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「利益を生まない部門」なんて、本当にあるのだろうか -人事も経理も利益をつくっている-

こんにちは、GCRM の岸本です。

会社の利益を生み出しているのは誰でしょうか。

営業部門は売上をつくります。
製造業なら工場が製品をつくり、建設会社なら現場が工事を完成させます。
こうした事業の最前線が会社の利益を生み出していることに異論はないでしょう。

では、人事、経理、法務、情報システム、安全管理、広報などの間接部門は、会社の利益にどう貢献しているのでしょうか

間接部門はしばしば「コストセンター」と呼ばれます。
会計上はその通りかもしれません。
しかし、「コストセンターだから利益を生まない」と考えてしまうと、間接部門の役割を狭く捉えることになります

会社の「稼ぐ力」という視点から見ると、少し違った姿が見えてきます。

利益への貢献には3つの形がある

私は、会社の利益への貢献には、大きく3つの形があると考えています。

「利益を増やす」「利益を守る」「利益を安定させる」の3つです。

利益を増やす」は最も分かりやすいでしょう。
売上を伸ばす、生産性を上げる、コストを下げる。
これらは直接、利益の増加につながります。

一方、「利益を守る」とは、事故や不祥事、契約トラブル、情報漏えい、人材流出などによって、本来得られるはずだった利益が失われることを防ぐことです。

そしてもう一つが「利益を安定させる」です。
一部の人や組織だけが高い成果を上げるのではなく、そのやり方を仕組みにし、継続的に誰でも一定の成果を出せるようにすることです。

この3つの視点で見ると、間接部門の仕事と利益との関係が見えてきます。

間接部門も「利益を増やす」

例えば人材部門を考えてみましょう。

✔ 優秀な人材を採用する。
✔ 若手社員を早く戦力化する。
✔ 適切な人材を適切なポジションに配置する。
✔ 人材・スキルを強化し、組織全体の生産性を向上する。管理職のマネジメント能力を高める。

人材部門が売上を直接つくるわけではありません。
しかし、営業担当者の生産性が上がる、現場の能力が高まる、新しい事業を担える人材が育つ。
そう考えれば、これらは会社の利益を増やすことにつながっています。

情報システム部門が業務をデジタル化し、これまで10時間かかっていた仕事を2時間でできるようにすることも同じです。
それ以上に、データや情報活用環境を整え、より良い意思決定を支援するといったこともあります。

売上を直接つくらなくても、売上や利益を生み出す組織の能力を高めることはできるのです。

「何も起こらなかった」にも価値がある

間接部門には、利益を「守る」という重要な役割もあります。

法務部門は契約上のリスクを減らします。
安全部門は事故を防ぎます。
情報セキュリティ部門は情報漏えいを防ぎます。
経理部門は不正や資金管理上の問題を防ぎます。
リスクマネジメントは、問題の早期発見や対応につながります。

人事部門はハラスメントや人材流出などのリスクに対応します。
また、サクセッション・プランによって、重要なポジションの後継者不在という事業継続上のリスクに備えることもできます。

こうした仕事の成果には、一つの特徴があります。

問題が起きなかったときには、成果が見えにくいことです。

しかし、大きな事故や不祥事が一度起これば、それまで積み上げてきた利益が失われるだけでなく、会社の信用そのものが傷つくこともあります。

「何も起こらなかった」は、「何もしていなかった」という意味ではありません
防いだ損失は見えにくい。
しかし、利益を守るという視点に立てば、こうした活動も会社の稼ぐ力の一部なのです。

「できる人がいる」から「誰が担当しても一定の成果を出せる会社」へ

そして、私が重要だと思うのが「利益を安定させる」という視点です。

会社には、「あの支店ではうまくいった」「あの担当者だからできた」という成功が数多くあります。

しかし、それが個人の経験や能力だけに依存していれば、その人が異動や退職した途端に成果が出なくなるかもしれません。

成功事例を整理し横展開する。
仕事の進め方を仕組化して標準化する。
ノウハウを共有する。教育プログラムに組み込む。
KPI によって成果を可視化する。

こうした仕組みづくりには、間接部門が大きく関わっています。

言い換えれば、「できる人がいる会社」を「誰が担当しても一定の成果を出せる会社」に変えていく
ハイパフォーマーが重要なのはもちろんですが、これも会社の稼ぐ力を高める重要な仕事です。

「何をしたか」から「何を生み出したか」へ

では、「稼ぐ力」のある会社の間接部門は、何が違うのでしょうか。

私は、仕事を見る視点に違いがあるのではないかと思います。

「研修を何回実施したか」ではなく、「その研修によって社員や組織のどんな能力が高まり、事業にどう貢献したか」。

「契約を何件審査したか」ではなく、「どのようなリスクを減らし、利益を守ったか」。

「新しいシステムを導入した」ではなく、「それによって意思決定のレベルやスピードが上がり、生産性がどれだけ上がったか」。

つまり、「何をしたか」ではなく、「何を生み出したか」から自分たちの仕事を見るということです。

自分の仕事は、会社の利益を「増やしている」のか。
「守っている」のか。それとも「安定させている」のか。
間接部門で働く一人ひとりが、この問いを持つことには大きな意味があると思います。

会社の「稼ぐ力」は、営業や事業部門だけでつくられるものではありません。

間接部門までが利益を自分ごととして考える会社
そんな会社こそ、本当に「稼ぐ力」のある会社なのではないでしょうか。