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私の90smusic#36

#351 Restless Heart by Whitesnake

デイヴィッド・カヴァデールがソロ作品を作り始めたのが発端で、結果的にバンド9作目のアルバムとしてリリースされた作品のアルバムタイトルトラック。
カヴァデールは90年のバンド活動停止以降、個人として活動していきたいところで、94年にバンドのグレイテストヒッツが出て、それがヒットしたことから、またメンバーをかき集めてバンドツアーを回らされたり、今回ソロ作を作れば、ソロではなくバンド名義にさせられるという、結局、例えばロバート・プラントみたいな割り切った活動が出来ないままでいる人って感じがして、まあ色々事情はあるんでしょうけど、これもイメージですけど、一度バンドのステージに立ってしまえば、あの色気のある歌声で歌い、マイクスタンドを股間位置で立てながら、デビカバしちゃう=それがホワイトスネイクそのものみたいなとこで、みんなに理解され期待されてるイメージだったりもします。
今回制作の相棒となるエイドリアン・ヴァンデンバーグは、前作Slip of the Tongueでは曲作りに関わっていたものの、手の故障でギターの録音は後からやってきたスティーブ・ヴァイにほとんどを委ねる形になり、その時の彼はカリスマ性の強いヴァイの影に隠れてしまってたんですけど、今回は初めて曲作りとプレイで、全面協力出来た作品。
ソロ作品として制作されていたからか、80年代と同じような派手な起伏とスリリングなガッツリバンド音楽な作風とはならず、部分的にハードロックで、ブルースやソウルにも回帰していく落ち着いた作風。個人的にはリアルタイム初の作品で、例の派手なのを期待してての少し肩透かし感はありましたが、逆にデビカバさんのあの色気のあるボーカルをじっくり聴いて堪能できる、キャリアの流れの中では少し異色のアルバムとして思えば、なかなか新鮮で良かったんじゃないかとも思います。

#352 Take This Heart of Mine by Cold Sweat

ジーン・シモンズがアルバムプロデュースしていたことでも知られるキールのギタリスト、マーク・フェラーリがパンド解散後に結成したカリフォルニアのツインギターのハードロックバンドのメジャー唯一作。
キールの名前だけは何となく知っていたのですが、このバンドは全く存じ上げていませんでした。近年、日本盤での再発もあったようで、知る人ぞ知る感じなんですかねえ。
ただこのアルバム、ヒット曲となりそうな、わかりやすく目立った曲は見当たらないものの、めちゃくちゃハイアベレージな印象の作品で、ドッケン辺りを想起させるギターワークに、刺激的でキャッチーな80'sハードロックサウンド、カリフォルニアのバンドにしては、哀愁がかったメロディも搭載していて、こんな良いメジャー作品があったとは思いもよりませんでした。後に再結成の活動もあったようですが、たったこの一作で終わってしまったのは残念。

#353 Blood on the Street by Bad Moon Rising

LAバンドのライオンのボーカリストのカル・スワンとギタリストのダグ・アルドリッチが、バンド解散後に結成した新バンドのセカンドアルバムBloodより。どうやらこの前作のデビュー作の方が世間的には人気があるようですが、自分がハードロック音楽を聴き始めたタイミングの関係から、自分の中のイメージは全然こっちの方が印象的にある感じで。
ブルージーなハードロックバンドですが、ビッグインジャパン的にデビュー当時からかなりウケてたバンドで、自分も後から聴いてみたところ、ちょっと捉えどころが少なすぎて、ボンジョヴィみたいにはわかりやすくないから笑、当時の若すぎる耳ではそんなに楽しくなかったんですよね。ジャケットは格好良いんですけど。
今聴くと、80年代に派手に魅了するようなLAメタルをやってた人たちが、70年代の英国ブルースロックに遡るような体験をしていくという内容だと理解するのですが、正直その2つが両側にあるパイプみたいなのを聴く側も通ってないと、なかなか共有できる楽しさが生まれないような気がするのですが、どうなんでしょう。結構ニッチなところですよね。でも日本だけは不思議と人気だったみたいです。

#354 Demons Down by House Of Lords

AORバンドのジェフリアのキーボードプレーヤー、グレッグ・ジェフリアを中心に組織されたバンドで、元々ジェフリアの3作目の新作デモとして聴いたジーン・シモンズがこのバンドの支援を決め、それなら名前を変えて、新バンドとしての再出発を求めたところから話は始まっているそうだ。
そして本作はそこから3作目となるDemons Down。しかしその後はグランジの波にさらされて、間もなくバンドは解散。2000年代に入ると復活。この時、実業家に転身して成功していたバンド創始者グレッグの姿はそこになくて、彼の不在によってキーボードが抑えられたメロディックハードロックバンドとして、バンドは変貌を遂げる。そこから現在に至るまで、ほぼ2年毎の新作リリースしながら安定的に活動し続けた。15年のラウドパークに出演もしていたよう。
前身のバンドの頃から腕利きが集まっての、なかなか売れないAORバンドという様相だったようだけど、それ故ここでの終始達者で滑らかに続く、刺激的なロック楽曲の聴き心地の良さは抜群で、ジャケットから見る作品のイメージと音色のゴージャスさは惹きつけられます。後にバンド活動を絶えず続けて積み重ねて、改めてファンベースを築きにいけたのも窺えそうなところ。

