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CRMを入れてもExcelが消えない理由。AI時代の営業管理を考え直す

CRMは入っている。

顧客情報も入っている。案件も登録している。商談履歴も残っている。ダッシュボードだってある。

それでも、営業会議になるとExcelが開く。

重点案件一覧。見込み管理。今月の着地予測。会議用の案件表。

CRMの横で、Excelが今日も元気に営業会議へ出席している。

最初は、これをどうにかしないといけないと思っていた。

せっかくCRMを導入しているのに、結局Excelでも管理する。二重入力になる。数字もズレる。誰かのローカルファイルが、いつの間にか正しい数字として扱われ始める。

だから最初の発想は単純だった。

Excelをやめて、CRMへ寄せればいい。

システムの考え方としては、おそらく正しい。

ただ、営業現場を見ながら考えているうちに、別の疑問が出てきた。

そもそも、なぜExcelが残るんだろう。

単に新しいシステムが嫌だからなのか。Excelに慣れているからなのか。

もちろん、それもあると思う。

でも、それだけでは説明できないように感じた。

CRMは便利だけど、営業の見方までは決めてくれない

CRMには、かなり多くの情報を持たせられる。

顧客情報。案件金額。案件段階。受注予定日。確度。活動履歴。競合。決裁者。次回予定。

正しく使えばExcelよりはるかに強い。

複数人で同じ情報を見られる。集計できる。権限管理できる。履歴も残せる。他システムともつなげられる。

だから、この記事は「結局Excelが最強でした」という話ではない。

規模が大きくなれば、CRMやSFAの方がいいと自分も思っている。

ただ、CRMには一つ難しいところがある。

入力欄は用意してくれる。

でも、その情報をどう見て、何を判断するのかまでは自動では決めてくれない。

たとえば「案件段階」という項目がある。

何が起きたら案件が一段進んだと考えるのか。

提案書を送ったら進むのか。顧客へ説明したら進むのか。相手が提案内容を理解し、次の社内判断へ進む状態になったら進むのか。

全部違う。

「確度70%」という入力欄があっても、その70%が何を根拠に70%なのかは担当者によって違うかもしれない。

「次の一手」に「資料送付」と書かれていても、その資料を送ることで何を確認したいのかは分からない。

CRMは便利だ。

一方で、営業管理の型をある程度持っている人ほど価値を引き出しやすい道具でもある。

その意味では、少し営業上級者向けの側面があると思っている。

経験のある営業なら案件を見て、「決裁者がまだ見えていないな」「価格より切り替えの手間が問題なんじゃないか」「次はデモより、社内で誰がどう判断するのか聞いた方がいいな」と補完できる。

でも経験の浅い営業に「CRMをちゃんと更新してください」と言っても、その考え方まで自動的に身につくわけではない。

ここを整理せずCRMだけを入れると、システムには情報がある。でも、会議で本当に見たいものは見えない。

だからまたExcelを作る。

そんなことが起きるのではないかと思った。

Excelをなくしたかったのに、Excelを作り始めた

ここから少し話がおかしくなる。

CRMがあるのにExcelが残る状態を何とかしたいと思っていた。

その結果、自分は営業管理のExcelを作り始めた。

完全に逆方向である。

自分でも途中で、「Excel増やしてどうするんだ」とは思った。

ただ、目的はExcelを増やすことではなかった。

一度、営業では何を見て、何を考え、何を決めているのかを小さく組み直してみたかった。

CRMを大きく変更するとなると、それなりに準備がいる。既存項目への影響もある。利用者もいる。レポートもある。社内ルールもある。

その点、Excelならすぐ変えられる。

列を一つ増やすのに会議はいらない。いらなければ翌日消せる。名前が分かりにくければ、その場で変えられる。

そうやって触っているうちに、だんだん分かってきた。

自分が考えていたのはExcelの作り方ではない。CRMの作り方だけでもない。

もっと手前にある、営業管理そのものをどう設計するかという話だった。



AIを入れようとすると、曖昧さがさらに見える

そこへAIを組み合わせようとした。

案件情報をAIに読ませて、「この案件、次にどうしたらいい?」と聞く。

AIはかなりそれらしい回答を返してくれる。

「意思決定者との接点を増やしましょう」

「価格面の懸念を解消しましょう」

「次回提案では競合との差別化を明確にしましょう」

一見、もっともらしい。

でも何度か使っているうちに、別の問題に気づいた。

そもそもCRMに入っている情報が曖昧だったら、AIも曖昧な情報を材料に考えるしかない。

「価格がネック。先方慎重」

とだけ記録されている。

では、本当に相手が「高い」と言ったのか。営業担当が表情を見てそう感じただけなのか。予算そのものが足りないのか。競合より高いのか。社内説明の材料が不足しているのか。

分からない。

人間なら担当者本人に聞けば補える。

でもAIは、不足している部分を自然な文章で補ってくれることがある。

しかも文章がきれいなので、妙に説得力がある。

非常に流暢な勘違いが完成する。

ここまで考えて、AIを営業管理に入れるなら、AIの性能だけを見るのでは足りないと思うようになった。

その前に、人にもAIにも読める営業記録を作らないといけない。

ここから先では、CRMを入れてもExcelが残る理由、CRMの項目を何から考えるか、案件段階を何で進めるか、事実と仮説をどう分けるか、AIに何を任せるかまで具体的に整理する。

Excelそのものが必要ない人でも、今のCRMや営業管理を見直す材料にはなると思っている。


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