脚本 即興の始まり 琵琶湖シーン
©︎by_francipetta
全てのイラストと文書は著作権がある。
🚫盗用は絶対禁止❗️🚫

外国人リンダさん46才、琵琶湖の砂浜で向こうにある山景色を見つめている。歩さんはお弁当を膝の上に乗せて、切り株に座っている
リンダ: エリックを思い出す、少し辛い顔 思い出の場所まで連れて行ってくれて、本当にありがとう。何年ぶりかな?
歩: どうしたんですか、リンダさん?
リンダ: ん、何も!
歩: 親父の車を借りたお陰です。
リンダ: やっぱり優しいですね、お父さん、愛車なのに。二人の関係は?
仲直りしましたか。
歩 : まーね。( 二人は土手に止まっている車を見ている )
車 クロースアップ
リンダ: 相変わらずお互いに意見がぶつかっているのは全然変わらない。
まあ、きっとお父さんに愛されていると思います。
(エリックの思い出に重ねている)
歩: どうだろう。お願いしたとき、何も言わなかった。どうしたの?
リンダ: (首を横に振る、突然ダンスを始める、最初は手と指先を動かして、少しずつ体全体を )どうして、どうしてなの。 ( ダンスを辞める ) この世の中に、、どうしてエリックが生まれなかった。この素敵な景色を見せたかったのに。( 顔を上げて、空を見る ) エリックを返して。(再びダンスを始める。どんどん 狂ったように絶望と苦しみが詰まっているダンス )

リンダ: (ダンスを辞める ) 非常に驚いている エリック?エリック生きているの、大きくなったね。いくつなの?皮膚が暖かい。あのときと同じだ、しばらくね、ごめんなさい、こんな歳を取った体のせいで。( エリックは少しずつ砂浜から水の中へ離れて行く ) 行かないで。お願い。
歩: すごく混乱している顔 (立ち上がって、お弁当を切り株に置いてリンダの方にゆっくり歩いて行く)

エリックは手を振りながら、どんどん水の中に歩いて離れて行く。歩はずーっとリンダを見詰めてる。立ち上がってお弁当を切り株の上に置いて、リンダの近くに行く 歩の行動と歩く姿の映像 ミデルショット
歩: 非常に混乱している何か話すのが分からなくて言葉を探している リンダさんのせいではありません、自分を責めないでください。
リンダ: いきなりの転回 あの、久しぶり、ダンスをしませんか?
歩: えっ。でも。突然の転回なので非常に驚いている
リンダ: 笑いながら 大丈夫だよ。タヌキ以外誰にも見られていません。
(エリックの方を見ますが、もうエリックが居なくなった )

リンダは再びダンスを始める。前よりもっと激しく生き生きとした踊り
リンダ: (ダンスをしながら ) まずは、周りの景色を感じ取って、何も考えないで自然に体を動かす。これから何か起こるのかが、さっぱり分からないでしょう。それは即興ダンスの素晴らしさ。夢中になっている
リンダはいきなりダンスを辞めて、靴を脱いで琵琶湖に入る。足首

リンダ: 冷たいけれど、気持ちがいい。どんどん情熱が溢れている 探れば探るほど、感じ方はどんどん変わっていく、一瞬として同じことは絶対ない まあ、悩んで、迷って、楽しんで、体の変化も含めて心が何かつかんでいるのか、何が沸いて上がるのか (ダンスを再び始める) それを体で表現る。(しばらくダンスをする、そして急に辞める琵琶湖の向こう側をじっと見つめる ) ああ、冷たいもう限界。
歩: 風邪をひいてしまうよ。 声のみ

