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シューベルト「ピアノソナタ第1番:第1楽章」構造よりも旋律を優先する曲:ヴィルヘルム・ケンプ

作曲者:シューベルト
曲名 :ピアノソナタ第1番 ホ長調 D157 第1楽章
演奏者:ヴィルヘルム・ケンプ
リズム:★★★★☆
旋律 :★★★★★
構造 :★★★☆☆
満足感:★★★★☆

完成していないピアノソナタと言われる1番だけど、
第1楽章がとても気に入ってるので、
ケンプの演奏で紹介してみようと思う。


Schubert: Piano Sonata No. 1 in E Major, D. 157: I. Allegro ma non tropp

この曲は珍しい事にリズムよりも旋律が優先されている。
なぜこんなにも旋律が歌える曲になっているのだろうか。
そこを中心に考えてみようと思う。

特におやっと思ったのはケンプの歌わせ方だ。
ケンプは構造を優先させるタイプだからリズムをまずは大事にする。
そこから旋律をどれだけ歌わせるかを考えている人だと思う。
だけどこの演奏だと旋律を優先しているように感じる。

思ったのはこの曲をシューベルトが作曲したのは18歳の頃だけども、まだその段階では構造をきっちりさせることよりも、まだ旋律で歌わせることを中心に考えていた時期だったのではないかと思った。それと同時にいかに曲を上品に仕上げるのかを考えている段階の曲ではないかと思う。

ケンプもそのシューベルトの状況を理解した上で、この旋律を中心にした解釈にしたのではないだろうか。
良く聴いてみるとこの演奏はケンプにしては演奏の構造が少しだけ緩い気がする。つまりこの曲では構造をきっちりさせることよりも旋律を優先させる解釈になったということではないだろうか。
それだけケンプは旋律への振り幅が珍しく大きかったのではないだろうか。
そしてそういう解釈になった時のケンプの旋律の歌わせ方が、普段のケンプよりもとても美しく仕上がっているとも感じた。特に細かいところの繊細さが良く伝わってくる演奏だと思う。

ケンプのこの演奏が旋律中心に早い段階で気づいたのはラドゥ・ルプの演奏と比較してみたのが大きい。
比較して見るとケンプの演奏ははルプと旋律への振り幅がほぼ同じに感じられた。旋律を重視するタイプのルプと同じと言う事はそれだけケンプも旋律寄りになっているということに気づけた。

この曲を改めて聴いてみるとハイドンとベートーヴェンの両方の匂いがする曲のように思う。シューベルトのピアノソナタへの影響に何があったのかを考えてみたことも無かったけども、記事にする上で改めて聴いてみると自分にとっての大きな発見があるんだなと感じる。


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