モーツァルト「ピアノソナタ第9番:第3楽章」バランスを取るのが難しい:内田光子
作曲者:モーツァルト
曲名 :ピアノソナタ第9番 K.311 第3楽章
演奏者:内田光子
リズム:★★★★☆
旋律 :★★★☆☆
構造 :★★★★☆
満足感:★★★★☆
内田光子の良い演奏ってモーツァルトに多いけども、
その演奏でのバランスの取り方の難しさなどを
紹介してみようと思う。
Mozart: Piano Sonata No. 9 in D Major, K. 311: III. Rondeau. Allegro
内田光子のモーツァルトのなにがいいかというと
リズムを大事にしているから音が綺麗に後ろに流れていく。
これが出来ているかがとても大事だ。
旋律で歌わせることを重視してしまうと音が途中で止まったり
引っかかったりして上手く流れなくなる。
旋律を重視した演奏もそれなりには気持ちよく聴こえるけども、
途中で音が詰まる感じになるのは、これはちょっとなと思ってしまう。
このリズムと旋律とのバランスの取り方がとても難しい。
だけど内田光子は驚くほどに上手い具合にバランスが取れている。
ただこの演奏をするとどうしても旋律の歌わせ方が弱くなる。
そこはリズムや構造で聴いている者を納得させるだけの腕が必要なんだと思う。
もともとがモーツァルトの時代だと現代ピアノとは違って旋律は長く歌えない。だから旋律を長く歌うよりもリズムを優先しているような曲が多い。
旋律を重視する演奏だと聴いた後の満足感は出やすい。
リズムを優先する演奏でも聴いた後の満足感のある演奏はあるけども、それを出せるのは一握りのピアニストだけなんじゃないかなと思う。
あと現代ピアノなんだから旋律をしっかり歌わせたいって解釈もあるんだと思う。その場合はリズムが弱くなるからバランスの見極めが難しくなるんだと思う。
音が綺麗に流れるというのは、今の時代の音楽で言えば「爽快感」に近いものがあるんじゃないだろうか。
ベートーヴェンの時代に入って旋律を長く歌わせる事ができるようになっても、その音が自然に流れていく気持ちよさ自体は、表現しやすいように形を変えながら残ってきたんじゃないかと思う。
