「¥900→¥1,700」の値上げ!15年連れ添ったEvernoteからの脱出計画
◆ Evernote値上げショックと、1.5万件のデータ移行が引き起こした「移行失敗記」
別れた彼女にはいつまでも未練タラタラで、熱しやすく冷めにくい、断捨離不適格者、ふつつかこうへいです。
私はEvernoteが日本で正式にサービスを開始した2010年以来、15年以上にわたりサービスを使い続けてきました。
「第2の脳」といえば現在は「Obsidian」を指すことが一般的ですが、
テキストメモ・画像・PDF・Officeファイル・音声ファイルなんでも保存できる
テキスト以外にもPDFやOfficeファイル内の文字まで検索できる
Webクリッパー機能が秀逸
ToDoリストなどを利用してタスク管理も可能
ノート→ノートブック→スタックというように階層的に整理可能
ノートの共有や、他のユーザーとの共同編集が可能
といった数あまたの機能を持つEvernoteは、2010年のデビュー当時、「第2の脳を実現する!」ともてはやされたものでした。
しかしその後、
機能を盛り込みすぎたためにアプリの挙動が激重に!
加速するアプリの使い勝手の悪さ
度重なるサブスクリプション料金の値上げ
サービス内容の改悪・・・etc
といったサービスの低下・使い勝手の悪化が重なり、更には2024年4月の「日本法人解散」という衝撃的なニュースがとどめを刺し、
「Evernoteは完全に終わった」
とユーザーたちから見限られてしまったのでした。

しかし私はそんな数々の試練、仕打ちにも耐えてきました。
といえば聞こえは良いですが、実際のところ15年も使用して、ポイポイと雑多あまたのデータを放りこんだ私のEvernoteのノート数は「15,000」を優に超えており、おいそれと他のサービスに移行することが困難になっていたのです。
【プロローグ】長年連れ添ったEvernoteからの、1,700円という不意の絶縁状
そんな時、月額¥900(既存ユーザーということで少し安くなっていたのだと思います)から¥1,700という大幅値上げのメッセージが届きます。

長年連れ添った伴侶・恋人から、
「もっと貢いでくれないなら、もう別れてくれないかな?」
と絶縁状を突きつけられた気分でした。
ここまで言われては、いくら未練がましい性格で名を馳せた私としても、さすがに黙ってはいられません。
「もう君とはやっていけない」
長年連れ添った恋人に別れを切り出し、新たなパートナー探しを始めたのです。
【第1章】理想の「パートナー」を探して(OneNote、UpNote、Keep Itへの淡い期待)
ChatGPTやGeminiと壁打ちを繰り返した結果、Evernoteからの移行先として、
OneNote
UpNote
Keep It
の3つのサービス・アプリが有力であると結論づけられました。
各サービスの機能やEvernoteからの移行のしやすさなどは以下の通りです。

一長一短といったところですねぇ。
Microsoft 365を持ってるからOneNoteはタダで使える?
私はマイクロソフトのOfficeサブスクリプション、「Microsoft365 Personal」に課金しています。
そのため、Officeスイートに含まれるOneNoteは「追加料金なし」で使用可能!
今回Evernoteに別れを告げようと思ったのは「サブスクリプション料金の高さ」ですから、これは大きなメリットです。
◆OneNoteのメリット
Microsoft365に課金していれば追加料金がかからない
PDFの中身や手書きメモもOCR機能で検索可能
データ保存先としてOneDriveが1TB提供されている
◆OneNoteのデメリット
OneNoteは「ページ」という概念が強く、Evernoteのような「ノート一覧」の管理が少し特殊
公式のデータ移行ツール「OneNote Importer」は終了。現在はEvernote2Onenoteというフリーソフトを使う必要がある
ノートブック内のファイル・セクションに「2GB」の容量制限がある(同期エラーが発生してしまう)
大量のノートを登録すると、動作が遅くなる可能性がある
「Evernoteを現代的にして、動作を劇的に軽くした」UpNote

Evernoteのユーザーだった映画監督の新海誠氏が乗り換えたことで話題となったのが「UpNote」です。
何より画面構成がEvernoteに激似で、使い勝手がほとんど変わらないというのが、移行者の心を安堵させます。
◆ UpNoteのメリット
月額料金が安い(現在は値上げされて¥310)
買い切りプランもある
動作が軽い
公式インポーターが優秀で移行が楽
Webクリッパー機能が優秀できれい
◆ UpNoteのデメリット
PDF検索はファイル名のみ、手書きメモは検索できない
紙資料をスキャンしてPDF化、それに検索をかけることができるのが私が長年Evernoteを使い続けていた大きな理由の1つ。
それができないのは致命的です。
「Appleユーザーなら最強⁈」Keep It
Evernoteと近い操作感を持ち、強力な検索機能も持ち合わせるのが「Keep It」です。

