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シューベルト「ピアノソナタ第18番:第1楽章」何度か聴くと名曲だと感じることってあるよね:ヴィルヘルム・ケンプ

作曲者:シューベルト
曲名 :ピアノソナタ第18番 ト長調 D894 第1楽章
演奏者:ヴィルヘルム・ケンプ
リズム:★★★★☆
旋律 :★★★★☆
構造 :★★★★☆
満足感:★★★★★

シューベルトのピアノソナタはこの18番から
晩年の感じに作風が変わる。
そこのところを含めて紹介してみようと思う。


Schubert: Piano Sonata No. 18 in G Major, D. 894: I. Molto moderato e cantabile

この曲は初めのうちは地味な曲だなと感じるかもしれない。
だけども何度か繰り返し聴くと良く出来ていることに気づく。
シューマンも言っていたけども、この曲は傑作じゃないかと思えるほどだ。

このソナタからは、第17番までの意欲的な作風とは方向性が変わり、ベートーヴェンの後期ソナタを思わせるような晩年感や、人生を振り返るような雰囲気が感じられる。
作曲者は晩年になると曲の作りの方向性が似てくるのか、聴いただけで晩年かどうかがわかるようになる。そこはベートーヴェンもブラームスもシューマンも一緒だと思う。
この曲はシューベルトの亡くなる2年前の作品だけども、病気や死を意識するようになったのか、作曲家に良くある晩年の匂いがしてくる。
未来の成功を夢見るというよりも過去の良かったころを振り返って懐かしんでいるようなイメージを受ける。
ケンプはそれに合わせてか、この曲をまるで別れの曲でも弾いているように、とても切なく弾いている。
この演奏での聴きどころはシューベルトの感情の表現をケンプがどう旋律で歌わせているかだろう。旋律の1音1音がとても丁寧に処理されているのが良くわかると思う。


ケンプという人はベートーヴェンの演奏のイメージが強いせいか、シューベルトやブラームスあるいはシューマンの良い演奏があることを余り知られていないのかもしれない。私だと逆にケンプのベートーヴェンよりもシューベルトやブラームスの演奏でケンプを聴くことが多い。

ケンプは詩的に歌わせる演奏が多いように評価されているけれども、私からするとケンプはリヒテルと同様にまず構造を優先している人だと思う。
派手さは無いけどもそのしっかりとしたリズムからくる土台の構造を作ることを優先して美しい旋律で仕上げている。

最初は何をやっているのかが良くわからない人だなとは思ったけども、少しずつ理解できるようになるとやっぱりケンプの演奏はいいなと思う。


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