに
なっている自分
に気づけたら一歩前進だそうです。
例えば、
職場でリーダーに任命されたものの
まわりの人が動いてくれない状況に
イライラしている自分に気づく
そのときに
(人が動いてくれないのは
当たり前じゃない)
と、
もうひとりの自分が声がけをする。
そしてつぎに疑問が生まれる。
「人が動いてくれないとしたら
動いてくれないのはなんでだろう?」
この疑問に自問自答していると
「じゃあ、どうすればみんなが
動いてくれるか実験してみよう」
と、疑問解消のために
アクションを起こすようになる。
(行動を強制したらキレられた)
とか
(理由とメリットを伝えたら
しぶしぶ動いてくれた)
とか
ひとつひとつ実験していくうちに
無意識の行動を書き換える
ヒントが見つかる。
ここで余談ですが、
「メタ認知」で思い出しました。
和田秀樹さんの
『ストレスの9割は「脳の錯覚」』
において
ストレスを生む「思考癖」への
解決策は「メタ認知」でした。
話を戻します。
ここで、大事なポイントは
ネガティブになっている自分に
気づいても
自分を責めないことが大事。
怖がる自分、
がんばれない自分を
客観的に知ったうえで
チャレンジする自分に注意を向けて
行動につながる
「しかけ・しくみ」を
つくることが大切
と書いてあります。
では、その「しくみ」とは何か?
脳科学では、
無意識の思考や
行動パターンを変えるには、
意識して同じ言動を
繰り返すことが効果的だと
言われています。
いわゆる
「ルーティン」
と呼ばれているものです。
有名な例として
大谷翔平選手の
マンダラチャートが紹介されてました。

なるほど、
大谷翔平選手は
繰り返しマンダラチャートを
眺めることで、
ネガティブな無意識のパターンに
陥らないようにしているのかも知れない
⚫️壁にぶつかったときストレスを溜めない方法
コーピング(ストレス対処法)
についても書いてありました。
①悩みを可視化する(メタ認知)
まず「何に困っているのか?」を
ノートやメモに書き出す
ポイントは頭の中だけで考えない
②コントロールできるか仕分ける
自分で解決できること
→ 行動プランを作る
自分では解決できないこと
→ 他者に相談する
③優先順位をつけて実行
まず「最も影響が大きいこと」
から動くということですね。
④相談するときは「誰に聞くか」を
明確にする
→ 具体的な知識や経験がある人を探す
⑤解決策を「しくみ化」する
→ 同じ問題が起こらないようにルールや習慣を作る
⑥試してダメなら、視点を変えてみる
→ もう一度①からやる or 新しい視点を持つ人を探す
この流れを意識すると、
ストレスを溜めずに前向きに
進みやすくなります。
特に「書き出す」「相談する」「しくみ化する」がカギですね!
◆「⚪︎⚪︎のせい」が口グセになっていたら要注意

面白いことに
日本では政治批判が盛んですが
選挙の投票率は低下の一途です。
あの新型コロナ対応でも
私たちは「受け身」になりがちでした。
なぜ、こうした
「他責社会」に
なってしまったのでしょうか?
著者が鋭く指摘するその一因は
私たちが
過度なサービスに慣れ
自律を失ってしまったから
だそうです。
特に教育の場では
大人が手をかけすぎることで
子どもたちは
「自分で考え、行動する力」を失い
何かうまくいかないと
他人のせいにする傾向が強まります。
これは痛いとこ突かれました。
私も政治家の悪口を自重します😅
そのため
千代田区立麹町中学校では
主体性を育むため
「勉強しなさい」と言わず
生徒自身の自己決定を促しました。
主体性を育むのに
特に効果的だったのが
次の3つの問いかけだそうです。
1.どうしたの?
2.これからどうしたい?
3.なにか手伝えることはある?
この「魔法の問いかけ」は
相手が主体的に考え
行動する力を取り戻す
きっかけになります。
人のせいにせず
自分ごととして考える習慣を
大人の私たちも
身につけていきたいですね。
◆悩み相談は積極的にアドバイスしない