◆ Keep Itのメリット
強力なOCR機能(手書き対応)PDFや画像内のテキストを自動でインデックス化し、全文検索が可能
MacのFinderに近い感覚でファイルを管理できる
Webクリッパー機能が秀逸。WebページをPDF、Webアーカイブ、プレーンテキストなど好みの形式で美しく保存できる
サブスク料金が安く買い切りプランもある
◆ Keep Itのデメリット
Apple環境(Mac・iOS)にしか対応していない
データ同期にiCloudを使用するので大量のデータを扱う場合、iCloudのストレージプランの契約が必須となる
Webクリッパー機能が基本的にSafariのみ。Chromeなどでは使用できない
現在Mac+iPad+iPhoneという環境で、Windowsは極たまにしか使用しないので「Appleオンリー」なのはまあいいとして、
MacではChromeかCometというChromiumベースのブラウザを常用しているので、WebクリップのためだけにSafariを立ち上げるのはちょっと・・・という感じですね。
【結論】追加料金なしのOneNoteで行こう!
結局、
追加料金なし
Webクリッパー機能が優秀
PDF、手書きメモも検索可能
Windows環境でも使える汎用性
というメリットから、とりあえずOneNoteに移行してみることにしました。
失敗しても追加料金なしですしね。
【第2章】15,000件の「過去」が牙をむく
EvernoteからOneNoteへの移行作業には年末年始のお休みを充てたのですが、その作業は当初の予想をはるかに超える、壮絶なものとなりました。
いざ、エクスポート。しかし15,000件のノートはもはや単なるデータではなく、10年分の「人生の澱(おり)」

Evernoteからのデータ移行は次のような手順で行いました。
1. Evernote側でのデータを拡張子「enex」で書き出し
2. 移行ツール「Evernote2Onenote」でenexファイルを読み込みOneNoteへ
3. OneNote側での同期とOCRの有効化を待つ
ところがまずEvernote側のエクスポートがとんでもなく時間がかかりました。
一括エクスポートすることはできず、60程度ある「ノートブック(個々のノートをまとめたもの)」を個別に選択し、エクスポートしていかなくてはなりません。
そして数千のノートを収めたノートブックのエクスポートには、
「半日〜丸1日、最大で一昼夜」
かかったのです(ふ〜)。
15,000以上もあるノート全てをエクスポートするのに、結局丸4日を費やしました。
OneNoteに流し込んだ瞬間に始まる、終わらない「同期中」の進行インジケーター

エクスポートしたenexファイルはノートブックの数と同じく60個以上あります。
このenexファイルを一つ一つ「evernote4onenote」というWindowsアプリを使ってOneNoteにインポートしていくのですが、これがまた・・・。
結局エクスポートと同じく丸4日。
正月休みはこのエクスポート&インポートだけで終わってしまいました。
【第3章】「重すぎる」という名の絶望
悲劇は続きます。ネバーエンディング・ストーリーです。
ノートブックが開けない!
OneNoteはデータをクラウドであるOneDrive上に保存するため、データをインポートした後もフォルダ構造やインデックスの作成、OCRの実行などで数日間はノートブックを開けません。
この間はデータを見ることができませんでした。
ノートを検索すると固まってしまう⁈
3日ほど待ってみると、何とかノートブックが開けるようになりました。
が・・・
ノートブックを開くたびに10秒以上待たされます。
そして、望みのノートを検索するとクルクルマークが出て検索ができず、iPhoneのOneNoteアプリなどは固まって操作不能状態です。
「あ、これ、無理だわ」
私の歩んできた15年の蓄積データはただの足かせとなり、私の正月休みは無に帰したのでした。
【エピローグ】不本意ながらEvernoteと復縁

結局、再びEvernoteのゾウのアイコンをタップする。
検索ワードを入力すると待つことなく希望したノートが表示される。
まるで 「おかえり」と言わんばかりに、サクサク動くEvernote。
Evernoteを買収したイタリアのテクノロジー企業Bending Spoons(ベンディング・スプーンズ)社は、高いサブスクリプション料金を取るだけあって、やることはやるんです。
動作もサクサクしているし、AI検索は優秀。
今後のバージョンアップで、
「AIアシスタント」・・・OpenAIと共同開発。ノートの作成・整理・タグ付けなどをAIに依頼
「セマンティック検索」・・・関連したノートをすぐに見つけて情報にアクセス
「AIミーティングノート」・・・Evernote上で会話を録音。要約や文字おこしが可能
といった「今どき」の機能を実装するといいます。
高いくせに、使い勝手だけは最高という憎たらしさ。
ちょっと悔しい。
切れぬなら、使い倒そうEvernote
現在ChatGPT、Gemini、Perplexityの3つのAIサービスに課金している身としてはEvernoteの値上げは痛いですけれども、今回の試行錯誤でまたしばらくEvernoteとは縁が切れないことが分かりました。
であるならば、Evernote、徹底的に使い倒してやろうじゃないか!
具体的にはEvernoteをObsidianの召使いとして使用する。
そう決意し、次の「Evernote活用編」に続きます。
