シューベルト「ピアノソナタ第15番 第4楽章」リヒテルの魅力が良くわかる演奏:スヴャトスラフ・リヒテル
作曲者:シューベルト
曲名 :ピアノソナタ第15番 D.840 第4楽章
演奏者:スヴャトスラフ・リヒテル
リズム:★★★★☆
旋律 :★★★★☆
構造 :★★★★☆
満足感:★★★★☆
リヒテルが未完成のままのシューベルトの曲を演奏するという
珍しい音源があったから紹介してみようと思う。
Schubert: Piano Sonata No. 15 in C Major, D. 840 "Reliquie": IV. Rondo. Allegro
この曲はシューベルトのピアノソナタの15番ではあるんだけども第3楽章と第4楽章が未完成になっている。
それをリヒテルが未完のまま演奏するという珍しいものになっている。
他の演奏者なら完成している第2楽章までを演奏するんだけども、
リヒテルは未完成であっても完成してる部分まで弾いて止めるという珍しいやりかたを取っている。
聴いてみると確かにこの第4楽章は序盤の完成度の高さに比べて最後の部分の完成度が今一つだ。惰性で書いてる感じで一体感が無くなって終わる。
この演奏での聴きどころは、なんと言っても終盤までのリヒテルの精度の高い演奏だろう。構造を重視するリヒテルが本気になるとこういう演奏になる。これがあるからリヒテルの演奏を聴きたくなるのだ。リヒテルってどんなピアニストと言われると万能タイプとか構造重視タイプとかしか言えなくなるんだけども、こういう演奏が出来る人ってほうが芯を捉えてると思う。
聴いていて思うのは、この演奏でリヒテルがやりたかったのはシューベルトの筆の迷いからの迷走して曲が未完になった経緯を演奏でそのまま表現したかったのではないだろうか。
それならこの演奏の価値や意味が良く理解できる。
構造として聴くと終盤以外はかなり構造の強さがあるのに最後の部分だけ構造に強さがない。そこでシューベルトが何を思ったのかはわからないけども明らかにやる気を失ってたんじゃないかと思わせる。ちゃんと完成していればこの第4楽章はなかなかいい曲になったんじゃないかと思う。
リヒテルの演奏は毎回じゃないけども、時々こういう完成度の高い演奏があるのが魅力だ。こういうバランスのいい演奏を見つけるのがリヒテルの音源を探す時の楽しみだったりする。今でもたまにそういう発見があると嬉しいのだ。
