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バッハ「フルートソナタ第2楽章:シチリアーノ」なぜケンプの演奏は美しく響くのか:ヴィルヘルム・ケンプ

作曲者:バッハ=ケンプ
曲名 :フルートソナタ BWV1031 第2楽章「シチリアーノ」
演奏者:ヴィルヘルム・ケンプ
リズム:★★★★★
旋律 :★★★★☆
構造 :★★★★☆
満足感:★★★★★

ケンプ自身が編曲して演奏したこの曲で、
気づきがあったので、そこを中心に紹介してみようと思う。


J.S. Bach: Flute Sonata in E-Flat Major, BWV 1031: II. Siciliano (Arr. Kempff for Piano)

この演奏はバッハの曲をケンプ自身が編曲して演奏したものだけども、他の人が同じ編曲を使って演奏しても出せない部分がある。

それは空間を大きく使った音の響かせ方にある。

この曲は旋律がとても美しい。
だからそこにだけ目が行きやすいけども、
ケンプの演奏は空間を大きく使った深呼吸でもするようなリズムの中で、
美しい旋律を響かせている。
この空間を広く使ったケンプの演奏の心地良さは、普通に聴いているだけでは感じ難いかもしれないが、ギリギリまでもう一歩踏み込んでくるような気持ち良さがある。
そこが同じケンプの編曲を使った演奏でも出せない部分だと思う。
だけどもだからこそ、そこがケンプの編曲での最大の魅力の部分でもあると思う。

この空間を大きく使うケンプの独特な演奏は一体なんだろうと考えたのだけども、それはケンプが親しんできたオルガンの使い方の応用ではないかと気づいた。パイプオルガンを講堂で響かせるのに似ていると思うからだ。
この空間を大きく広く使う演奏法はブレンデルにも感じることがある。
ブレンデルのケンプの影響を受けたとされる部分の一つがこれじゃないかなと思う。ケンプはピアノでも音が広がった後の残響を上手くコントロールしていたのではないだろうか。
最初はフレーズの使い方が上手いのかなと思ったけども、この深呼吸に合わせたような広がりはフレーズの使い方と似た技術なんじゃないかとも思う。そして、そういえばブレンデルもフレーズの使い方もケンプと同様に上手いなと気づいた。ということはフレーズも呼吸をするような音の広がりも、別々の技術に見えて実は同じことなんじゃないかと思った。
「フレーズは呼吸と同じである」と良く言われるが、その本質がこれじゃないかと感じた。


この演奏での聴きどころは、リズムと旋律が一体になった時の音の広がりかたの美しさを感じてみて欲しい。手で円を描くようにゆっくりと深呼吸をするようにリズムに合わせると、音が広がるのを感じやすいのではないかと思う。なかなかこの音の広がりを感じるのは難しいことなのかもしれないけども、演奏に対する満足感が段違いになるので試してみて欲しいと思う。
この残響感と言うかギリギリまで音を響かせる差は、ほんの少しの差ではあるけども演奏では大きなものではないかと思う。音がどうやって消えていくのかを聴くと、この演奏の素晴らしさをもっと理解できるのではないかと思う。


ケンプの演奏は良くわからないけど上手いなと、ずっと思っていた。
だけど、ケンプのどこが上手いのかを少しずつ理解できるようになったのは最近のことだし、記事として文章を書くようになってから理解が深まったように思う。ケンプの編曲は確かに素晴らしい。だけどもその素晴らしさを最大に出せるのがケンプ自身だったっていうことじゃないだろうか。










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