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信州から未来に伝えたい「あるをつくして」の精神

私の住む長野県には、「あるをつくして」という方言がある。

『え〜宴もたけなわではございますが、締めということで。それでは皆様、あるをつくして!』

こんな感じで、宴会の席などで残っている食べ物を残さず食べてください、と呼びかける時に自然と使われる。

新卒入社した時の歓迎会でも、「さぁさぁ、あるをつくして。若い人からドンドンとって!」と促され、頼んだものは残さず皆でキレイに平らげた。

この言葉のおかげで、なかなか皿が空かない遠慮のかたまり問題も解消されるし、さらにはフードロス問題の解決にも繋がっている。

いつからあるのか、誰が考えたのかは分からない。それでも、この「あるをつくして」の精神が、私は好きだ。

もしかしたら、この言葉が生まれた背景には、山国という地理で食糧が十分になかった信濃の国で、今あるものを大切にする習慣があったのかもしれない。

この「あるをつくして」には「食べ物を残さずに」という意味に加えて、「その瞬間の力を出し尽くして」という意味もあるらしい。
真面目で何事にも熱心に取り組むことが信条だった祖父から、そう聞いたことがある。

仕事、恋愛、勉強、趣味…。目の前にあるのは理想的な環境ではないかもしれない。でも、今「ある」もの全てに感謝して、最後の最後まで出来ることを「尽くして」みる。

この言葉に、私も何度か助けられてきた。 頑張ったけれど第一志望に届かなかった時、コロナ禍で仕事が上手くいかなった時、「あるをつくして」の精神が前を向く原動力になった。

SDGsが叫ばれるずっと前から、信州人の精神として生き続けてきた「あるをつくして」。

もしかしたらこの言葉には、理不尽に溢れる現代を支えるスローガンになり得る力があるのかもしれない。

持続可能な未来に向かうために、あらゆる課題が山積みな現代。資源が「ない」。雇用が「ない」。つまるところ、未来が「ない」。

果たして、本当に「ない」のだろうか。見つけられてい「ない」だけで、安易な「ないものねだり」になっていないだろうか。

例えば地域の魅力。地元には何も「ない」と思ってしまうかもしれないけれど、見方を変えれば魅力が山のように「ある」のかもしれない。

食べ物に限らず、自分を取り巻く環境の全ての可能性を、本当に残さず頂ききれているのか。

それを問い「つくす」ことが希望「ある」未来を生み出すと信じて、この文章の締めとしたい。

それでは皆様、「あるをつくして」!

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