リンダ: 二人の分まで生きている、大丈夫、、、生き生きとした踊りのような道を歩み続る。エリック、約束するよ。

リンダは琵琶湖から出る
歩: どうぞ。(リンダにハンカチを渡す)
リンダ: (ハンカチを受け取って, 足を少し拭き始める) ご親切にありがとう。

歩は切り株に座って、膝の上に遺灰の壺が置いてある
歩: (じっと向こう側の景色を見つめている )
微笑みながら、少し複雑な表情 約束を守って、連れてきたよ。

歩は立ち上がって、壺を持ちながらダンスをし始める、途中壺を切り株の上にぞっと置くどんどん激しく踊る
歩の激しいダンスをスローモーションでズームする
歩の顔 クローズアップ 悲しい表情、嬉しい表情、狂っているような表情

瀬太郎(歩のお父さん) はクルマから降りて、不思議そうな表情で歩を見つめている、マリ(歩の娘、ダウン症) はとても嬉しそうな表情でお父さんを見つめている
瀬太郎にズームする マリにズームする

リンダは歩の肩を捕まえながら足を拭き続く
リンダ: ところで、出来れば前田さんはダンスをやってほしい。娘と一緒に。マリの即興ダンスはとても素晴らしい。
どんどん成長しています。
歩: 少し悲しくて、複雑そうな表情が広がっている 分かったよ、でも早過ぎないの?
リンダ: えっ。なんの話?

歩はリンダから少し離れて、振り向く。リンダはしゃがみながら靴下と靴を履き続く
歩: いや、違います。えっと。復帰のこと。もう直ぐ生徒さんと一緒に発表会があるでしょう。マリも出るけれど。えっと。体調はもう大丈夫ですか。
リンダ: 少年っぽい表情 そうか、どんまいどんまい。見ているとおり元気ですよ。
歩: どこでその言い方を学んだの?

リンダ: 少年っぽい表情 さあ、どこでしょう。響きは可愛いだろう。
歩: マーね。声のみ

歩: 凄く心配そうに お医者さんに何を言われましたか。
もっとゆっくりした方がいいじゃないのですか。

リンダ: 心配してくれてありがとう、でも本当に大丈夫ですよ。お医者さんにも言われました。(靴を履き終わって立ち上がる)もっとも良い方法は、大好きなことをすることです。もう、そんな顔をしなくてもいいよ。寒い。車に戻らないの?車でお弁当を食べましょう。
歩: えっと、夕日が綺麗なので、もし良かったらここで食べてもいいかなぁ。えっとまだ足が冷たい?
リンダ: そうだね、せっかくだから食べよう。三つのヒーテクの靴下を履いているので全然構いません。
歩: 三つ? あっ、ちょっと待って、直ぐ戻ります。

歩はシートと二つのブランケットを取りに車に向かって行く

歩はリンダの所に戻ってきて、シートやブランケットを渡す
リンダ: ありがとう。あー、お弁当は?いいよ、取りに行きます。
歩はシートを敷く映像 ミデルショット

リンダはお弁当を取りに行って、しばらくお弁当を持ったまま琵琶湖の向こうの景色を見つめっている
リンダ: 悲しい表情で 綺麗だね。

リンダと歩はシートに腰をおろして、無言でお弁当を食べながら、向こうの景色を見ている
リンダ: いつも二つのブランケットを車に置いてありますか。
歩: マリちゃんは結構寒がりなので必ず一つ。
そして今日もう一つは予備だったけど。
リンダ: ありがとう、マリちゃんはもういくつになりましたか。
歩: 今月9才になる。お父さんは誕生日パーティをするつもり。
リンダ: 前田さんは? 行きませんか。
歩: まーね。今は結構忙しい時期。
リンダ: まだ距離感を詰めていませんか。強い感情で もう行きなさいよ。

