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第47話:ウメばあちゃんの『新作日本昔ばなし』!『ひとくちだけのおにぎり』

語りかけ

リクちゃん、
もし自分が、たった一口しか食べものを持ってなかったとしたら、
それを誰かに分けてあげられるやろか?

今日はね、「ほんとのやさしさ」ってなんじゃろうか、
そんなお話をしようかね。

むかし話

むかーしむかしのことじゃった。

九州の山あいに、小さな村があってな。
そのはずれに、一人で暮らすおばあさんがおったんじゃ。

名前はウタばあさん。
年をとって、もう畑仕事もままならんかったけど、
心はぴかぴか、いつもにこにこしとる人じゃった。

ある日、大雨のあとに、見慣れぬ男が村の道をふらふら歩いとった。
よれよれの着物に、顔はまっしろ。目も虚ろでな。
どうやら、山で迷って三日三晩、食べ物も水もなかったらしい。

村のもんはびっくりして後ずさり。
「知らん旅人に関わるな」と誰かがささやいた。

じゃが、ウタばあさんだけは、
そっと家に入って、手ぬぐいで包んだ小さなおにぎりを取り出した。

「これしかないけど、あんた、食べなされ」
そう言って差し出したそのおにぎり、
ほんに、こぶしの半分ほどしかなかったんじゃ。

旅人が戸惑うと、ウタばあさんは笑って言った。

「わしゃ、空気でおなかいっぱいになるけん」
それは、強がりやなくて、ほんまの心からの言葉じゃった。

旅人は、その一口でようやく意識を取り戻し、
数日休んでから、村をあとにして礼をのべて帰っていった。

ところが、その旅人、実は役人じゃったらしく、
後日その村を通して、山道の整備や、物資の支援が届くようになったとよ。

「ひとくちだけのおにぎりが、村を変えたばい」
そう語り継がれ、ウタばあさんの話は、村の誇りになったんじゃ。

子供たちへ

ほらね、リクちゃん、
やさしさっちゅうのは、分けた量じゃなかとよ。

心の底から「あなたに食べてほしい」と思えるかどうか。
それが、本当のやさしさなんやね。

リクちゃん(目をまるくして)
「たった一口でも、すごいことになるんやね…!」

うんうん、そうたい。
そいぎ、今日はこのへんにしとこうかね。

(終)


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