生徒からの悩み相談のために
校長室まで開放した著者ですが
悩み相談においては
すぐにアドバイスをしないそうです。
その理由は
「自律」の一番の
トレーニングになるからです。
悩み、選択肢を考え
自分で決める経験を積むことで
自律した人へと成長できるのです。
箇条書きにまとめました。
なぜ自己決定が大切なのか?
├自分で解決する力がつき、トラブルに強くなる
├どんな選択をするか決めるのは自分自身
├他人の意見に流されず、自分で納得のいく決断ができる
悩み相談で大切な姿勢
├「なるほど。そういうことか」「君はどうしたい?」と問いかける
├相手の考えを引き出し、決断をサポートする
├相談者自身が解決策に気づけるようにする
悩んだときの考え方
├「もし、もう一人の自分が今の自分を見たら?」と俯瞰して考える
├問題の原因を探り、選択肢を整理する
├「自分はどうしたいか?」を常に問い続ける
行動のヒント
├期待せずに人と接する
├無理な付き合いをやめる
├相手の気持ちを直接聞いてみる
悩みは「なりたい自分」に
近づくための材料です。
完璧を求める必要はなく
自己決定と試行錯誤を繰り返せば
自然と成長していきますよね。
◆「やらない」選択肢を自分で選べたら、自律している証拠

次の紹介する3人には
共通の特徴があります。



いづれも有名で偉大なお三方ですが
共通項は何だと思います?
3人とも学生時代に
「宿題」をやらなかったそうです。
実は私も
学生時代は宿題をやらなかった
タイプです。
夏休みの宿題なんか
夏休み前にクラスの友達十数人で
分担したのを書き写して
夏休み前に終わらせてました😆
自律した人の中には
「宿題をやらない」
という選択を決断する人が
いるそうです。
著者は読者に
宿題を提出するためだけに
やっているのなら
一度、
「これはどういう意味があるんだろう?」
と考えてみることをすすめます。
ちなみに私も考えてみました。
あの頃の私は
自分にとって重要なことに
時間を使いたかったのか🤔
自分自身で学習の動機を
見つけたかったのか🤔
いや単純に人からあれこれ
指図されるのが嫌だっただけかも😅
たしかに
これを考えるところから
自律の一歩が始まりますね。
◆学校は幸せになる方法を学ぶ場所

著者は
学校とは「民主主義を学ぶ場所」
と定義してます。
なるほど。
さて、
民主主義を学ぶ場である学校は
先の見えないこの時代に
どんな教育目標を持って
進んでいけばいいのでしょう。
著者は
「OECD(経済協力開発機構)」
のつくった
「Education 2030プロジェクト」
という教育目標を参考にしています。
自律(責任ある行動を取る力)
「当事者意識」を持ち、自ら問題に取り組む姿勢が必要。
対話(対立やジレンマを調停する力)
対立を避けるのではなく、意見の違いを調整し、社会の平和を築く力が求められる。
創造(新しい価値を創造する力)
問題解決のために新しい発想や技術を生み出し、学び続ける力が重要。
特に 「対話力」 は、
社会に出てから
大きく役立つスキルとあります。
本当にその通りですよね。
大人になって気付かされます。
聴く、話す、話し合う
といった対話力が備わっていれば
争いは起こりません。
日本の教育は
対立を避ける傾向があります。
それは一方的に知識を教える
「ティーチング」の授業が
多かったためでした。
生徒が異なる意見を述べる
機会が少なく
自然と対立を避ける習慣が
身につきやすい環境だったのです。
だから大人になっても
・空気を読む
・和を乱さない
・目上の意見を尊重する
といった姿勢の人が
増えちゃうんですね。
しかし時代の変化とともに
多様な価値観を認め
意見を交わす力を育む方向へ
シフトしつつあるみたいです。
これからは
対立を恐れず、
建設的に議論できる
コミュニケーションが
求められる時代に
なっていくのでしょう。
◆「コンピテンシー」はこれからの時代のキーワード

