funny bunnyを聴かないで、君 #4
ぼくの町ではthe pillowsの「funny bunny」が流れている。
the pillowsの「funny bunny」が大音量で流れるこの町では、音は何の役にも立たない。
TVはただの活動写真機で、それでもそこそこ面白い。深夜のNHKで流れるイタリアの風景も、凄惨な殺人事件を読み上げる真面目な顔のアナウンサーも、競馬中継も選挙放送も、全部the pillowsの「funny bunny」がBGMだ。
特に歌番組はちぐはぐで笑える。the pillowsではない若いアイドルやthe pillowsではないバンドマン、the pillowsではないしわしわの演歌歌手がthe pillowsの「funny bunny」を歌っているように見えるからだ。
でも目的はそれじゃない。the pillowsが出てきて、the pillowsの「funny bunny」を歌うのを観たいのだ。the pillowsがthe pillowsの「funny bunny」を歌うのを観ようと、歌番組がやっていると必ずTVを点けるけれど、今まで一度もthe pillowsがthe pillowsの「funny bunny」を歌うのを観たことがない。昨日も歌番組を確認するためにTVに5時間もかじりついていたけれど、終ぞthe pillowsがthe pillowsの「funny bunny」を歌うことはなかった。思えばthe pillowsがどんな見た目なのかを知らない。よれよれのTシャツを着たバンドや、透け透けの衣装を着たアイドルグループ、黒々とした男性歌手が出てくる度、ドキドキして見つめるが、the pillowsであったことがない。まるでファンのように、TVでthe pillowsがthe pillowsの「funny bunny」を歌うのを待ち焦がれている。
そういえば今朝は珍しいものを見た。
田んぼに寝転がる例の死体のそばに、見慣れない男の人が立っていたんだ。
男の人は、スーツを着て、サングラスをして、この間スギハラが頭に付けていたのと同じカチューシャみたいなのを付けて、死体を見下ろしていた。
気になったのだけど、学校へ急いでいたからそれまでにした。
最近は朝早く学校に行っているんだ。
そろそろ音楽番組が始まってしまう!
もう行かなくちゃ。
