風営法改正目前!ソープランド経営者に迫る決断の時
今、性風俗業界に起きていること
ガールズヘブン 2025年3月限りでソープランドの掲載取りやめ
バニラ ソープランド掲載の新規受付停止・プラン変更停止
────2025年2月21日、業界に衝撃が走った。
業界最大手クラスの女性求人媒体がソープランドの掲載を取りやめるという情報が出回ったからだ。
意外にも、業界の当事者からは「やっぱりか」という声も少なからず聞こえてくる。
今、性風俗業界に何が起きているのか?これからどうなっていくのか?
これまで10年以上性風俗業界の現場に関わってきた筆者が、性風俗業界とスカウトに焦点を当て、備忘録がてら書き残していく。
万博が間近に控えているから取り締まりが厳しく行われているという言説もあるが、こと今回においては、それだけが原因と断じるには早計だろう。

────2024年10月末ごろに「ヘブンの捜索差押(通称ガサ入れ)」が話題となった。九州エリア近郊ではソープランドを開業するにあたって「ヘブン」こと、シティヘブンネットへの掲載はもはや当然のことだった。飲食業界なら「食べログ」などと同じように、これから店舗型性風俗(ソープランド)を開業するのであれば掲載して当然、というような立ち位置の王道サイトだった。その代理店にガサが入ったとあって、報道こそされなかったが、業界への衝撃は非常に大きなものだったのだ。
そして、ガサ入れの理由は職業安定法違反の疑いだと噂されていたところ、直後にシティヘブンネットの女性求人媒体である「ガールズヘブン」の仕様が変更されたので、その噂は事実に近かったということになるだろう。
(いままでは18歳未満立入禁止表示こそあったものの、ENTERボタンを押下すれば誰でも閲覧できていた。仕様変更後はSMS認証をしなければサイトの閲覧自体が不可となった。)
その後「全国のヘブン代理店にガサが入った」「ヘブンの社員は全員警察から呼び出され、直々に箝口令を敷かれた」「現在刑事裁判が行われており、判決次第では性風俗求人サイトの閉鎖が相次ぐ」など、真偽不明の噂が広がり、約4か月経った今、シティヘブンネット代理店の関係者が4名逮捕され、ヘブン代理店に再びガサが入ったと報じられた。(TNC)
2025年2月21日、本稿冒頭に記載したとおり、「ガールズヘブン」は同年3月限りでソープランドの掲載を取りやめ、耳に残るCMソングで有名な大手風俗求人サイト「バニラ」はソープランド掲載の新規受付停止・プラン変更停止を打ち出したと話題になった。(執筆時点では飽くまで「噂」と留めておく。)
ことの発端は
ことの発端は、2023年の5月、いわゆるホストクラブの売掛金問題が噴出、収入に見合わない高額な飲食代金の支払い債務を背負った若年女性がどうやって金銭を工面しているのかというニュースが報じられたことにある。支払いのために売春(立ちんぼ)や性風俗店での勤務、地方風俗店への出稼ぎなどが問題視され、社会的な注目を集めた。
2023年の7月、東京吉原で既得権により運営していた老舗ソープランド2店舗が売春防止法違反により摘発された。この頃から、ホストクラブの売掛金の回収にホストとスカウトが結託して性風俗店に女性をあっせんしているとして、離散と集合を繰り返す犯罪集団「トクリュウ」と位置づけ、捜査が本格的に加速していく。(NEWSDIG)
また、同年11月には消費者庁からホストなどでの飲食に関する消費者契約法に関して周知される事態となる。(消費者庁周知)
これを受け、ホストクラブが売掛金廃止を打ち出したと報じられたこともあった。売掛金の廃止に際し、立替金や前入金など別名目に変更して対応している店舗もあるようだが、その実態は警察に把握されており、風営法改正の報告書にもしっかりと記載されている。(報告書)
2024年にも逮捕した人物から芋づる式にスカウトとのやり取りの記録や関係者の洗い出しが徹底して行われた結果、警視庁の全国的な取り締まりが激化。スカウトの根絶を狙いに、東京吉原・神奈川と福岡中洲でソープランドの摘発が行われた。このときの取り調べでシティヘブンネット代理店への職安法違反の容疑がかかったとされている。
2025年1月8日、全国規模で継続的な違法活動が裏付けられたことや、リーダーや一部のスカウトをすでに逮捕しているものの組織性が不透明なため、スカウトグループの撲滅を目的に警視庁生活安全部、いわゆる生安に70人体制の特別捜査本部が設置された。(NNN)
今後予想されること

