「一人でも生きられる」のに、なぜ結婚するのでしょう。〜「自立」と「支え合い」は、反対の言葉ではありません。〜【関係性のリアル】
「一人でも生きていけるなら、結婚なんて必要ない。」
そんな言葉を耳にすることがあります。
確かに、その考え方には大きくうなずける部分があります。
経済的にも精神的にも自立している人ほど、
「誰かに幸せにしてもらうため」ではなく、
「一緒にいることで人生がもっと豊かになる人」と結婚したいと考える。
私も、その考え方はとても素敵だと思っています。
でも、その言葉を聞くたびに、私はもう一つだけ伝えたくなることがあります。
「一人でも生きられる」と「人は一人では生きられない」は、実は違う話です。
私はよく、
「人は一人では生きられない。」
と言います。
すると、
「依存を勧めているのですか?」
「結婚しない人を否定しているのですか?」
そんなふうに受け取られることがあります。
でも、私が言いたいことは、まったく違います。
私が言っているのは、
生活能力の話ではありません。
存在そのものの話です。
あなたは、本当に一人で生きていますか?
少しだけ考えてみてください。
今日食べたご飯。
誰が作ったお米でしょう。
誰が育てた野菜でしょう。
誰が運んだのでしょう。
誰が電気を届け、水を流し、道路を整えたのでしょう。
今、この文章を読んでいるスマートフォンも、
数え切れないほど多くの人の仕事によって、あなたの手元にあります。
さらに言えば、
あなたが話している日本語も、
親から教わったものです。
考え方も、
出会ってきた人たちから少しずつ影響を受けています。
つまり、
どれだけ自立している人でも、
誰一人として、
関係性の外で生きている人はいません。
自立とは、「誰も必要としない人」ではありません。
50代になると、
仕事も家庭も、
ある程度、自分で何とかできるようになります。
だからこそ、
「人に頼らないことが大人だ。」
そう思ってしまう人も少なくありません。
私も昔はそうでした。
でも、人生を重ねるほど、
そうではないと感じるようになりました。
本当の自立とは、
「誰も必要としない人」
ではなく、
「誰かとの関係の中で生きている自分を認めながら、自分の人生に責任を持つ人」
なのだと思います。
人とのつながりを否定することでも、
何でも一人で抱え込むことでもありません。
結婚は、「足りない者同士」が支え合うことだけではない。
結婚というと、
お互いに足りない部分を補い合うもの。
そんなイメージを持つ人もいるでしょう。
もちろん、それも一つの形です。
でも私は、
もっと深いところに結婚の意味があると思っています。
もともと関係性の中で生きている二人が、
さらに新しい関係を育てていくこと。
違う人生を歩んできた二人が、
違う価値観を持ち寄り、
違う経験を重ね、
これまで誰も見たことのない、
「私たち」という新しい存在を創っていくこと。
結婚は、
一人では完成できないからするものではありません。
二人だからこそ生まれるものがあるから、
結婚には意味があるのです。
違うから、ぶつかる。違うから、育てられる。
夫婦相談をしていると、
「価値観が違うんです。」
という言葉を、本当によく聞きます。
でも私は、
そのたびに思います。
違うのは、当たり前です。
育った家庭も違う。
仕事も違う。
経験も違う。
だから、
考え方が違うのは自然なことです。
問題は、
違うことではありません。
違いを敵にしてしまうことです。
違いは、
争いの原因にもなります。
でも同時に、
支え合える理由にもなります。
私は、その両方をたくさん見てきました。
だからこそ、
違いをなくそうとするのではなく、
違いをどう生かすか。
そこに夫婦の未来があると思うのです。
「ありがとう」と言える別れを迎えるために。
私は夫婦関係の仕事をしていますが、
本当に願っていることは、とてもシンプルです。
いつか必ず訪れる別れの日。
その時に、
「ありがとう。」
そう言い合える夫婦が、一組でも増えてほしい。
人生には、
やり直せることもあります。
でも、
別れだけは、
やり直すことができません。
だからこそ、
今日という一日を大切にしてほしい。
「一人でも生きられる。」
その強さは、とても素晴らしいことです。
でも、
人は決して、
一人だけで存在しているわけではありません。
だから私は、
自立と支え合いは反対ではないと思っています。
関係性の中で生きることを受け入れながら、
自分の人生にも責任を持つ。
そんな二人が出会った時、
結婚は「依存」ではなく、
人生を共に創っていく営みになるのではないでしょうか。
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