#355 We Don't Need a Reason by Dare

シンリジィのキーボードプレーヤーのダレン・ウォートンが、80年代中盤に結成したイギリスのバンドのセカンドアルバムBlood from Stoneより。プロデュースはソフトロックからハードロック界隈の数々の名作を手掛けたことで知られるキース・オルセン。
元々は2人のキーボードプレーヤーを擁するAORサウンドが印象的なバンドだったのですが、さらにバンドの変化を求めて、バンド創設者のダレンはボーカル専任となり、キーボードの方は抑えられ、その分をハードなギターを前面に繰り出して、メロディックハードロックな作風に転換。ただこの方法は結果的には上手くいかず、在籍していたメジャーレーベルからもドロップする羽目になってしまいます。
このバンドの知名度を求めた音楽性の方向転換は、当時のハードロックの流行りに急に寄せていった感も否めないですが、このアルバムでの活きの良いギターワークと、哀愁感も含めてわかりやすくメロディが全面に張ってある感じ、従来のAOR好みのリスナーにはどう響いたかはわかりませんが、思いがけずメロハーファンにはかなり喜ばれて、名作扱いになった作品かと思われます。
ここで活躍していたメンバーのギタリスト、ヴィニー・バーンズはこの後、ゲイリー・ヒューズと出会うことになり、日本でも人気となるテンを結成することになるのがまた興味深いところ。

#356 Can You Feel It by Manic Eden

Slip of the Tongueツアー後、デヴィッド・カヴァーデイルは心身の消耗により、ホワイトスネイクでの活動を停止させることを選択して、スティーブ・ヴァイはソロ活動へ戻り、他残されたメンバーのエイドリアン・ヴァンデンバーグ、ルディ・サーゾ、トミー・アルドリッチの3人は、リトルシーザーのロン・ヤングを加えて、新たなバンドを結成することになる。
このある意味、ホワイトスネイクのスピンオフのような形は、その前のヴァンデンバーグでの活動も含めても、その後の展開に大きな期待が寄せられたと想像に難くなかったわけだけど、蓋を開けてみれば、作品はジミヘンやクリーム辺りに影響されたようなブルースロック作品で、各々が期待したものとの同異によって、恐らくその賛否に差が生まれたと思われる。
この類いは、腕利きの彼らにとってはカバーバンドくらい容易に楽しめて、仮に見切り発車でも始まれば入って行きやすいものなんだろうけど、これから同じバンドで進めていく上で、突き詰めてやっていくほどの伸びしろはあるのかなあ?という意味では、これでずっとやって行こうという気もそもそも強くはなかったんじゃないかという邪推も立ってしまう。
じゃあ、これそのものが良くないものかというとそういうことでもなくて、実際内容も良くて、個人的にも好きだし、こうしたものを我々も古き良きブルースロックのバックグラウンドを共有しながら、純粋に楽しめることも出来るわけで、そうした恩恵を受ける人たちにとっては、これはとても重宝することになる。ただ次の展開に向かうようなハードロック作品でなかったことは、少し残念かも。

#357 In Your Arms by Little Caesar

ボーカリストのロン・ヤングが中心になって結成されたロスのバンドのデビュー作セルフタイトルより。バンドはゲフィン傘下のDGCレコードとメジャー契約して、本作と2作目のプロデュースはボブ・ロックが担当している。
自分はロン・ヤングが後にマニックエデンに参加したところで、やっとこのバンドの存在を知ることになるわけですが、このゲフィン在籍と名の知れた裏方のボブ・ロックという話題性を持ちながら、この日本でこのバンドがあまり知られた存在になっていないのは、本国で例えばブラッククロウズのようにメガヒットにならなかったこともあるだろうし、このバンド自体の、我々が奥手になりがちなアメリカンルーツの強い音楽性ゆえかもしれません。アレサ・フランクリンの楽曲をカバーに選ぶような、ソウルフルでブラックミュージックも交えたブルースロックを土台にしているバンドというのは、やはり渋めには映るかもしれません。
しかしながら、そもそも全体的にキャッチーで、快活な西海岸ハードロックっていう感じがよく伝わるし、個人的には聴いてて楽しいから、もっと全然ウケててもいいのになって思います。アルバムジャケットのセンスは、まあいかにもアメリカのバンドかなっていう感じもしますが、もう少しどうにかなんなかったのかなとは思います。苦笑