特捜の本部が設置されたということの重大性は、性風俗業界関係者であればなんとなく感じ取れるだろう。ちなみに、過去に設置された事例では「オウム真理教自動小銃密輸事件」が挙げられる。
取り締まりがこれで終わることはなく、スカウトを活用している性風俗店への捜査が今後一層厳しくなることが予想される。
ここで、ソープランド摘発で頻出する「職業安定法」と「売春防止法」を整理しておこう。
過去にも記事にしているが、職業安定法第63条第2号では、有害業務への紹介が禁止されている。条文には具体的に書いていないが、厚労省から「例えば、店舗型性風俗特殊営業店において、女性従業員に不特定の男性客を相手に手淫、口淫等の性交類似行為をする業務や、わいせつビデオ映画の製作販売会社が制作するわいせつビデオの女優として稼働する業務がこれに該当す るものとされた裁判例があります。」と回答されている。(改正職業安定法Q&A)
要は、性風俗業への紹介(スカウト行為)は原則としてNGということだ。つまり、スカウト行為は原則NGであり、有料職業紹介事業の許可があっても、紹介先が警察届出済みの店舗でも免れない。
売春防止法については、過去の記事でも解説している。
勧誘、周旋、困惑売春、対償の収受、前貸(バンス)、売春契約、場所提供、売春をさせる業、資金提供が刑事処分の対象となるところ、近年のソープランドを営む性風俗事業者の摘発事例では特に勧誘、次いで場所提供と周旋が目立つ。
この数字は取締が本格化する前の2023年5年までのものであるため、推移も注意深く見守りたい。

そして、これまでの取締は一過性のものではなく、目前に迫る風営法改正の報告書提出に際して警察庁長官が「新たな法規制の導入と並行してトクリュウ対策の一環として徹底的な取締りを行うことで、卑劣なビジネスモデルを解体し、実質的な責任者やグループの排除を目指したい」と発言するなど、成果が得られるまで継続するものと考えるのが自然だろう。(NHK)
どう立ち回っていくか
最近の厳しい取締の目的は卑劣なビジネスモデルの解体ということで、なぜその目的に至ったのかを考えると「若年女性が収入に見合わない売掛金を背負わされ、返済の手段としてスカウトを利用して性風俗店で働かせること」にあるため、
「ホスト→スカウト→性風俗事業者」の一連の流れを一網打尽にされることが予想される。
そのため、第一に求人をスカウトに頼っているソープランド経営者は一日も早く体制を見直す必要がある。なぜなら、ソープランド業態は風営法の届出義務によって営業の実態の把握が容易であることに加え、他の性風俗事業と違い、売春防止法による処罰の根拠があるからだ。
店舗でのSNS求人を強化する動きも盛んだが、売春防止法の「勧誘、周旋、場所提供」行為に該当する可能性があることも忘れてはならない。
体力的な余裕があるのであれば、別業態への転換をおすすめしたい。事業者によっては本番行為の有無を見直してみることも効果的かもしれない。
デリバリーヘルス等も職安法上の有害業務であることに変わりはないので、スカウトとの付き合いは考えるべきだろう。
今後、マンション型のメンズエステや風営法届出を提出せずにマッチングアプリ等で集客する援デリの増加が予想されるが、目前に迫る風営法改正の罰則強化を考えると、違法であることは大前提として、事業としてもかなり筋が悪い。
いま現在スカウトを行っている事業者は、摘発から逃れることとは別の話だが、目前のリスクを考えると今すぐに事業を見直すべきだといえる。
有料職業紹介等の許可を取得し、有害業務に指定されていない業種への紹介事業に完全移行することも一つの手段として考えられる。人手不足の昨今、受け入れ企業も多く、現職スカウトが持つ高い対人スキルは求職者のニーズ掘り起こしなどに役立つことも多いだろう。
今回の求人サイト取締の衝撃は大きく、規制強化は避けられない。
既得権で営業していた歴史的にも文化的にも貴重なソープランド店舗が立て続けに営業廃止に追いやられたことは警察の本気度を示し、風営法改正と相まって性風俗業界は激動の時代に突入した。
これまでの経緯を整理したうえで、筆者も業界の皆さまと一緒に頭を悩ませていきたい。
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