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信州人、鯛を釣る

・信州人は海に憧れる。これはもう避けようがない本質だ。幼い頃に諏訪湖を海と勘違いしていた私にとっても、海の「本物感」は揺るがないもの。そんな信州人が、鯛を釣る。鯛を釣るのだ。

漁港へ

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・そんな信州人たる私が一度やってみたかったのが「海釣り」。釣り好きな友人に誘われて、上越の漁港にやってきた。時刻は朝4時。完全なる非日常の時間帯だ。こんなストレートにエモい写真とれることある?

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・しかも今回は、よきに計らってくれた友人が「船釣り」を提案してくれた。いやゴッツい!諏訪湖のボートとかいうレベルじゃない。船釣りはもちろん、こんな船に乗りこむのすら初めてですからね私ゃ。

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・船上は最低限のスペースのみ。ここで数時間後には船釣りが始まっていると思うと動悸が激しくなる。周りには同乗する玄人らしき釣り人おじさまが続々と集まってくる。素人が紛れ込んでて、果たして大丈夫なのか…!?

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・などと思っていたが、清々しいほど杞憂だった!初心者だということが分かると、釣り人おじさまは笑顔に。「大丈夫、初心者でも釣れるから」と励まし、釣りの楽しさを語り出した。これで悪い人だったら世界は嘘。

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・船酔い用の薬も飲んで、いざ乗船の時。思えば、本州よりも外に出るのは台湾以来の2年半ぶりだ。なんだか久々に「旅」って感じがしてきたぞ。旅旅旅旅旅旅!!

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・そんな釣り人おじさまと一緒に、いざ出港!釣竿はレンタル。長靴にアウトドア装備。暑くなるかなと思ったけど、意外と海風は寒い。撥水や防寒装備の大切さはこういう時に身に染みる。

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・目的のエリアまでは1時間ちょっと。それまでは日本海を眺めながらの移動タイムだ。次第に陸地が小さくなっていく…。当たり前だけど、水辺線と朝日は絵になる。The様式美だ。

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・一方、玄人おじさまは波の揺れの中でも悠々と睡眠していた。貫禄たるや。かたや私はは慣れない揺れにいちいちビビり、友人は船酔いルートに突入しようとしていた。これが「海」…!!

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・揺れと眠気と格闘しながら目的地近くまで辿り着くと、釣り人おじさまが釣竿の使い方をレクチャーしてくれた。良い人成分の凝縮体。船釣りは玄人のものだと思っていたけれど、海や道具のことを学べることを考えると意外と初心者向けなのかもしれない。

鯛を釣る

・そして6時頃、遂に「釣り」が始まった。もうここまで来たら引き返せない。タイムリミットは正午。玄人のおじさまからも「いざ勝負」の気が滲み出ている。勝負はもう始まっていた。

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・まずはレクチャーに沿ってエサのオキアミを釣り針に括りつけていく。不器用ながらオキアミの身体を針に通し、撒き餌も詰めて5m以内で海に沈める。あとは基本的に待つだけだ。

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・たまに餌を取り替えては沈め、竿を揺らして反応を見る。そんなことを10分ほど繰り返していた時、船長から「来てるぞ!」の声が。見ると船酔いに苦しむ友人の竿がしなっている!ポケモンで見た「ひいてるひいてる!」のやつ。

・釣れた!思ってたよりすぐ釣れた。友人一匹目。この後、すぐに下処理をして真鯛確保。これはテクニックなのか運なのか…。「釣り」の要素を全身で浴びながら次のスポットへの移動を繰り返す。

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・他の玄人おじさんも、雰囲気につられてかドンドコ釣れる。友人よ船酔いを克服しながら次々に真鯛を釣り上げていく。気が付けば11時、船釣りは残り1時間。初海釣りは釣果ゼロ、そんなこともあるよな…と諦めかけたその時。

・獲ったどー!人生初真鯛。船長も周りの人もずっと気にかけてくれていたので、シンプルに嬉しい。やさしい世界。これが、「海釣り」…?これが、「真鯛」…?仮称アヤナミのように、じわじわと感動が芽生えていく。

