エロ(媚び)を表現の自由と言い、メシマズ漫画を社会派と言って売り込む漫画業界 - 追いかけた話題を丁寧に掘り下げる(2026/08/21号)

直近とりあげた話題について、少し丁寧に掘り下げて読み物にするシリーズです。過去記事の詳述部分が面白いとおもったり、他にどんな記事を読んでるのと思ってくださった方がいたら、おひねりとして有料部分をあけていただけますと幸いです。

今週は、
人の不幸を見て喜ぶのがメインのメシマズ漫画を「社会派」というラベルを使って売り、それを擁護する人たちが出てくるマンガ業界をみて、そういえばエロ(媚び)を表現の自由と主張する業界だったのを思い出したよ
という話を書きます。


アニメ化報道をキッカケに炎上した、露悪系エンタメ作品、みい山と、それを社会派と擁護するが実際の社会問題には目を向けないひとたち

みい山、マンガが完結しました

いろいろと問題がある表現がありながら、まさかのアニメ化決定で大騒ぎになったみい山、原作のマンガは完結したようです。

そして、騒動の中では、作り手サイドから「しっかり取材もしていて社会の暗部を描いている作品だから良いことなのだ」という主張がなされ、賛同の声が集まるという構造がありました。
いろいろあるのを集めるのもシンドイので1つだけ。

いや、勉強をしていればOKなら問題作などでないだろう…
とはいえ、そういう社会派の革をかぶせ続けるつもりなら、それはそれでそういう商売か、とも思っていたのです。

ですが、掲載誌に所属する編集者たちの本音が動画として公開されてしまいました。

社会派!というガードをしつつも、実態がメシマズ漫画であることを認識して売り込む編集部

どのような炎上をしているのかを把握せず、「人が不幸になることを楽しむエンタメでる」という認識をそのまま話してしまいました。

やはり、これに対しても「切り取りだ」という擁護の声があがりましたが、いや、ホントに「社会に対する問題提起」のマンガだと考えていたら、こういう表現にはならないですよね。

登場人物のような人達と実際に接している方からみれば「現実」ではないマンガ

などという話を、正面で論じるのはシンドイし、なによりそこまで自分は知見もないし、と思っていたら、自分の気持ちにジャストフィットする素晴らしい論考がありました。

全部読んで欲しい記事ですが、とくに自分の気持ちにフィットした部分がこちらです。

ただ、個々のリアルなエピソードの積み重ねでできている『みい山』は、その結果『現実』に近付いて行くのかというとむしろ逆で、『露悪』の方向に舵を切ったエンタメ漫画になって行く。
(略)
だからこの『みい山』という作品は、読者が好む姿をした『リアル』ではあるけれど、それは露悪系エンタメであって『現実』じゃない。その上で、「現実じゃないから何を描いても許される」っていう事もない。世に出すまではいい。表現の自由だと言うのであれば。でも、世に出したからには正当な批評や批判を受け止めろという話だ。

社会福祉法人職員の視点から・亜月ねね『みいちゃんと山田さん』アニメ化に関する騒動について
https://sizu.me/kuroinu2501/posts/nw6hhwr46rso

表現の自由というのは、「検閲されて世に出ない」ことを防ぐものであって、「世に出たものに対して批判的な論考がでる」ことを防ぐものではないのですよね。

そして、まだマンガが「現実」を示していれば別でしょうけれど、そうなのかどうか。

起こっている「現実」に目を向ける人は、マンガの表現で学ぶのではなく、この事象自体を考慮対象としているという状況

だなとおもうのです。Threadsでいつも視座の広い鋭い投稿を(も?)されているtadanoryせんせも、作品というよりは、作品が売れている現状をみるというメタな見方をされている感じです。

なんか見るべきところがあったら作品を引用して語られる気がするので、ああ、なにか足りないのだろうな、と受け止めました。

ちなみに、完結したら多くの人は飽きて話題にしなかったそうです。

すげー作品だったら、しばらくは完結を惜しんで会話が続くと思うけれどなぁ。緊張感が続く作品だったらそれはそれで話題が続くと思うけれどなぁ。

ただ、そういう作品が売れて、売れていることが世間に受け入れられているのですよね。

お二人の会話を見て、単に「嫌う」だけではアカンなぁ、と反省しました。

「あくまで娯楽でしかない」という姿勢があるひとほど、作品の質が高いという事実

少し前にnoteでも引用したような気がしますが、今期アニメの傑作、天幕のジャードゥーガルの原作のトマトスープ先生はこういうことをインタビューで書かれています。太字は私が付けました。

