ラヴェル「夜のガスパール:スカルボ」解釈の違いでかなり違う曲になる:パスカル・ロジェ
作曲者:ラヴェル
曲名 :夜のガスパール 第3曲「スカルボ」
演奏者:パスカル・ロジェ
リズム:★★★★★
旋律 :★★★★☆
構造 :★★★★☆
満足感:★★★★★
曲の難易度が高いっていうスカルボだけど、
表現としてはとても面白いから、紹介してみようと思う。
Ravel: Gaspard de la nuit, M. 55: III. Scarbo
このスカルボって曲は悪魔的で暗くて不気味な演奏から始まるのが多いけども、実際のところ原作ではいたずら好きな妖精みたいな小悪魔が登場するシーンから始まる。
このスカルボの原作の物語をまとめるとこうなる。
「最初は小さくてコミカルだった小悪魔が、中盤で巨大化し大悪魔になって不気味に踊りだす。そして最後には一瞬で蒸発する」
つまり、小悪魔→巨大化→消滅。という流れがあるから最初から大悪魔みたいに存在感のある演奏から始まる解釈だと違和感が出る。これは大悪魔のほうがインパクトが強いからその解釈が定着してしまったんじゃないかとも思う。後は軽い高速での連打が難しいってのもあるかもしれない。
中にはモニク・アースの演奏のように原作寄りで陽気な小悪魔が登場する感じの解釈もある。このパスカル・ロジェの演奏でも不気味ではあるんだけどコミカルな小悪魔な感じがしっかりと表現されているのが良いなと思った点だ。
この曲から小悪魔の陽気でいたずら好きな要素を演奏から外してしまうとそれだけ曲としての面白さや表現力が低くなるんじゃないかと思う。
悲劇とか喜劇とか色んな要素が入っているからこそ曲として盛り上がるんじゃないかと感じる。
この演奏での聴きどころは悪魔のコミカルな表現だと思う。
もっと低音を効かせた悲劇寄りの感じの悪魔を表現した演奏もある。
だけど私は悪魔に喜劇的なコミカルさがある演奏が大事だなと思った。
後になって良く考えてみると、この第3曲が暗くなるのは第2曲の「絞首台」の影響じゃないかと思う。絞首台はとても重苦しい内容だ。そこから喜劇的な表現の第3曲になるよりも悲劇的にしたほうが、つなげやすいんじゃないかと思った。
この曲はラヴェルの表現力が凄く良く出ていていい曲だなと思う。
演奏するには難易度が高いのだろうけども解釈も色々違っていて演奏を選ぶのが中々大変な曲だなと思う。
