20代ITエンジニアの市場価値の作り方
20代のITエンジニアにとって、「市場価値を上げる」とは何でしょうか。
資格を取る。プログラミング言語を増やす。最新技術を勉強する。
もちろん、どれも無駄ではありません。
ただ、AIによって実装や調査といった「作業」の一部が効率化されるようになった今、私は市場価値の考え方も変わってきていると感じています。
重要なのは、何の技術を知っているかではなく、その技術を使って何を任され、どんな問題を解決し、どこまで仕事を前に進められるかです。
この記事では、20代ITエンジニアが市場価値を作るために、どんな経験を意識して積むべきかを整理します。
結論:市場価値は「技術 × 業務 × 推進力」で作る
若手エンジニアが目指したいのは、「何でもできます」という状態ではありません。
むしろ、次の3つを組み合わせることが重要だと考えています。
技術:システムを作り、技術的な問題を解決できる
業務:なぜそのシステムが必要なのか理解できる
推進:関係者を巻き込みながら仕事を前に進められる
例えば、
「Javaが書けます」
だけより、
「Javaで金融系システムを開発し、要件定義にも関わり、関係者と仕様を調整できます」
のほうが、「この人に何を任せられるのか」が明確です。
市場価値とは、資格や技術名の数ではなく、企業側が『この仕事を任せたい』と思える能力の組み合わせに近いものだと思います。
1. AI時代は「作業者」と「仕事を動かせる人」の差が広がる
私が市場価値を強く意識するようになった背景には、AIの登場があります。
AIによって、コード生成や調査などの作業は以前より効率化できるようになりました。
その結果、私は「作業そのものを担当できること」の相対的な価値は下がっていく可能性があると考えています。
一方で、
何を解決するべきか考える
必要な情報を集める
関係者と調整する
優先順位を決める
判断して実行する
結果に責任を持つ
といった仕事は、単純な作業とは性質が違います。
そのため、同じ20代でも、経験を積んで「仕事を任せられる状態」になった人と、指示された作業だけをこなす人では、市場から見た評価に差がつきやすくなると感じています。
これは「28歳なら22歳より必ず価値が高い」という意味ではありません。年齢だけで市場価値が決まるわけではないからです。
ただし、22歳の新人と比べて、28歳までに実務経験を積み、主体的に仕事を動かせるようになった人のほうが、採用側から見て任せられる仕事の幅が広い、という構造は十分に考えられます。
だからこそ、20代のうちに「年齢とともに経験の質を上げる」ことが重要だと考えています。
2. 最初に考えるべきは「自分は何を任せられる人か」
市場価値を考えるとき、資格一覧から考えると迷いやすくなります。
先に考えたいのは、
「自分は、どんな仕事なら一人で任せてもらえるのか?」
という問いです。
例えば、
APIを設計・実装できる
フロントエンドからバックエンドまで対応できる
要件を整理できる
顧客との打ち合わせに参加できる
小規模チームのタスクを整理できる
会議をファシリテーションできる
後輩を育成できる
などがあります。
技術だけでなく、仕事を進める能力まで含めて「任せられる範囲」を広げていくことが、市場価値につながります。
3. 技術は「広げる」より「使って結果を出す」
20代でありがちな失敗が、技術スタックの収集です。
Javaを勉強した。
Reactも触った。
AWSも勉強した。
TypeScriptも書ける。
これ自体は悪くありません。
ただし、採用側からすると「それで何をしたのか?」が重要です。
例えば、
「AWS Lambdaを使ったことがあります」
より、
「Lambdaを使って複数チャネル間のデータ連携を実装した経験があります」
のほうが、仕事を任せるイメージが湧きます。
技術名ではなく、技術を使って解決した課題を残すことをおすすめします。
4. 「自分から手を挙げた経験」は市場価値になりやすい
私自身、転職活動で評価された経験の一つが、与えられた仕事だけではなく、自分からプロジェクトリーダーに名乗り出た経験です。
ほかにも、
小規模なチームマネジメント
ファシリテーション
新人のインストラクター
といった経験がありました。
ここで重要なのは、肩書きではありません。
「リーダーでした」と言うだけではなく、
なぜ自分が手を挙げたのか
何を考えて動いたのか
誰と調整したのか
どんな問題があったのか
結果として何が変わったのか
まで説明できることが重要です。
市場価値を高めるうえでは、受け身で仕事をこなす経験より、自分で課題を見つけ、周囲を巻き込み、仕事を動かした経験を意識して増やしたいところです。
5. 「効率化した」だけでは市場価値になりにくい
逆に、私が市場価値につながりにくいと感じている経験もあります。
その一つが、業務効率化ツールの開発・配布です。
