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(小説) スイミングプール 2.「遠慮しないで、いくらでもプール使ってね。どうせ

2.
「遠慮しないで、いくらでもプール使ってね。どうせ私たち3週間留守なんだから」

 セレニウムグレーのプジョー・パートナーの巨大なトランクに、黄色いポケモン柄のスーツケースを二つ積み込みながら、エミリーが念を押した。

「ママン! スイッチの充電器、ちゃんと入ってる?」
「ママン! タブレットでアニメ見てもいい?」

 後部座席から二人の子供たちが同時に叫ぶ。
 その後ろに置かれたケージからは、オーストラリアン・シェパードのビリーの鼻先が覗いている。次々と積み込まれる荷物に囲まれて、ビリーはヒンヒンと心細い鼻声を出している。

 エミリーのパートナーのロイックがミニバンの助手席に乗り込み、エミリーがエンジンをかけた。
 大きな雨雲の塊のようなミニバンが通りを曲がり、太陽を反射して一瞬ぎらりと光った後、視界から消えると、ジュスティーヌはほっと息をついた。



 ジュスティーヌは通常、エミリーの家に週1回、家政婦として通っている。

「バカンスで家を空けている間だけ、週3回も通ってもらえるなんて、本当に助かる。他の村からわざわざ来てくれる家政婦さんだったら、そんなこと頼めないものね」

 ここ数年、7月中旬からの1ヶ月間はほとんど雨が降らない。

 庭のあちこちに植えられているリンゴやスモモなどの果樹に水をやり、野菜や花の世話をし、猫に水と餌をやる。それが留守中に週3回人を頼む主な理由だ。

 あとは週に1回、プール用のロボット掃除機をかける。終わったらフィルター部品を開き、大きな過酸化水素の塊を放り込む。念のため、二日後にpHを確認する。
 これをやっておかないと、プールに藻が生えて、濁った緑色になってしまう。一度変色してしまったら、なかなかきれいにならない。

 とはいえ、それだけの作業なら1時間もかからずに終わる。

 エミリーは「いつも通り、1回につき3時間分の時給でお願いしたい」と言い張ったが、ジュスティーヌは気がとがめた。

「折角だから、普段は手を付けられないところも掃除してもいい? 子供部屋のおもちゃ棚や、冷蔵庫の中を徹底的にやりたいと思ってたんだけど、どう?」とエミリーに提案した。

「床に敷かれたままのラグもすべて洗って、本棚にたまったほこりも落とすけど?」とたたみかけると、エミリーはその興奮した口調に目を丸くして、「もちろん、喜んでお願いする!」と笑った。

 ジュスティーヌも自分の熱気が強すぎたことに気づいて笑った。

「暑いのに……いつもよりも重労働させちゃうね」とエミリーは少し複雑な表情を浮かべた。

「でも、ピカピカの家に帰ってくるのが、今から楽しみ!」

 エミリーは無理に口角を上げ、陽気な顔を作った。



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