【寓話】嘘をつく少年 --信号機ぶどう味#10
少年はうそつきだった。
友達の前で電柱をなめて見せた。
「イチゴ味だ!」
友達もなめてみた。
イチゴ味などしなかった。
少年は笑った。
別の日には、ブロック塀をなめて見せた。
「メロンの味がする!」
友達もなめた。
当然、メロンの味などしない。
少年は笑った。
やがて少年がうそつきなのを、みんなが知るようになった。
ある日、友達と歩いていた少年は、いつものように信号機のポールをなめて見せた。
驚いたことに本当に果物の味がした。
ぶどう味だった。
少年は「ぶどう味がする!」と言った。
友達はもう、少年の言うことを信じなかった。
町の人たちも、だれも信じなかった。
少年は、イソップ物語の「オオカミ少年」を思い出した。
少年は思った。
自分がうそつきだったせいで、この町が大変なことになる。
だが、いまさらどうしていいかわからない。
もっとも、信号機がぶどう味になったところで、誰も困りはしなかった。
