【展覧会レポ】プレイミュージアム 「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」雑誌『anan』や絵本『ぐるんぱ』の多彩なデザイナー
#立川 #プレイミュージアム
「#堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」
雑誌『anan』や『BRUTUS』(ともに平凡出版、現・マガジンハウス)のアートディレクション、絵本『ぐるんぱのようちえん』(福音館書店)の絵で知られる堀内誠一(1932~1987)の展覧会。

FASHION・FANTASY・FUTUREという「3つの堀内誠一展」を同時開催。

最初の「FASHION展」のコーナーでは、
堀内氏がアートディレクションを手がけた『anan』のページを展示。
「(公式より引用)洋服、ヌード、音楽、ダンス、会話、食べ物、ライフスタイル、旅行など、あらゆることがファッションなのだと。堀内は『anan』で生きることの喜びと素晴らしさを高らかにうたいあげ」たとのこと。
見学したのが毎週開催があるというギャラリートークの日時だったので、解説が聴けました。
(ギャラリートーク覚え書き)14歳で伊勢丹百貨店の宣伝課に就職。
デザイナーとして勤務しながら、絵を描き続け、26歳の時に初の絵本。を出版。
お父様が図案化だったり、近くに進駐軍の施設があったり、様々な絵に触れる機会はあったそうです。(以上。言い回しはギャリートークそのままではなく、要約や解釈の入った概要です。)
2番目の「ファンタジー展」。
堀内氏が絵を描いた絵本の原画や、絵本現物、
複製、絵本を映像化したものなど。
代表作「ぐるんぱのようちえん」に基づいた象のオブジェも。

「〜ようちえん」は職業体験のお話の絵本。大きな象のぐるんぱが仲間たちから離れて、ビスケット屋や靴屋などの仕事を手伝うが、作るものが大き過ぎて、どこでも長くは働けませんでした。ところが、ぐるんぱが輝ける場所が見つかり…というストーリーです。巨大なビスケットや靴というユーモラスな表現の夢物語のようで、独り立ちや自分らしさ、適材適所をテーマとしているようにも感じられます。
(ギャラリートーク覚え書き)ファンタジーを経験していれば、想像力、観察力が生まれる。想像することの力が生きる糧になる。ファンタジーをテーマにした絵本9冊の原画。大男トロルがテーマの絵本もあり、展示されている大きな絵本は、トロルのサイズ。「てがみのえほん」は、違う国からの手紙という設定なので、ページごとに違う画風で描かれている。(以上)

こちらのコーナー等、館内の一部のみ撮影可でした。
「てがみのえほん」は、びっくりするほどバラエティに富んだ画風で、知らなければ同じ画家の手によるとは思われなさそうです。
他の絵本でも、一冊ごとに画風が違うくらい、器用に絵柄を使い分けています。
外国の絵本のように、描き込みがありパース(遠近感)が正確な、やや写実寄り絵もあれば、背景が模様になっていたり、横から見た図と上から見た図が同じ絵の中にあったり、常識にとらわれない描き方もあります。

中でも、代表作とされる「ぐるんぱ」の絵本では、象の皮膚の質感を、ざっくりした絵の具の塗りや、引っ掻いて描いたようなラフな線で表現しており、写実主義やデッサンは無視しているように見えます。
構図なども、現実にはありえない、空間が歪んだような絵もあります。絵本の内容も相まって、「のびのびと自由で良い」「丁寧さや上手さだけを目指さなくても、生き生きと、自分らしくあれば良い」というメッセージを感じました。
ぐるんぱと、他の絵本のややカッチリした絵は「別人のよう」という見方もありつつ、色の選び方や乗せ方は一貫しているようにも思えました。赤、緑などの物本来の色=固有色を多く使い、あまり色を混ぜないし、中間色よりは原色多めでくっきりしている。光や影の表現は控えめ、という印象です。
3番目の「FUTURE展」。
「堀内を敬愛する方々100人が好きな作品を推挙し、堀内から受け取ったもの、未来へ伝えたい言葉とともに展示します。(公式より引用)」というコーナー。
1.2番目では分けられていたデザイン・ディレクションと絵本というカテゴリー分けではなく、それぞれの心に残った作品をコメントと共に紹介していました。
ファンタジーのコーナーで絵本をいろいろ観られて良かったのですが、個人的に一番好きな絵本の展示がないなぁと思っていました。
子供の頃、唯一買ってもらえた絵本が「たろうのおでかけ」でした。鮮やかな表紙に惹かれて選んだような。
ファンタジーのコーナーになかったので、今回は観られないかと思いきや、FUTUREコーナーで、この絵本の原画とコメントがありました。
「たろうのおでかけ」の絵の枚数は少なかったものの、絵本もデザインワークも、本当に多岐に渡り紹介されており、仕事量や幅の広さに圧倒されました。
ぐるんぱのような、子供の絵のような自由さや素朴さを前面に出した絵以外にも、たしかなデッサン力を感じさせる絵や、緻密なデザインワーク、美しいレタリングの手描きロゴなど、職人技が光る作品も多かったです。
現代は、年々デジタル化が進んでおり、昔はロゴやレイアウトは手描きや切り貼りなどの手作業が当たり前、文字は写植を使用、紙の版下等だったのが、大半がパソコン作業に置き換え可能となっています。
膨大な手間を簡易化した時代の流れで、便利さや良くなった点も沢山あるとは思いつつ、手作業でデザインしていた時代のデザイナーさん達には、やはり敬意を払います。今回の展示でも、手描きロゴや、デザインラフ等の美しさを改めて感じました。
堀内氏が80年代に亡くなった為か、70〜80年代には人気作品、超有名だと感じていた絵本等も、世代によっては、意外と知らない人もいるようです。
2000年のテレビドラマ、『天使が消えた街』で絵本『ぐるんぱのようちえん』が取り上げられた際には、書店に平積みになり、ブームが再燃したとの話もあります。
今回の展覧会も、これをきっかけに、若い世代や懐かしいと感じる世代も、堀内氏の作品に再注目しそうな、良い企画だと思いました。

撮影可な場所では、これのみでしたが、館内の作品に、たまにリスがいたり、グッズコーナーにも、ゲルランゲのカード一種や、動物柄のバッグ等に小さなリスもいました。リス好きさんは、ぜひ探してみてください。

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PLAY! MUSEUMにて4月6日(日)まで開催中。
〒190-0014
東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3棟
GREEN SPRINGSは、「2020年4月、JR立川駅北側に誕生した複合施設。(略)PLAY!のほか、多機能ホールやホテル、オフィスやショッピングエリア等が配されています。」(公式より引用)


Googleマップでは入り口が表示されないので、公式サイト等をチェックしてから行かれることをおすすめします。
スマホの地図を見て行きたい場合は、「たましん美術館」のすぐ近くにも入り口があり、そちらを目指した方が分かりやすいかも、というのが現地に行った感想です。
たましん美術館は、時間切れで行けなかったのですが、ロビーに大きなリスもいたので、次回は拝見したいと思います。