可能な限り調べて描こうと努めていますが、どうしても限界はあるもの。そして私はその文化や信仰や歴史の当事者ではなく、エンタメを作るために外野から利用しているに過ぎないんだと最近強く感じます。『天幕のジャードゥーガル』に出てくる文化や信仰、歴史の当事者の方がどう思うかは、私にはとても想像できるものではありません。

私が想像できる範囲では、『天幕のジャードゥーガル』からモンゴル帝国やイスラム世界に興味をもった方が、能動的に調べてそれを愛するようになったら、『天幕のジャードゥーガル』のことは大嫌いな作品になると思います(アニメーション作品としては評価軸が複数ありますから、ここでは原作の漫画作品のみのことです)。

だったらせめて、自分が作っているものはあくまでエンタメのための創作であること、そして知らないことは知らないと言える創作者でありたいなと思います。

『天幕のジャードゥーガル』原作・トマトスープ先生インタビュー|「学ぶこと」は何のためにある? シタラたちの人生をを通して、自分の答えを探してほしい
https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1782440287&utm_source=twitter&utm_medium=social

スゴいですよね、「大嫌いになるだろう」とまで言ってしまう。

宮崎駿だってことあるたびにアニメは娯楽だという話をされていたように思いますし、たまたま流れてきた昔の鳥山明のインタビューでもこういう話があったそうです。

マンガはあくまで”娯楽”なんです
(略)
大勢におもねるような感じもあったし。簡単に言えば、ノーベル賞の発表に合わせて、受賞者の伝記漫画を載せてみたり、いじめが問題になってるようだったら、いじめ問題のマンガを載せてみたりとかですね。そういうのはあってもいいと思うけど、それを雑誌の戦略として出しちゃダメだと思うんですよ。マンガ雑誌は、あくまでも娯楽だと思ってますから。

"1997年の鳥山明さんのインタビューです"
https://x.com/mantengorilla/status/2086890617318346875

あくまでエンタメ、娯楽、高尚なものではないという前提で、その中で、どう質を上げていくか、ということを考えているひとも多いのです。

エロ(媚び)を表現の自由という錦の御旗で守り、マンガ業界を守ろうとする人たち

しかし、今回みい山を擁護するひとたちの顔ぶれをみていると、漫画業界のひとたちが1つの集団を成しています。そして、日経に載った「月曜日のたわわ」の広告を擁護した人達とも重なり、主張もにたようなものになっています。

最後の決め手は「表現の自由を損なうのか」というもの。
けっこうパターンになっていて、批判側の「これは倫理的に許されない」といった感情論を抑え込む武器になっています。

ちなみに、自分も「表現の自由」を尊重する人間ですが、「月曜日のたわわ」を「日経新聞の全面広告」に載せるのはアカンだろうと思いました。なぜなら

「月曜日のたわわ」は、広告考査をくぐり抜けて「媚び」を伝える作画をしている

のです。

いやさぁ、「たわわ」ってタイトルからしてエロを期待するオッサン男性をターゲットにしているでしょう。そして、オッサンたちの妄想に応えるようなポージングなどもされているので、露出がなくても「クオリティペーパー」としては不適切なのですよ。ということを当時も書いていた。

自分の記憶がズレている可能性もあるので、改めて当時の記事を探して、実際の広告を見てみました。

「月曜日のたわわ」全面広告を日経新聞が掲載。専門家が指摘する3つの問題点とは?
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_624f8d37e4b066ecde03f5b7

確かにデコルテは隠れていますから広告の審査は通過するでしょうし、露骨なルール回避をしているわけでもありません。昔のモバゲー審査基準との戦いのような…
(デコルテ露出が◯%以下というルールがあるので、ギリギリを攻めつつ滅茶苦茶乳揺れをしてきたんだよね、Cygamesが、アイドルマスターシンデレラガールズで…)
あと、2026年基準で見るとお尻の形はだいぶは控えめではありますが。

