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#1 忘れられない、スワヒリの味。ケニアの港町モンバサで出会った「ママの特製チキンビリヤニ」

こんにちは!フードライターのMaiです。

世界中にファンを持つ米料理「ビリヤニ」。スパイスとお肉の旨味が染みたご飯は、どこで食べても美味しいものですが、私がこれまでの人生で最も心を揺さぶられたビリヤニは、とあるケニアの一般家庭の台所にありました。

舞台は、インド洋に面した東アフリカの港町、モンバサ。かつて交易の要所として栄えたこの街は、アフリカ、アラブ、そしてインドの食文化が美しく融合したスワヒリ料理の宝庫です。ここで出会った現地のパワフルなママに家庭のビリヤニを習う機会に恵まれました。

今回は、その温かくて、最高にスパイシーな思い出の味をお裾分けします。

調理時間はたっぷり2時間!スパイスとトマトの海で、お肉をじっくり育てる

「ビリヤニでお一番大事なのは、polepole(のんびり)焦らないことだよ」

そう笑いながら、ママは大鍋を取り出しました。調理時間は、下ごしらえから完成まで全部でたっぷり2時間!その時間をかけて作られるビリヤニは、驚くほどの豪快さと丁寧さのバランスで成り立っていました。

味のベースとなるのは、クミン、クローブ、カルダモンといった芳醇なスパイスたち(Pilau Masala)とショウガ&にんにく。ここにトマトをたっぷりと加え、炭火でじっくりと火を入れながら旨味を凝縮させていきます。そこへ投入されるのが、ゴロゴロとした大きな骨付きの鶏肉と揚げじゃがいも。

スープの旨味を骨の髄まで吸わせるように、大鍋でじっくり、じっくりと煮込んでいきます。お肉がホロホロに柔らかくなったところで、いよいよお米の出番。スープの旨味をすべてお米に吸わせるようにして、さらに弱火で蒸し煮にしていきます。鍋から立ち上る湯気は、スパイシーな香水のよう。これだけでお腹が鳴ってしまいます。

美味しさの魔法は「2つの顔を持つ玉ねぎ」

そして、このビリヤニの味をピシッと引き締める影の主役が「フライドオニオン」です。

ママは細切りにした玉ねぎをじっくりと揚げていくのですが、これが絶妙な職人技。一部は水分が抜けてカリカリと香ばしく、もう一部は油を吸ってしなしなと甘くジューシーに。この食感と甘みのコントラストが、スパイシーなご飯の中で最高のアクセントになり、一口ごとに違った表情を見せてくれるのです。

外食では絶対に味わえない、大家族の「まんなか」にある味

待ちに待った昼食の時間。大皿に山盛りにされたビリヤニを、大家族みんなで囲みます。

その輪の中には、普段は日本で働いていて、ちょうど一時帰国していたママの息子さんの姿もありました。久しぶりに母親のビリヤニを口にした彼は、目を細めてこう語ってくれました。

「都会の洗練されたレストランに行けば、いくらでも綺麗なビリヤニは食べられる。でもね、この大鍋でじっくり煮込んだビリヤニの味だけは、どこを探しても絶対に見つからないんだ。これぞ、僕たちの『家(ホーム)』の味だよ」

その言葉通り、大皿をみんなで突っつきながら食べるビリヤニは、ただ美味しいだけでなく、胸の奥がじんわりと温かくなるような、優しいエネルギーに満ちていました。

遠く離れたケニアの港町で習った、ママのビリヤニ。それは、スパイスの刺激の奥に、家族を想うたっぷりの愛情が溶け込んだ、世界で一つだけの特別な一皿でした。みなさんもいつかモンバサを訪れる機会があれば、ぜひ地元の海風を感じながら、このスワヒリの味に舌鼓を打ってみてくださいね。

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