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・リザルトとしては、友人と合わせて5匹は釣り上げた。1匹は私が持ち帰り。1尾3000円くらいが定価らしいので、合計15000円分は釣り上げたことになる。釣具屋のおっちゃんがオススメしてた、デカデカなクーラーボックス買っておいて良かった。

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・陸に戻ってきた頃には昼過ぎだった。初めての船釣りが終わり、何故かここに来てどっと達成感が押し寄せる。もう一日が終わった感覚だが、ここから家に帰れば「調理」が待っている。長い一日の後半戦じゃ。

鯛を食らう

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・失ったカロリーを補うべく、いざ釣ってきた真鯛をシンクに召喚。流石に生臭~い!山の民が暮らす部屋の一室に充満する新鮮な海スメルは、鮮度の証。こいつは早速調理せねば。

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・即席でYoutubeを見習いながら、ウロコはペットボトルのキャップで地道に削ぎ落して内臓をくり抜く。何度も見返しながら、なんとか鯛の子とアラを確保。「グロ!」とか「ヤバ!」とか言いつつも、無事に初捌き完了ッ!

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・ちなみに、鮮度が良ければ食べられると聞いた鯛の子はジックリコトコト煮ていくことに。手元にあった日本酒・みりん・しょうゆ・生姜と、砂糖の代わりにジンジャーエールを活用。上越の鱈の子とカラダドライの邂逅、果たしてどうなることやら…。

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・ちなみに不器用ながら何とか捌いた白身はこんな感じ。半分は鯛めし用にレンチンして日本酒みりん醤油(+すき家のテイクアウト牛丼で余った紅ショウガ)と一緒に炊飯器にドボン。

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・チンした鯛、これだけで良き香りが漂ってくる。こいつに顆粒だしを振りかけて炊飯してしばらくすると…

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・鯛めし完成!一人暮らし史上最大に炊飯器を活用した気がする。

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・グツグツグツ…。鍋いっぱいに鎮座する鯛の貫禄よ。白身がホロホロになってダシがジワジワ出てるのを眺めるだけで何故か多幸感がある。

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・最後にネギと味噌もブレンドして、ほどよくほぐして…鯛のあら汁も完成!昨日まで具なし味噌汁飲んでた食卓とは思えない。

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・そんでもって2時間程グツグツ煮込んだ鯛の子も完成!この色合いよ。

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・完成完成完成~~~~~~!!!まさか一人暮らしの男飯がここまでになるとは…。普段ソーセージとかチクワばっかり食ってる奴の食事とは思えん。もちろん日本酒との相性も最高の最高で、たらふく幸福状態と化した。

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・もちろんこの日は満腹で就寝。翌日に食べた鯛めし×野沢菜茶漬けも疲れた体に染み渡って最高だった。日夜で鯛づくし。これが、「釣り」…!

信州人が鯛を釣ってみて

・「釣り」について。一言で言えば、これは沼だ。エサもリールも釣り場も釣り方も調理法も、無限に組み合わせがある。そこからそれぞれが好みの一筋を選んでいくのだからキリがない。

・これは諭吉が吸い込まれるのも頷ける。ちなみに今回の予算として友人分も含め船代餌代車代など諸々で諭吉3人が海に沈んでいった。友人が言っていた「釣り人が釣り市場に釣られている」という言葉もまさしくだ。

・この引力はどこから来ているのだろう。大袈裟に言えば、生と死をかけたバトル、すなわち「狩り」の本能的な面白さなのかもしれない。釣竿が反応した時に無条件で鼓動か高鳴るからだ。

・普段全く凝った料理をしない自分が、ここまで料理を頑張ったこと自体も面白かった。自分で釣った魚じゃなかったらここまでやらなかった気がする。これも「釣り」の引力…!自分で狩って、自分で捌いて、自分で喰らう。清々しいくらいに原始的だ。

#信州見聞録 番外編。信州人が初めて鯛を釣り上げた結果。今までは単に海に対しての憧れだった感覚に、魚を釣る欲望が混じるようになった気がする。いずれは、寿司とか握るようになってしまうのかもしれない。現場からは以上です。

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山吹📒言葉と企画と信州と 記事を最後まで読んで頂き、ありがとうございます! いただいたサポートは全て創作のために使わせて頂きます。