ハイドン「ピアノソナタ第54番:第1楽章」フレーズを歌わせるとこんなにも美しい:ブレンデル
作曲者:ハイドン
曲名 :ピアノソナタ第54番 ト長調 Hob.XVI:40 第1楽章
演奏者:ブレンデル
リズム:★★★★☆
旋律 :★★★★★
構造 :★★★★☆
満足感:★★★★★
ハイドンの54番はとても情緒のある良い作品だ。
それをブレンデルがどう解釈して演奏しているのかを
中心に紹介してみようと思う。
Haydn: Piano Sonata in G Major, Hob. XVI:40: I. Allegretto innocentemente
この曲は感情表現がとても豊かな曲のように思う。
落ち着いて過去を振り返り色んな話しをするかのように歌っている。
悲しげな表現もあるけども、緊張感があるわけではないのだ。
シューベルトよりもベートーヴェンよりも、
穏やかに雄弁に物語が語られる曲なのではないだろうか。
ブレンデルはこの曲をゆったりとしたテンポで構造を分かりやすく見せながら旋律を歌い上げている。
なぜこんなにも1音1音を大事にして歌わせる必要があったのだろうか。
この曲は本来もっとリズムカルで旋律としての歌を強調しない演奏にすることもできる。
だけども、ブレンデルがそれを選ばなかったのはなぜなのだろうか。
思うにブレンデルはハイドンを古典派として軽快に演奏するよりも、歌うフレーズを前面に出したときに現れる美しさを見せたかったのではないだろうか。
ハイドンの曲は古典派にありがちな軽快なリズムで音が後ろに流れていくように演奏するのが普通だけども、どこかにベートーヴェンの匂いを感じる時がある。もちろんベートーヴェンがハイドンの影響を受けているわけだけど、それでもどこかにロマン派的な匂いがするのは確かで、ブレンデルはそれを強調して弾いているのではないだろうか。
1音1音を大事に見せながら演奏することで構造は良く見える。
だけどブレンデルが本当にやりたかったのは、ハイドンの曲の持つフレーズの美しさを見せることだったのではないだろうか。思うにこの演奏では旋律が美しく演奏されているように見える、だけどそれ以上にフレーズが美しく表現されているように感じるのだ。