#358 Toy Soldier by Riverdogs

ロサンゼルスで結成されたバンドのデビュー作より。
ホワイトスネイクで短期間のうちに解雇の憂き目に遭ったヴィヴィアン・キャンベルは、このバンドの最初のデモのプロデュースを依頼されて、やがてアルバム制作にも参加、バンドに加入する流れになります。
そしてオーディションを経て、彼はスティーブ・クラークの後釜として、デフレパードにも正式加入するわけですが、その時点でこのバンドは抜けることに。バンドそのものはその後も継続して活動しており、デフレパードの活動が落ち着いてきた頃にまた復帰して、新たな作品も折を見てリリースしています。
ヴィヴィアン・キャンベルは振り返っていくと、とてもユニークなミュージシャンで、その時在籍しているバンドの形に合わせるのが得意なように見えるのと同時に、自分のキャリアやバックグラウンドに対して、きちんと追っていく独自性も持ち合わせている、そんなキャリアの生成の仕方が印象的。
このアメリカンなブルースロックバンドとどこでどう繋がったのか、詳しくはわからないですけど、ディオに在籍して活躍していた北アイルランド人のギタリストも一緒にやっているとは思わせないほど、綺麗にそこに染まって、良いロックバンドをやっているのは流石だなあという感じです。

#359 Tender Surrender by Steve Vai

ニューヨーク出身のギタリストで、4作目のFire Garden制作中に中断して作られたインストEP作品Alien Love Secretsより。
ギターの弦の張り方も知らないところから、ジョー・サトリアーニの門下に入り、バークリー音楽大学を経て、フランク・ザッパのバンドに加入。80年代後半になると、セッションやソロキャリアを視野に入れながら、アルカトラズ、デイヴィッド・リー・ロス、ホワイトスネイクといったバンドを渡り、90年代になると、本格的なソロ活動を開始。プレイスキルは然ることながら、型に縛られない独創的なアイディアが印象的なギター音楽家という感じ。
この作品は、その前のデヴィン・タウンゼントをボーカルに置いたヴァイ名義の作品Sex &Religionを聴いた流れから手に取っているのだけど、なかなかインストアルバムというのも、どれだけ楽しめるものかと思ってましたが。
音楽アルバムを求める際に、やはり聴かせる良い曲が入ってるとか、好きな歌が入ってるとか、そういったことが入り口になりやすいと思いますが、この人のアルバムの個人的な印象はそれらとはちょっと違っていて、例えば自分の息子の声を録って、サンプリングして遊んでたりとか、そういう染みるより面白さや興味深さが先に来る感じがとても新鮮で。
しかもそういうのって、掴みはキョトン?でも、やがてジワジワくる感じなので、前述のSex &Religionもそうですが、今でも普通に面白くて楽しめるんですよね。引っ張ってくるアイディアもあまり時代性も感じないので、古臭さがないのもまた強みかも。

#360 Thank You for the Love by John Sykes

イギリス人ギタリストの2作目ソロにして、バラードソング集Lovelandより。事の発端は、日本のレーベルの提案で作られた編集作品。同じ年には3作目の20th Centuryもリリースされて、姉妹作品のような扱いになるんでしょうか。
正直な話、ホワイトスネイク脱退後の動向は、決して多くは順風満帆とは言えなかったように見えます。ただ少なくとも日本では、特にブルーマーダーのNothing but Troubleを境に大きなセールスを上げて、殿呼ばわりされるくらい人気のあるギタリストでもありました。
そしてこのLovelandと20th Centuryの二作では、ギタリスト兼シンガーとしてもなんですが、彼のソングライターとしての最大評価を与えることが出来る作品として、とても優秀なアルバムだったと個人的には思います。ただそれが大きな活動に繋がっていたかどうかは。
これはよく聞かれるような比較になってしまうんだけど、NWOBHMのシーンから出てきたスキルの秀でたギタリストで、その後大きなバンドで活躍してキャリアを積み、ホワイトスネイクに加入して、早くも解雇されてしまったミュージシャンとして、サイクスと同様に挙げられるのが、ヴィヴィアン・キャンベルなわけですが、サイクスとキャンベルでは、わりと対照的な道を行くんですよね。
個人的な印象にはなってしまうんですが、ギタリストとしてのカリスマ性や雰囲気があるのはジョンの方があるとは思うし、ソングライティング能力の高さやボーカルも取れる実力もお聴きの通りなわけなんですが、業界の世渡り的なとこの意味でいうと、ヴィヴィアンの方が全然ずっとスムーズにキャリアを形成していっているように見えるのは、何なんでしょうね。2人ともデフレパードのオーディション、加入の噂はあったようだし、2人ともゲイリー・ムーアからの影響を受けていて、シンリジーにも誘われて参加しているとこまで、境遇が似てるんですけどね。興味深いところです。
ジョンは残念ながら、24年の12月に癌で亡くなってしまうわけですが、それまで全く周りの誰にも自分の病気のことを知らせていなかったそうです。それが何となく、ミュージシャンとしての彼の生き方や人となりも少し伝えているような気もしました。


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