土壌を耕すということ #02 耕す前に、やめること
「土壌を耕したい」と相談を受けると、私はまず、こう聞き返す。
「今、何を耕そうとしていますか。」
多くの経営者は、新しい施策や、新しい制度を思い浮かべる。
でも、実は、耕す前に、もっと大切な一歩がある。
それは、土壌を固めている行動を、まず、やめることだ。
種を蒔く前に、まず、固めている手を止める。当たり前のようで、多くの人が飛ばしてしまう順番だ。
良かれと思って、土を固めている
厄介なのは、これらの行動の多くが、「良かれと思って」行われていることだ。
悪意から生まれるものではない。むしろ、責任感や、熱意から生まれることが多い。
だからこそ、気づきにくい。
土壌を固める、5つの言動
これまで見てきた組織の中で、繰り返し出会う「固める行動」がある。
① 先回りして答えを出す
誰かが相談してきた時、考える前に、答えを渡してしまう。
親切に見えて、相手が自分で耕す機会を奪っている。
② 「なぜ」を、詰問として使う
「なぜできなかったのか」という言葉は、本来、原因を知るための問いだ。でも、詰問のトーンで使われた瞬間、それは、口を閉ざさせる言葉に変わる。
③ 沈黙を、急いで埋める
会議で沈黙が生まれた時、その沈黙に耐えられず、自分から話し始めてしまう。
沈黙は、誰かが考えている時間かもしれない。
④ 結果だけを見て、過程を見ない
うまくいかなかった時、結果だけを評価し、そこに至る努力や工夫を見ない。
過程を見てもらえないと感じた人は、次から、工夫すること自体をやめてしまう。
⑤ 「前例がない」で、止める
新しい提案に対して、反射的に「前例がない」と返す。
これは、思考停止の言葉であり、土壌にとって、もっとも固くする一言かもしれない。
あなたは、いくつ当てはまっただろうか
5つのうち、いくつ、心当たりがあっただろうか。
実は、私自身も、この5つすべてに、心当たりがある。
耕す人であろうとしている私自身が、無意識に土を固めていた瞬間が、何度もあった。
だからこそ、これは、誰かを責めるためのリストではない。
まず、自分自身の言動を、静かに振り返るためのリストだ。
やめることは、耕すことの始まり
多くの経営者は、「何を始めるか」を考える。
でも、土壌を耕す最初の一歩は、「何をやめるか」を決めることだ。
やめることは、何も足さない分、簡単そうに見える。
でも、実際は、始めることより、ずっと難しい。
なぜなら、やめるためには、まず、自分がそれをしていたことに、気づかなければならないからだ。
今日、この5つのうち、一つだけでいい。
「これ、私、やっていたかもしれない」と思うものがあれば、それを、今日だけ、やめてみてほしい。と思う。
やめた瞬間、土壌は、少しだけ、柔らかくなる。
次回は、「1日10秒でできる、耕し方」について書きます。
やめることができたら、次は、小さく始める番だ。
最後に一つだけ。
この5つの中で、あなたが一番心当たりのあるものは、どれでしたか。コメントで、こっそり教えてください。
大竹泰和 / 人づくりの土壌専門家
Human Warmth Lab TAGAYASU
tagayasu-lab.jp

