境目の旅|鬼婆の眠る黒塚
福島県二本松市の黒塚。
能をはじめ、さまざまな媒体で扱われる鬼婆伝説の舞台だ。
「安達ヶ原の鬼婆」
の方が、有名かもしれない。
前に訪れて以来、度々ここに来て色々な事を考えるようになった。
言い伝えでは、東光坊と言うお坊さんによって退治された鬼婆が、この塚の下に埋葬されているらしい。
8世紀(726年)の頃の話が、いまだに語り継がれていることに感心する。
伝説通りの、凄惨かつ業が深いドラマが本当にあったのかどうか、それはわからないが、この「黒塚」が存在する以上は、鬼婆伝説の元になるような「なにか」があったわけで、この塚の前に立っていると、なんだか恐ろしい気分になってくる。
しかし、風景だけでみれば非常に牧歌的だ。
青空に気持ちの良さそうな木陰。
言われなければ、誰もこの下に鬼婆が眠っているとは思わないだろう。

伝承と現実、物語と風景、恐れと安らぎ様々な境目があった。
…、鬼婆さん、お願いだから復活しないでくださいね。
