マクりの特徴を把握することは予想精度を上げる!(前編)
皆様こんにちは。まぐです。
前回はレアな脚質として「スローペース向きの差し馬」「ハイペース型の逃げ・先行馬」について書きました。今回も、レアな脚質の一つである「マクり」の特徴について語りたいと思います。
たとえば人気馬がスローのレースで後方から届かない競馬をした時、SNSや掲示板にて「スローなら途中から動くべきだ」という意見を目にします。確かにもっともらしく聞こえますし、私自身も昔はそう考えていた時期がありました。
しかし、実際のレースはそれほど単純ではありません。
まずは、その前提となるデータから見ていきましょう。
どのくらいマクりが発生するか?
以下は2023-2025年の脚質別成績です。

マクりは全体の0.8%しか発生せず、レアな脚質だと言うことができます。
マクりの成績は非常に優秀ですが、この成績だけを鵜呑みにして「やはりマクった方がいい」と判断するのは早計です。
そこまでマクりが有利なら、マクりの割合はさらに高くなるはずでしょう。また、上の割合には、マクったものの先団まで浮上できなかった、というパターンが抜け落ちています。
マクりは成立条件が噛み合ってこそ可能な戦術でもあるのです。
詳しく説明していきます。
マクりは簡単に決まる戦術ではない
マクりは展開に大きな影響を及ぼすため、予想の際、マクりそうな馬がいる時は必ずといっていいほど意識します。
まずは考えるための好例として、2025年の皐月賞を挙げましょう。
過去走でマクる競馬をして好走したことがあるのは、ファウストラーゼンのみ。
前走の弥生賞ディープインパクト記念をマクって勝利、2走前のホープフルステークスでもマクって3着に好走しました。皐月賞でもファウストラーゼンがマクると期待していた人が多かったように思います。
しかし、私はかなりの自信を持ってファウストラーゼンを切りました。
弥生賞は稍重で時計の掛かる馬場、ホープフルステークスも年末の時計の掛かる馬場コンディションでしたが、皐月賞当日は好走した時とは全く異なる超高速馬場だったからです。
これだけでは伝わりにくいと思うので、少し説明します。
まず、競走馬はスピードが上がるほどその消耗度が大きくなり、使える脚の時間が短くなります。
たとえば1Fを10秒台で走る場合はほぼ全力に近く、長く脚を使うことはできません。
一方で12秒台であれば無理のない速度のため、より長く脚を持続させることが可能になります。
皐月賞のような超高速馬場の場合、ファウストラーゼンはそもそもマクることができないか、マクっても最後まで脚が持つことはないと考えることができました。また、テンの行き脚も付かない馬のため、外枠という条件も加われば、先行することはほぼ不可能だと考えられました。
結果、スタートを出てからが遅く、最後方からのレース。800m(4F目)手前からマクり始め、1000m(5F目)過ぎにマクり終えて先頭に立ちました。
以下が皐月賞のレースラップ。

4-5F目の12.5秒-12.3秒のところでマクったので、タイミングとしては良かったと思いますが、問題はその後のレースラップ。
全て11秒台を刻んでいます。
マクっている間のファウストラーゼンは11秒台で走っていると想定できますが、ここから最後まで11秒台のラップを持続することのできる馬はまずいません。
レースとしては後半5Fのロンスパ戦だと言えますが、ファウストラーゼンに関しては後半7Fもの長い脚を使わなければ、馬券に絡めないという計算が成り立ちます。
結果、残り200mまでは先頭でしたが、そこから急失速。1.2秒離されての15着に終わりました。6Fの脚は何とか使えたと言えますが、7Fまではさすがに持たなかったと言えるでしょう。
もし皐月賞がタフな馬場で行われたとして、後半2Fが大きく失速するようなラップになったなら粘れたかもしれませんが、超高速馬場でそうしたラップにならないということは容易に想像ができました。
では次に、弥生賞ディープインパクト記念、ホープフルステークスと比べてみましょう。
2025年弥生賞ディープインパクト記念
2025年弥生賞ディープインパクト記念は12.2秒の5F目からマクって先頭に立ちました。最後は12.7秒まで失速したものの、クビ差、ギリギリ残して勝利。12.7秒はバテたと呼べるラップですが、長く脚を使える武器を生かして押し切ったと言えます。

2024年ホープフルステークス
2024年ホープフルステークスは12.0秒の6F目からマクって先頭に立ちました。残り200mでクロワデュノールに捕まり、ファウストラーゼン自身は12秒台半ばまで失速していますが、こちらも大きくはバテず、3着に粘り込みました。

こうしてラップを見ると、マクって勝つには長くいい脚を使う必要があるということがよく分かります。
持続力よりも瞬発力が武器の馬でマクることは返り討ちに遭う可能性が高くなるため、基本的にはタブーだと言えるでしょう。
前回、スローペース向きの差し馬だと書いたデゼルは一度もマクったことがありませんが、それも当然。マクってしまっては上がり32秒台の上がりを使えなくなってしまいます。
また、高速馬場よりも低速馬場でこそマクりが決まりやすいということも分かるでしょう。先にも書いた通り、無理のない速度でなければ、長い脚は持続しません。
さらに詳しく説明すると、長距離は1F毎のラップが遅くなりやすいため、高速馬場でもマクりが選択肢になり得ます。
低速馬場だとしても直線の長いコースは直線でどれだけ伸びるかが重要になるため、マクりの頻度が低くなり、その成功率も下がります。
具体的にいえば、東京芝、新潟・阪神・京都の外回り(マクリは複勝回収率が100%を超えやすいのに、これらのコースに関しては100%を下回ります)。また、これらのコースはマクりが入るとしても長距離が大半を占めます。
ここまで見てきたように、マクりは条件が揃ってこそ成立する戦術です。
では、その条件が揃った時と揃わなかった時で、レースはどのように変わるのか。
次回は、日本ダービーという舞台を例に、マクりの成功例と失敗例をラップから読み解き、さらに深掘りしていきます。
まぐ
期待値馬券が全盛だからこそ、数字の裏付けがある「強い馬」を狙うべきという信念のもと予想理論『余力ラップ』を開発。立川優馬氏のオンラインサロンで行われた予想コンペティションで最優秀賞を受賞し、2023年10月より『ウマい馬券』に参画。2024年はプラス回収を達成し、トップ予想家としての地位を確かなものにした。
競馬予想の基礎を全7章にわたってまとめた電子書籍はこちら。
X(ツイッター) @33magu