これからの未来は
AIやロボットの進化によって
仕事が無くなっちゃうこともあります。
いまのような変化の激しい社会を
生きていくためには
入試問題で問われるような
「なにかを覚えて正確に再現する力」
よりも
「自分で考え、判断し、
決定し、行動できる力」
つまり「自律する力」が
大切になると言います。
そこで重要になってくるのが
「コンピテンシー」です。
「職務遂行能力」と呼びます。
でもこの能力は
なかなか数値化しずらいですね。
採用や入試の場面でよく使われる
「コンピテンシー」を測る手法では
次の3つの質問に対する答えを
論理的につなげて話せるかが重要になります。
志望動機:「なぜここを選んだのか?」
過去の経験:「どんなことをしてきたのか?」
今後の希望:「ここで何をしたいのか?」
「私には◯◯という夢があります(今後の希望)。
「そのために最適な環境を探した結果、ここにたどり着きました(志望動機)。」
「もともと◯◯をやりたいと思ったきっかけは△△で、これまでに◯◯の実現に向けて努力してきました(過去の経験)。」
コンピテンシーが弱い答え方
「このサービスが好きだからです(動機)。」
「文化祭でチームをまとめた経験があります(経験)。」
「ここで成長したいです(希望)。」
確かにこのように
3つがバラバラでつながりがないと
説得力が弱まります。
この3つの質問は
大変参考になりました。
さっそくスタッフの面接で
実行してみたいと考えております。
◆人生の正解はテストの中じゃなく、君の中にある

著者が校長時代に
テストを廃止した理由が書かれてました。
ペーパーテストの学力を上げるには
繰り返し同じことをすればいいが
その間に「自律して学ぶ力」は
どんどん失われていくのです。
大学入試ではいまだに
「1点でも多く取った人を
合格とさせる」
このトピックは先日放送した
御上先生第8話でも触れてましたね。
北海道赤平市の
株式会社植松電機の
代表取締役社長であり
ロケット開発者
そして情熱的な講演家でもある
植松努さんが
著者の学校の生徒たちに
こんなふうにアドバイスされてました。

昔は、人口が増えていたからどの仕事にも入り込む余地がありました。
だからこそ、
『誰かが食えている仕事をすれば、自分も食える』時代だったのです。
でもいまや、人口は減っています。
誰かが食えている仕事には入り込める余地がありません。
入り込めるとしたら
『安く仕事を引き受ける』しかありません。だから、どんどん労働環境が悪化するのです。
これからの働き方で大切なのは
「人や社会の役に立つこと」
を基準にすること。
競争を避けるには
他者が避ける「困難」や「不採算」に挑み
それを工夫して解決する力が求められる。
成績よりも大事なのは困りごとに気づき、解決策を考え、挑戦し、最後までやり抜く力。
これが新たな価値を生み人口減少社会での「安定」につながる。
人口減少で商品の需要が減り
新規参入が難しくなっている。
高齢化で働ける若者が減少し
新しい仕事への挑戦が少なくなる。
技術の進化で多くの仕事が自動化され
新たな労働力が入りにくくなる。
おそらく植松さんは
「需要減少」「高齢化」「自動化」の
3つを問題として挙げてます。
だからこれからは
「人や社会の役に立つ」
新たなイノベーションが必要
そのためには
困りごとに気づき、
解決策を考え、
挑戦し、
最後までやり抜く力。
これこそまさに
「自律の力」のことですね。
最後にもう一度
著者の黒板の板書き画像を
ご覧ください。

本書の内容はいかがでしたでしょうか?
大人の私たちが
ビジネス用語でよく使う
「メタ認知」「ルーティン」
「仕組み化」「コンピテンシー」
などがたくさん紹介されてました。
そして、大人の私たちが
ハッとさせられます。
これらのビジネス用語には
上位概念があるということに
気付かされます。
それが本書のテーマである
「自律」なのでした。
すべては自律のため
とても良い授業でした。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
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