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スカルラッティ「ピアノソナタ ニ短調 K.9」バロックを維持しながら旋律をどう美しく見せるか:ミハイル・プレトニョフ

作曲者:スカルラッティ
曲名 :ピアノソナタ ニ短調 K.9
演奏者:ミハイル・プレトニョフ
リズム:★★★★★
旋律 :★★★★☆
構造 :★★★★☆
満足感:★★★★★

プレトニョフの演奏でスカルラッティの良い演奏があったので、
どう曲を解釈しているのかを中心に紹介してみようと思う。


D. Scarlatti: Keyboard Sonata in D Minor, Kk. 9 (Live)

この演奏のいいところは、バロックの骨組みを出来る限り維持した上で、甘く切ない旋律を美しく表現しているところだ。

他の演奏だと、もっと1音1音の音のキープを長くしたロマン派寄りの演奏もあるけども、プレトニョフはゆったりとしたテンポでバロック的な構造を崩さない範囲で、出来る限り旋律を美しく仕上げた演奏をしている。
これがもっと徹底したバロック寄りのリズムを優先する演奏だと、この甘く切ない旋律が弱くなるし分かり難くなって、ここまで美しい演奏にはならないように思う。
この曲の演奏は、バロック式に徹底して演奏するか旋律を強調して甘く歌い上げるかのどちらかに寄せる演奏になるように思う。
グールドの演奏とも比較してみたけども、グールドはこの演奏に比べるとバロック寄りの演奏になっている。

この演奏の良さは、確かに旋律が美しいけどもリズムにあるように思う。
プレトニョフの呼吸のような美しいリズムが旋律を支えていて、曲の持つ感情を上手く引き出していると思う。その旋律とリズムが組み合わさった時の美しさが、この演奏の最大の聴きどころだし魅力になっていると思う。

プレトニョフの演奏は1音1音の音のキープが短いから、旋律に感情をしっかりと込めるのが難しいんじゃないかと思うんだけど、リズムの取り方が上手いから美しい感情が表現される。
だけども、ポイントになるのはこの演奏はバロックを大きく崩してまで旋律を美しくしていないところだ。確かにテンポを落としたことにより、スカルラッティの曲がもつ推進力は弱くはなっているものの、過剰に旋律を歌わせているわけではないのだ。
プレトニョフがやっているのはテンポを遅くして演奏することにより、この曲の構造を見えやすくすることで、それによりこの曲の持つ旋律とリズムがどれだけ美しいかを分かりやすくしたんだと思う。


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