ただ、この表情と、腕で隠しきれない過剰なサイズの胸、ルールをチートで乗り越えてる感があるのですよね。
よこしまな性的感情を呼び起こすパーツに視線が誘導されるようになっている、特に「新聞紙」は全面広告であっても半分に折りたたまれることを考えると、上半分にしたとき、下半分にしたとき、それぞれ強調されるように思います。

ただ、それを上手く表現しきれないなぁ…と思ってそのままにしておりましたが、それから3年後。成人向けと一般向け両方の作品を書く作家さんがこれを挙げていて「これだよこれ!」と膝を叩きました。

左ページの女性の違い。

  • 一般向けでは、メッセージのないポージングで、身体のライン全体が見えていることで、その「ひと」を見ているという図になっています

    • 胸は大きいですが、まだ本人の魅力とも整理できる

  • 成人向けでは、「男性を見つめて胸を隠さないポーズ」に変え、トリミングですらりとした足をカットしていることで、男が「何かを許してくれそうな表情と胸をみて品定めをする」感じのカメラになっています

右ページは、ポーズも一切変かがない、トリミングだけなんだけれど、それでも「デコルテのあたりにあるリボンに視線が引き寄せられ、少し隙のあるような襟に目が向く」カットをされていて、隣のページと合わせて「品定めをする」形になっています。

…とか解説すると絶対に男性が「そんなのは揚げ足取りだ!」というと思うのですが、いやおまえら、よこしまな気持ちがあるなら分かるだろ!股間の膨らみに差が出るだろ!コミケの男性向けジャンル島で2つ並んでたら成人向けの見せ方の方を手を取るだろ!Xに出されるFANZAエロマンガ広告で出されてクリックするのもそっちだろ!素直じゃないなぁ…

ちなみに、たわわ、女性率ゼロだそうです。もう笑うしかないよね。

言及先とおぼしき投稿は2016年の動画でしたが、まあ現在だって変わらないよね。というかなんなのこれ…

普段はけっこう良いこともする赤松健ですが「男性向けエチエチ漫画を堂々と本屋で買えるようにする」というロビイストの側面もあることを忘れてはいけないのです。
…ここで「もともと子育て政策にも力を置いていた山田太郎は違うから二人セットで」と言えたら良かったのにねぇ、不貞行為なんてするから…(まあ言い逃れしなかったのはマシ)

それはそうと、「月曜日のたわわ」事件の問題は、

許容されない「媚び」の条件が言語化されなかったことで、「またフェミが吼えている」で終わってしまった

ところにあります。
私の親友が当時こういう形で書いてくれていました。

何を許容できないのかもっと精緻に言語化した方が良いと思う。
ここ10年ほどでファッションや芸能産業は「媚び」と「性的魅力の発信」を丁寧に分離することに成功し、公共の場で前者を認容しないコンセンサスが出来上がりつつある。男性向け作品を中心に、この公共ドレスコードを十分に踏まえていない表現が多いのは事実。
問題は、この「媚び」の禁忌事項をまだ誰もスマートに言語化できていない。ファッションなので明確な基準はあるものの、単一の記号属性ではなく組み合わせ要件なので基準が複雑になりやすい。(例えば体のラインが出るかどうかが問題ではなく、出す部分と出さない部分のメリハリが付いているか等。)
本来は事例を丁寧に説明して媚びの回避基準を例証していくべきところ、これまでの掲載反対者は紋切り型に身体的特徴や年齢職業、特定パーツの有無で粗雑に斬ってしまっている。本来禁止すべきでない性的魅力の発信まで巻き添え攻撃する形になり、当然ながら表現の自由の観点で大反対を受けている。

https://x.com/shinyakasuga/status/1513089569759006720

今回、他人の文章を借りるところだらけですね。自分の表現力の足りなさを感じます。

そして、言語化していないということは発注時にもチェックが効かないと言うことで、

性的魅力をアピールする必要が無い領域で、働きやすさを重視した制服をデザインしても、「媚び」で食っているイラストレーターがその努力を無にしてしまう

例も定期的にみるのは残念だったと思います。

例えばこちらのキャラクターの例。ちょっと炎上しました。うーん、まあ媚びまでは行かないかな、と思いつつも違和感はあったのです。

その理由を説明してくれていたのが当時のこちらの投稿。なるほどなぁ。こんなにボン・キュッ・ボンしとらんよなぁ…

このあたり、東京メトロでも同じ問題は起こっていました。

記事では「スケスケ」と書かれているけれど、別に透けているわけではないのですよね。太もものラインが見えるような、デリケートゾーンの形を想起させるようなシワがあったという話です。

