ラヴェル「鏡:鐘の谷」聴き方を知らないと理解できない曲ってあるよね:ベルトラン・シャマユ
作曲者:ラヴェル
曲名 :鏡 第5曲「鐘の谷」:La vallée des cloches
演奏者:ベルトラン・シャマユ
リズム:★★★★☆
旋律 :★★★★★
構造 :★★★★☆
満足感:★★★★★
組曲としての「鏡」の最後の曲になるけども、
かなり聴き方に悩まされた。そこを中心に紹介してみようと思う。
Miroirs, M. 43: V. La vallée des cloches
この曲はかなり問題がある。
最初に聴き方を知らないと、演奏を聴いても理解できない曲だと思う。
私も記事を聴くにあたって改めて聴いてみたけども、何をしたいのかが最初は理解できないし、どこにも聴き方も書いてない。
この曲は記事にするのを諦めようかなと思って、ルービンシュタインの演奏を聴いてやっと理解することができた。
この曲はタイトルの通り「鐘の谷」だから鐘のような音が、響きわたる曲なんだろうと思って聴いてみると、鐘に近い音なんてほとんどしない。
どう聴いても鐘の音じゃなくてピアノの音にしか聴こえない。
だけども、視点を変えて鐘の音から離れて、鐘の音を表現するものは何かと考えると思いつくものがある。それは鐘の音を表現する「波紋」だ。
この曲は鐘の音そっくりな音をピアノで表現する曲ではなくて、鐘を突いた時のゴーンという音が波紋のように広がって、波紋どうしがどう重なり合うのかを表現した曲になる。
だから、全ての音が「水の波紋」のように音が波紋になって空間に広がる感じで聴くとこの曲が理解できるようになると思う。
ピアノの音とその残響だとは思わずにピアノの音そのものを波紋のように感じることでピアノの残響も波紋の広がりとして理解できるようになる。
残響が消えたあとも波紋どうしが干渉して波が揺れる感じをイメージできようになると、この曲が何をやりたいのかをかなり掴めると思う。
そうすることで始めてこの曲の仕組みを理解して聴くことが出来るようになると思う。
音そのもの = 波紋のイメージ
残響 = 波紋がさらに広がっていく過程のイメージ
こんなにこの曲の聴き方を細かく書くのも、余程にこの曲の聴き方を注意しないとこの曲の本質が理解できないと思うからだ。
調べてみると鐘の音を音響として聴くようにというのはあったけども、それでもやっぱりイメージを掴みにくいと思う。
私はやっぱりこの演奏での全ての音を「水の波紋」としてイメージして聴くことをお勧めしたい。
そうすれば、この曲がどれだけ考えて作られていて、どれだけ美しい演奏になっているかが理解できるようになると思う。
慣れてくると鐘の音と、その他の効果音を区別して鐘の音だけを波紋として聴けるようになる。そうすると曲の理解度も違ってくるんじゃないだろうか。
最初はなんでこんな曲が第5曲目で、最後に位置付けられているのかが理解できなかったけども、理解できてみれば曲の作りで言えば最後を飾るのにふさわしい完成度の曲だと思う。
この演奏が良いかどうかで言えば、シャマユの演奏は音の波紋というか残響をきちんと聴いている者が最後まで感じられるように演奏している。
音の響きを最後まで聴く前に次の音が始まってしまって良く聴きとれない演奏もあるので、この演奏はとても親切な演奏ではないかと感じる。
この曲の聴き方にはかなり困った。残響だの音響だのを感じてと説明されても私には理解できなかったからだ。そこで自分なりの表現を見つけて理解はできたものの、それをこの記事を見た人に、十分伝わるかどうかはちょっと分からないなとも思う。