もちろん、業務を効率化すること自体は価値があります。
ただし、単に「便利なツールを作りました」だけでは、転職市場で評価される経験としては弱くなる可能性があります。
重要なのは、
どんな課題があったのか
なぜその方法を選んだのか
誰が使ったのか
どの程度の範囲に影響したのか
導入後に何が変わったのか
まで説明できることです。
つまり、ツールそのものではなく、課題発見→設計→周囲への展開→結果まで含めて初めて強い経験になります。
6. 技術記事や資格も「持っているだけ」では弱い
Qiitaなどへの技術記事投稿も同じです。
新人のうちは、「技術記事を書いた」というだけでも、学習意欲やアウトプットの姿勢として評価されることがあります。
しかし、転職活動では記事の本数だけではなく、内容の濃さや、実際にどんな問題を解決したのかまで見られます。
資格も同じです。
「資格を取った」ことと、「その知識を仕事で使える」ことは別です。
したがって、資格・記事・技術スタックは、市場価値そのものというより、実務経験を補強する材料として考えるほうが合理的です。
7. 20代の転職は「社会人基礎力が身についた後」が強い
私は、タスク管理能力や社会人としての基礎能力が身につき、自分のキャリア形成の方向性が明確になった段階での転職は、かなり有利になりやすいと考えています。
新人の段階では、まず与えられた仕事を正確に進めることが重要です。
そこから、
自分でタスクを管理する
周囲とコミュニケーションを取る
問題があれば相談・調整する
自分の得意・不得意を把握する
今後どんな仕事をしたいか考える
といった能力が身についてくると、転職先に対して「何ができるのか」「何を伸ばしたいのか」を具体的に説明できるようになります。
転職は、単に「今の会社を辞める」ためのイベントではありません。
次の会社で、どんな経験を積んで市場価値を高めるかを選ぶイベントです。
8. 市場価値の高い若手には「言語化」と「主体性」がある
私が転職活動を経験して感じたのは、市場価値の高い若手には共通して、二つの特徴があることです。
一つ目は、言語化能力が高いこと。
自分が何をしてきたのか、何に問題意識を持ち、なぜその行動を取ったのかを説明できます。
二つ目は、主体的にプロジェクトを引っ張った経験があること。
必ずしも大規模なプロジェクトの責任者である必要はありません。
小さなチームでも、担当領域でも構いません。
「自分が中心になって前に進めた」と言える経験があることが重要です。
この二つは、AIによって単純作業の効率が上がるほど、さらに重要になる可能性があります。
9. 私自身は「自社プロダクトの専門性」を次の市場価値にする
私自身の次の3〜5年を考えると、目指したいのは、自社プロダクトに関する専門性を高めることです。
単に製品の機能を知っているだけではありません。
どんな業務課題を解決する製品なのか
競合製品と比べて優れている点は何か
逆に劣っている点は何か
なぜその仕様になっているのか
顧客にとってどこに価値があるのか
まで理解し、説明できる状態を目指しています。
これは、これまでの金融系システム開発で培った技術経験に、今後積み上げる会計・経営管理領域の業務知識を掛け合わせるイメージです。
さらにPL/PMとしてプロジェクト推進の経験を積めれば、技術・業務・プロジェクト推進を横断して理解できる人材に近づけます。
私にとっては、これが単純に「技術を増やす」よりも、3〜5年後の市場価値につながると考えています。
10. 市場価値を考えるときは「今の年収」だけを見ない
転職では、年収が上がることも重要です。
ただし、年収が上がったから市場価値が上がった、と考えるのは順番が逆です。
私は転職活動で、年収だけではなく、
3〜5年後の市場価値
実際に得られる経験
業務ドメインの専門性
PL/PMへの成長可能性
自分の強みとの相性
を比較しました。
その結果としてDIVAへの転職を選び、700万円の提示を受けました。
この経験から、市場価値を高めるための環境を選んだ結果として、年収が上がるという考え方をしています。
まとめ
20代ITエンジニアの市場価値を高めるなら、資格や技術を増やすだけでは足りません。
意識したいのは、次の6つです。
自分が何を任せられる人なのかを明確にする
技術を使って実際の課題を解決する
業務知識を一つの専門性として育てる
自分から手を挙げ、仕事を動かす経験を作る
経験を「作業」ではなく「課題→行動→結果」で説明できるようにする
3〜5年後にどんな専門性・役割を持ちたいかから逆算して仕事を選ぶ
最終的に強いのは、
「技術が分かる」だけではなく、「業務が分かり、問題を言語化し、主体的に仕事を動かし、その結果に責任を持てるエンジニア」
だと思います。
20代のうちは、資格数や肩書きだけを追うのではなく、1年後、3年後に「自分は何を任せてもらえる人になっているか」を基準に経験を選んでいくことをおすすめします。
