銀河英雄伝説クラシック音楽一覧 │ (3)映画「わが征くは星の大海」その2🎂今日はミッターマイヤーの誕生日
OVA「銀河英雄伝説」で使われているクラシック曲をGoogleスプレッドシートにリスト化し、Webサイトで公開しています。
→銀河英雄伝説クラシック音楽一覧 Musik und Szenen – ein Strauß gelber Rosen
このnoteでは曲のことや物語のこと、ミッターマイヤーのこと、そのほか銀英伝に関するいろいろを書いていきたいと思います。
⚠️ネタバレを含みます。
今回は最初にアニメ化された1988年公開の映画『わが征くは星の大海』からご紹介する7曲の続きです。
曲について ―― 前回の続き
5.ラヴェル/ボレロ
いよいよ映画のクライマックス、今回のメインの戦闘である第四次ティアマト会戦。ここで流れるのが、ラヴェルの代表作「ボレロ」です。
スネアドラムが冒頭から最後までずっと同じリズムを刻み続け、その上に同じ旋律が楽器を変えながら何度も繰り返されます。音が少しずつ厚みを増し、最後には全楽器総出のコーダへ。単純な繰り返しだけなのに、聴いている側のテンションが上がっていく曲です。ボレロとは舞踊曲ですので、そういった面での高揚感もあるのかもしれません。
アニメでは、曲が終わり静寂が訪れるのと、帝国・同盟両軍が一時攻撃を止め、ここでどちらかが撃てば共倒れという一触即発の場面とで、タイミングがぴったりあい、緊張感を醸し出しています。
🎧曲を聴く
このアニメのBGMには、ドイツシャルプラッテンレコードの音源が使われているそうです。それは、原作は徳間書店、映画は徳間ジャパンで、この徳間グループが、そのレーベルを所有しているからとのこと。
ただしこの「ボレロ」に限っては当時まだ著作権が切れておらず、著作権料がかかるのであればどうせならというのもあって、アニメの尺にあわせて新たに録音したと聞いています。井上道義指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団だそうです(これはすごい)。
6.モーツァルト/クラリネット協奏曲 第2楽章
戦闘が終わり帰還する戦艦の中、休息のひととき、ミッターマイヤーが妻のエヴァンゼリンに手紙を書くシーンです。クラリネットの柔らかく美しいモーツァルトらしい旋律は、まさに「休息」という言葉が似合います。
🎧曲を聴く 13:15から
いや、休んでいるのは彼だけでなくて、将官も兵士もみんななんですけれど、はい、ここは「ミッターマイヤーが手紙を書くシーン」とさせていただきます。
このシーン、私が銀英伝にずぶずぶとはまったきっかけなのです。当時ガンダム目当てでアニメ誌を買っていました。「逆襲のシャア」と「わが征くは星の大海」は同じぐらいの上映日だったので(逆襲→1988年3月、わが征く→1988年2月)銀英伝もよく特集記事が載っていました。その中に、このシーンの絵があったのです。
すてきー!!
実はここは、原作にはありません。脚本の首藤剛志さんによると、この「わが征くは星の大海」は原作を知らない人にも楽しめる映画にするために、例えば「卿」(けい)という言葉は使わない、そのために二人称じたいも使わないようにしたりなど工夫されているそうです。が、原作ファンへのサービスなのか、プロデューサーの田原正利さんが指示してこのような場面を入れたのだろうとのこと(「スタジオえーだば創作術 第76回 銀河英雄……ボレロ……伝説」より)。
この田原さんの追加がなければ、私は銀英伝にはまっていなかったのかもしれないというわけです。ありがとうございます、ありがとうございます、田原さん……
そのあと原作を読み、この通り。実はそのときアニメは見ることはなく、再熱してアマプラでみた2年前が初見なのですが。
彼の手紙はドイツ語で、美しい筆記体で書かれています。素敵…。私もこれを見てクルンクルンの筆記体――たぶんカッパープレート体かと――をいかに美しく書くかに余念がなく、英語の授業では先生に「字がきれい(文章は間違っているが)」と評されたこともありました。
ちなみに手紙の中身はこちら(たぶん)
............................................…
Liebe Eva,
… ist der Krieg zu Ende.
… ich dir Sorgen gemacht.
… nichts passiert.
Machst nur keine Sorgen, weil ich sogar keine Verletzung gehabt habe.
Auch der …
親愛なるエヴァへ。
戦争は終わった。
君には心配をかけてしまったね。
私には何も起こらなかった。
心配しないでおくれ。私はかすり傷ひとつ負っていないから。
それから
............................................…
本伝後半、第84話「失意の凱旋」でも、手紙を書く場面が出てきます。こちらは原作にもあります。お楽しみに…
7.マーラー/交響曲第3番 第6楽章
エンディングはオープニングと同じ交響曲第3番です。
前回お伝えしたように、オープニングは第一楽章頭。そしてエンディングは終楽章である第6楽章のコーダ、曲の終わりです。
🎧曲を聴く 22:30から
つまりこの映画はマーラーの3番の頭で始まり、3番の終わりで幕を閉じています。曲はやはり壮大で重厚です。
とはいえ、この映画で描かれたのは、銀河英雄伝説という長大な物語のほんの序章、スタート地点です。原作ではまだ本伝1巻以前のできごとなのです。
このあとから110話分の旅がはじまるのですが、実際に描かれるのはわずか5年間分。ファンとしては、もっと読みたかった、そう思わずにはいられません。
8.その他
・チャイコフスキー/「白鳥の湖 第1幕 第2曲 ワルツ
ブリュンヒルト入港シーン
🎧曲を聴く 4:08から
・ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」第4楽章
ヤンが歴史のビデオを見るシーン
🎧曲を聴く 45:52から
BGMリストについて
GM全曲をスプレッドシートでリスト化し、該当曲がアニメで流れる箇所からYouTubeで聴けるようにリンクを張っています。
各曲のどの部分がどこで流れるかは、スプレッドシートのリストをご確認ください。
今回ご紹介した「わが征くは星の大海」のシートが見られるのは こちら です。
このnoteをお読みになって曲に興味を持たれた方や、アニメを見て「聞き覚えはあるけれど曲名が思い出せない」「この曲をフルで聴いてみたい」「あの場面ではどんな曲が流れていたのか知りたい」と思ったとき、ぜひご活用ください。