しばらく重い沈黙。リンダは悲しい表情と微笑む顔を繰り返す。歩は複雑な表情、時々リンダをチラッと見る
歩の携帯にメールの着信。歩は携帯をポケットから出す。リンダはメールをこっそり見る メールの画面の映像 クローズアップ
リンダ: 親孝行をしてたら!あっ、そうか。思い出すように
(歩の肩を指で叩きながら) 先ほど言いましたね。お父さんにとって前田さんは一番大切な人です。
歩: 痛いよ。辞めてくれない。
リンダ: ごめんなさい。楽しそう、イタズラっぽい
歩: もう、遅くなってきたので。京都のビスネスホテルに泊まりませんか。多分この辺りで、ホテルを見つけるのが難しそうと思います。もちろん別々の部屋で。安いビスネスホテルをいくつか知っているので、ネットで予約
しましょう。もし良かったら、リンダさん、運転してくれないか。えっと、免許証を持ってる?
リンダ: はい、持っていますけれど、本当にいいの?(お弁当を片付けながら)
歩: (ブランケットをたたみながら) 大丈夫です。クラシックカーを運転したいと前に言ってただろう。
リンダと歩はシートをたたむ 二人が車に乗っている映像 ミデルショット
歩: では、安全運転、お願いします。
リンダ: 任せて。

瀬太郎は、歩の赤い上着を車から取って、歩に向かって歩きながら
瀬太郎: 少し掠れた声で叫ぶ 遅くなったので、京都のホテルに泊まろう。
マリ: 大声で興奮しながら 行きたい、泊まりたい、お風呂入りたい。

瀬太郎は歩にセーターを渡す
歩: えっ、東京に帰りませんか。私は運転してもいいけど。
瀬太郎: (上着を渡しながら) いや、こっちで泊まろう。明日予定がある?
歩: (首を振る)
瀬太郎: マリちゃんも疲れているので京都に行こう。居酒屋で男同士の会話をしてもいいだろう。歩、運転お願い。
歩: 分かった。ホテルが見つかればいいけど。
瀬太郎: 大丈夫、大丈夫。任せろ。

瀬太郎と歩が車に戻りながら
マリ: 大きな声で感情も過剰に お父さん、とても格好良かった。
歩: 照れ臭そうに ありがとう。
瀬太郎: 体はしなやかになってたね。どんなダンスなの?
歩: 即興ダンスまたはコンテンポラリーダンス。
瀬太郎: さっぱり分からないけど上手かった。まるで誰かと一緒にダンスをしたみたい。
歩: (生まれて初めてお父さんに褒められたので驚いた顔でなかなか声が出ない) あ、、、ありがとう。
次は悪戯っぽく 今度クラスで三人でダンスを習おうか。
瀬太郎: 辞めとく、でも発表会があれば、応援に行く。えっと、まだ続けるだろう。
瀬太郎と歩は話しながら車に近付く
歩: 感情を込めて強く もちろん、今度の発表会、マリとダンスをするつもり。
マリ: 呆然とした声で えっ、イヤだ。

歩: マリちゃん、どうなの?お父さんとやってみないか、一緒に発表会に出ないか。どう思う?
マリ: 呆然とした声と表情 イヤだ、恥ずかしい。
歩: それは、そうだね。戸惑う でもお父さんと発表会に出て
くれたら、とても嬉しい。
マリ: 小さい声、聞こえないくらい 考えておく。
歩: (笑顔で頷く) リンダさんも喜ぶよ。

歩: (しばらく無言で運転している) どう、ホテルを見つけた。
瀬太郎: いや、まだ、何か難しそう。もし腹が減ったらおにぎりが残って
いる。梅干しとか鮭とか。
マリ: 私も、お腹が空いた。
歩: リンダさんも梅干しのおにぎりが大好きだった。
歩、瀬太郎、マリ: 同時に叫ぶ リンダ。

カメラはスローモーションで壺をズームする。寂しいような風景のなかに壺が輝いている。カメラが近付いたとき、再びゆっくり壺の中心から離れていく。琵琶湖の景色が現れる。その景色の中に、二人のぼやけた輪郭が現れる
リンダとエリックは手を繋いで向こう側の風景を見る