こちら、当時のサービスマネージャーの写真がないので次の代の制服ですけど、基本的に身体のラインはでないようになっていますよね。というか、そんなに太ももとかお尻とか見えるスカートの布の材質では制服はつくらないだろう…

なんか、実在のものを手癖で書いちゃうのは止めてくれ、と思いますし、一方、発注者側は、制服のデザイナー側などにチェックポイントを作ってもらえるのでは、現実的な回避方法があるのでは、とも思う話です。

マンガの作り手には、作る過程でチェック出来る「ものさし」を作ってほしい

本当にプロの仕事なのなら、「媚び」や「禁忌」をしっかり理解し言語化し、相手に合わせてリリースする。
そういう「ものさし」を、出来ることならば作り手側でしっかり構築してほしいと思います。

受け手側では、後出しジャンケンでの「ものさし」しかつくれません。作り手が作る過程のなかでチェック出来る「ものさし」は、作り手だからこそ作れると思うのです。それは検閲や制限ではなく、表現をより的確に伝えるための「プロの技」、と捉えられないですかね…?

追記:フランス書院文庫、選考基準で「不幸は売らない(えっちな気分を阻害するから)」と明記

この記事を公開してからこういう話を見かけました。

レギュレーション違反にはいろいろあるのですが、最近目立つのは、貧困や虐待、境界知能、父娘相姦です。 貧困や虐待、境界知能がNGなのは説明するまでもないでしょう。 父子相姦はえっと思う方もいらっしゃると思いますが、 読者さんには実際に娘さんをお持ちの方も多く、父子相姦は気持ち悪くなってしまうそうです。

https://x.com/Wakatuki_Hikaru/status/2091330330682957934

でも、ウシジマくんはやめたほうがいいよーっていうお話です。だって、エロい気分になる前に、かわいそうになるからです。

https://x.com/Wakatuki_Hikaru/status/2091367917539721458

比較的なんでもありなように思える官能小説ですら、ちゃんと客の希望を考えつつ、「エロい気持ち」の邪魔になる要素は除外するのだそうです。
(つまり、このあたりのキーワードを入れるエロビデオを売っているFANZAは、それを商品と捉えているとも言える分けです)

…ということは、メシマズ偽悪エンタメを売る雑誌は「人の不幸を(も)商品」と考えている雑誌、ということなのですね。

今後、新人賞のレギュレーションをチェックする、というのも、1つ大事なことになってくるかもしれません。

記事一覧(2026/08/14~08/20)のGemma4による要約

この期間の記事群は、最先端のテクノロジーと社会情勢に関する幅広い話題を網羅しています。特に人工知能(AI)関連が大きなテーマであり、ChatGPTによる人間の知性の分析や、KDDIなどが取り組む対話型AIの信頼性課題、中国発のオープンモデルの台頭、さらには行政手続きデータへの自然言語処理適用など、技術の応用と進化が深く掘り下げられています。ビジネス面では、SHEINを巡る貿易規制や罰金といった国際的な通商問題、自動車産業におけるEVシフトの動向、およびITインフラのセキュリティリスク(さくらインターネットの情報漏洩)などが報告されています。また、科学・文化分野からは、JAXAによる宇宙ミッションや歴史的資料の復元活動、アイヌ語に関する研究、そしてゲーム業界の未来像やアニメ作品へのインタビューといった文化的トピックも目立ちます。さらに、社会問題としては、台湾有事のリスクに関する警鐘、政治家の発言を言語学的に分析する試み、インフラ設備の老朽化対策(新潟市の橋梁整備など)、地政学的・法的なニュースなども取り上げられています。

投稿で参照した記事一覧(2026/08/14~08/20)


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