不登校の子に父親が言いがちなセリフ5つ。ほぼ全部言った側から書きます
これから並べる5つのセリフのうち、4つを私は実際に口に出しました。
評論ではなく、反省文として書きます。
ネットの「不登校の子に言ってはいけない言葉」みたいな記事は、私も散々読みました。
読んで「そんなの言うわけない」と思っていた側の人間が、全部言っていた。そういう記録です。
言った場面と、そのあと何が起きたかをセットで残しておくので、喉まで出かかっているお父さんの参考になれば。
「逃げるな」
最初の朝に言いました。私の代表作です。
ワイシャツの袖のボタンを留めながら、玄関で言いました。出勤前の、時間のない朝でした。
言った側の気分は「檄を飛ばした」でした。受け取った側には「お前は弱い」と届いていたようです。
あとから息子がぽつりと「あの朝が一番きつかった」と妻に言ったと聞きました。
本人は限界まで戦ったあとに、玄関でとどめを刺された格好です。
不登校は逃げの結果ではなく、逃げずに粘り続けた結果だった。うちの場合は、そうでした。
「休ませたら癖になる」
これは妻に向けて何度も言いました。詳しくは前に1本書いたので短く。
癖になるどころか、休ませなかった分だけ回復が遅れた、というのがうちの結果でした。
電池が切れた子に気合いは入りません。
ついでに言うと、このセリフを言っている間、私は妻という味方を一人ずつ失っていました。
子どもに効かないうえに、夫婦を壊す。二重に高くつくセリフです。
「俺が中学の頃はな」
食卓で言いました。部活がしんどくても行った話を、武勇伝として。
息子は黙って席を立ちました。当たり前です。
30年前の、別の人間の、別の学校の話です。あのときの息子には、自慢話の形をした説教に聞こえたはずです。
そもそも私の中学時代には、SNSも、24時間つながり続けるグループチャットもありませんでした。
学校の門を出たら人間関係が切れた時代の攻略法を、切れない時代の子に語っていたわけです。
自分のサンプル1を一般法則みたいに語るのは、父親の悪い癖だと思います。私の、ですが。
「お母さんが甘やかすからだ」
これが一番ひどかったと自分で思います。
息子ではなく妻に撃った弾ですが、リビングで言ったので息子にも聞こえていました。
あとで妻に聞いたら、息子はその夜、「僕のせいでお母さんが怒られてる」と泣いたそうです。
子どもって、自分のことで親が揉めると、揉めさせている自分を責めるんですね。
あとで気づいたのですが、これは「自分のせいではない」と言いたいだけのセリフなんです。
犯人探しは、家庭内で一番安くて、一番高くつく娯楽でした。
妻との関係の修復には、セリフ1つ分よりずっと長くかかっています。まだ途中です。
「ゲームは没収だ」
これだけは、未遂です。ルーターに手をかけて妻に止められました。
言い切る前に止まれたのは、私の理性ではなく妻のおかげです。
唯一残った窓を塞いでいたら、と思うと今でも冷えます。
この話は長くなるので別で1本書きましたが、要点だけ書くと、取り上げたくなったときは「これはあの子の最後の何なのか」を先に数えたほうがいいです。
最後の楽しみ、最後の人間関係、最後の会話の糸口。全部だったりするので。
並べてみて気づくのは、5つとも根っこが同じことです。
「早くこの状況を終わらせたい」という、親側の焦りから出ています。
子どものためのセリフの顔をして、全部、自分のためのセリフでした。
で、焦り自体は今も消えていません。たぶん消えません。
新種の焦りは毎週湧いてきます。セリフになる前に気づけるかどうか、毎週の勝負です。
先週の成績は、たぶん2勝1敗でした。
負けた1敗は「今日は調子よさそうだな」です。これがなぜ負けなのかは、また今度書きます。
