ショートショート:1277回目の今日
こんにちは。不屈の屈葬です。
今回は「#チャレがや杯2026」への参加作です。
以下の13のワードから、二つ以上を選び必ず作中に入れるという制約の下、短編小説(エッセイでも可)を書きました!
『 ①モーニング ②ライター ③バレンタイン ④黒歴史 ⑤コンテスト ⑥告白 ⑦女優 ⑧大学 ⑨月 ⑩プール ⑪嘘 ⑫怨念 ⑬おとしもの 』
よろしくお願いします!
(本文:1277字)
* * *
今日も蝉の鳴き声で目が覚めた。寸分違わずいつも通りの朝だ。
なお、「寸分違わず」も「いつも通り」も、決して大袈裟ではない。
今日は、1277回目の今日。
僕はずっと、今日という日をループし続けている。
一日の終わり方は決まっている。
虚ろな目のアイツが枕元に現れて「世界の秘密に気づいたか?」と問う。
僕が「気づかない」と答えると、画面が真っ暗になるような感覚があって、再び同じ朝を迎えるのだ。
「皓、早く朝ごはん食べちゃいなさい」
母の1277回目の呼びかけが聞こえた。僕は軽く返事をして食卓へと向かい、1277日連続となる目玉焼きを食した。恐らくギネス記録だろう。記憶だけはずっと引き継がれるので、いくら目玉焼きとはいえかなり飽きがきている。今日はマヨネーズで味変したので母が「いつもは醬油だよね」と珍しがっていたが、実はマヨネーズをかけるのもこれで53回目だ。いずれにせよ朝からトンカツの日とかにループに突入しなくて本当によかった。
当然だが、僕の行動次第で「今日の在り方」はそれなりに変化する。しかし一方で、大筋は変わらないことも分かってしまった。バタフライエフェクトなんて言葉もあるが、結局は僕一人が一日に変えられることなんて、たかが知れているようだ。
1277回目の今日は、学校をサボってゲームセンターに行くことにした。別に「世界の秘密を探す」とか、高尚な理由じゃない。「どうせリセットされてしまうなら楽しんだもん勝ち」の精神である。小遣いを節約する必要もないので、一日中遊び倒して帰宅してやった。
なお、この繰り返される今日には、どう転んでも避けがたいイベントが必ず2つ発生することが分かっている。
1つはnoteで「チャレがや杯2026」関連の記事を読むイベントだ。自分から読もうとしなくても、必ず誰かに読まされてしまう。今回の今日は帰宅してから妹に促されて半強制的に読まされるパターンだった。
もう1つは誰かが「逆に考えよう!」というセリフを吐くイベントだ。僕の行動次第で状況は変わるものの、誰かしらがこのセリフを口にする。今回はまさかのゲームのキャラクターのセリフだった。
とにかくこれはヒントだ。この2つのイベントがこの世界の秘密と関係することは明白である。
そして1277回目の今夜も、相変わらず虚ろな目のアイツが枕元に現れ、問いかけてきた。
「世界の秘密に気づいたか?」
僕は「気づかない」とだけ答えた。
アイツは「まだ気づかないのかよー」感を出しながら、再び今日をリセットした。僕がループを抜け出さない限りアイツもこのやり取りをやめられないようなので、ほんのちょっと気の毒だとは思う。
だって僕は、世界の秘密にとっくに気づいている。
単に好き勝手過ごしてもリセットされるこの生活が気に入っているだけだ。何なら、この世界で疑似不老不死を謳歌しようと思っている。
そう、この世界は「チャレがや杯2026」のために書かれた舞台だ。
逆に考えたら「ループ」は「プール」で、「皓」は「告白」で、「虚ろ」もちょっと無理すれば「嘘」だということまで、僕は全部気づいている。
(了)
* * *
使ったワードは、⑥告白、⑩プール、⑪嘘の3つでした!
最後までお読みいただきありがとうございました!
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップは全額必ずプリニスト(プリン愛好家)としての活動費(プリン代)に使わせて……いただきまーす!