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サティ「ジムノペディ」難しくないのに構造がしっかりしている。アンヌ・ケフェレック

作曲者:エリック・サティ
曲名 :ジムノペディ 第1番
演奏者:アンヌ・ケフェレック

以前にクラシックギターによるジムノペディを紹介したことがあるけども、
あれはナイロン弦からくる音程の微妙な揺れが、心の揺れ動きの表現としてとても合うと思ったから紹介した。
ピアノ版だとどんな演奏が良いのだろうか。

3 Gymnopédies: No. 1, Lent et douloureux

この曲の解釈も色々あるとは思うけども、
私はリズムを「精神」、旋律を「気持ち(感情)」として解釈してみた。
そう解釈するとこの曲が急にわかりやすくなる。
リズムからくる精神的なまどろみの中にあって旋律としての気持ちがふらふらと揺れている。そう考えることによって、この曲の構造がシンプルに思えるようになった。
そしてどの演奏がその解釈に合うのかがようやく見えてきた。

この曲は自分自身ではなく、こういう状況に陥った人が居るということを客観的に見て、その空間の匂いを自分でもリズムとして感じて旋律で一体感を持つ曲だと思う。
つまりその人の気持ちになって一体感を持つことで、自分の持つ気持ちも一緒に音楽に流れていくのではないか。
ピアノの安定した音程は、聴いている人の精神をも安定させたまま感情という気持ちを一緒に流していくのに合っていると思う。

この曲が凄いのはリズムでの精神構造の表現が難しくないことだ。
誰でもほぼこのぼんやりした空間を演奏で表現できてしまう。
だから後は旋律でどう違いを出すかという問題でしかないのだ。
そこはドビュッシーやラヴェルの印象派の立体的な空間表現の難しさとは
大きく違う点だけど単純な分だけ完成度が高いとも言える。
これが印象派に大きな影響を与えた原点なんじゃないかとさえ思わせる。

演奏ではアンヌ・ケフェレックとフィリップ・アントルモンの演奏を最後まで比較していたがどちらも素晴らしい。どちらもレベルの高いジムノペディだと思う。ただアントルモンのほうがわずかに旋律が力強すぎた。それだけが選曲で使わなかった差だ。

今までジムノペディは何となく聴いていたけども、
この曲はなんなんだと考えていくうちに、
この音楽をどう聴けば良いのかが見えてきたように思う。
それを知ると急に前よりも良い曲に聴こえてくるから不思議なものだ。


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