フォーレ「3つの無言歌:第3番」ショパンの影響が良く見えてくる曲:クン=ウー・パイク
作曲者:フォーレ
曲名 :3つの無言歌 Op.17 第3番
演奏者:クン=ウー・パイク
リズム:★★★★☆
旋律 :★★★★☆
構造 :★★★★☆
満足感:★★★★★
パイクのフォーレの曲の演奏を
ショパンのノクターンと比較しながら紹介してみようと思う。
Fauré: 3 Romances sans paroles, Op. 17: No. 3 in A-Flat Major. Andante moderato
この曲はショパンのノクターン2番の作りが似ている。
この空間の使い方はショパンのノクターンの使い方と同じものが使われている。ショパンのノクターン2番が「穏やかな空間の中での日常」なら、こちらは「ゆったりとした空間の中での優しさ」と言ったところだろうか。
フォーレのこの曲は、ゆったりとした空間の中を、どう美しい旋律で満たせるかが大事だと思う。そこを急ぎ過ぎると、どうしてもこのパイクの作るゆったりした空間の中での癒されるような美しい旋律にならない。速さは空間を焦りとなって満たしてしまう。
空間の作りはどちらも似ている。だけどノクターンの2番が空間の中の色をはっきりと染めるのに対して、フォーレは音をそっと置くようにして水彩画のように色を空間ににじませるように置いていく。この3番はノクターンのように空間を夜のまったりした状態では満たさないけども、ゆったりとした空間に優しさと言う音を置いて満たしている。
ショパンはこのゆったりとした空間の中を「悲しさ」や「せつなさ」と言った感情という名の旋律で色をつけてノクターンとしている。
このフォーレの曲の構造は、その仕組みを使って「やさしさ」という空間を作り上げている。
旋律が強くないぶんだけ空間の作りが薄いように感じられるけども、
それは空間の色の濃さで空間の表現をどうするかという違いだと思う。
そこの空間が薄いことがショパンの曲とは大きく違う点かなと思う。
この曲の聴きどころは、ゆったりとした空間を感じながら、優しい旋律の音がその空間の中でどう広がって消えていくかを感じながら聴いてみて欲しい。そこの音の消え方の美しさがフォーレの作ったこの曲の最大の魅力ではないだろうか。
2曲の比較を演奏者も同じクンウーパイクの演奏を聴いているから、なおさら似ているように感じるのかもしれないが、フォーレは良くショパンのノクターンを研究していたのが、この曲からはわかる。
不思議なのは良く出来ているのにフォーレがこれをノクターンにしなかったことだ。だけどこれは後のフォーレのノクターンの原型とでも言える曲なのではないだろうか。
この曲からフォーレのノクターンの1番が掛かれるまでに10年かかったと言う事はそれだけ独自のものを作るのが難しかったということだろうか。
