銀河英雄伝説クラシック音楽一覧 │ (38)第29話「細い一本の糸」
OVA「銀河英雄伝説」で使われているクラシック曲をGoogleスプレッドシートにリスト化し、Webサイトで公開しています。
🔗 銀河英雄伝説クラシック音楽一覧 Musik und Szenen – ein Strauß gelber Rosen
このnoteではBGMを軸に、曲のことや物語のこと、ミッターマイヤーのこと、そのほか銀英伝に関するいろいろを書いていきたいと思います。
⚠️ネタバレを含みます。
今回は第29話「細い一本の糸」です。
あらすじ
シャフトはガイエスブルク要塞にワープ装置を設置し、イゼルローン要塞近くに出現させる奇策を提案。ラインハルトはケンプを司令官に任命し、ミュラーと共に作戦を進める。フェザーンでは自治領主ルビンスキーが同盟支配をラインハルトに委ね、後に帝国を経済支配する計画を示す。彼はケッセルリンクを通じ同盟政府がヤンに疑念を抱くようにと動く。
曲について
⬜オープニング「I am waiting for You」
歌・作詞・作曲 秋吉満ちる / 編曲 森英治
01:33 マーラー《交響曲第3番 第3楽章》
―― ルビンスキーと地球教
G. Mahler – Symphonie Nr. 3 d-Moll, III. Comodo. Scherzando. Ohne Hast
3楽章頭。弦楽器のピッチカートの伴奏にのり、クラリネットやピッコロが軽い感じの、でもちょっと悲し気な、古いおとぎ話のようなメロディーを吹いています。
🎧曲を聴く 45:52
ルビンスキーのシーンですが、いつものフェザーンのテーマではなかった。3楽章の終わり部分、この最初のメロディーの短縮版のような音楽が流れ、盛り上がっていき大音量で全楽器が鳴ると、フェザーンのいつものファンファーレが始まります。
07:03 チャイコフスキー《バレエ「くるみ割り人形」第2幕 スペインの踊り》
―― ユリアンの回想
П. И. Чайковский – Лебединое озеро, соч. 20, Акт III, №21: Испанский танец
ユリアンが、ヤン宅に初めて来たときのことからを回想するシーン。
🎧曲を聴く
「くるみ割り人形」の2幕は主人公がお菓子の国に迎え入れられ、お菓子の精の踊りが次々と繰り広げられる場面です。このスペインの踊りはお菓子でいうとチョコレートの精。スペインの曲にトランペット?という感じですが(「白鳥の湖」では、ナポリの踊りがトランペットの似たような感じの曲です)カスタネットが入っているのがスペインっぽいかも。
いずれにせよ明るく快活で、ユリアンの登場シーンに似合うと思います。
「スペインの踊り」は今回のみですが、「くるみ割り人形」からの曲は以下でも使われています。
▻第046話「ヤン艦隊の箱舟隊」22:13ロイエンタールがイゼルローン奪還
▻第055話「儀式から再び幕は上がり…」 12:43シルヴァーベルヒが工部尚書に
▻第055話「儀式から再び幕は上がり…」22:09ユリアンにカリンを紹介するポプラン
銀英伝と関係のない話ですが、「くるみ割り人形」は、仕事で使い、何度もCDを聴いて、何度もバレエ公演を見て、ピアノで弾いて、原作も読んで、大好きです。上野の春の音楽祭で、原作のほうの子供向けの朗読公演にも行きました。一時期、くるみ割り人形フリークになっていた時期があったんです…。
というわけで、特にお子さんにバレエを見せたいという方(私の場合は、自分がバレエを見たいが、これだったら子供も楽しめるのでは?と思った)は、「くるみ割り人形」からいかがでしょうか?
クリスマス時期になると、たくさんのバレエ団がこれを上演します。それぞれ演出が違うのもおもしろいです。
なんというか「幸せな曲」だと思います…。私はもう、最初の最初で涙腺がゆるんじゃうんですが。
07:57 ブルックナー《交響曲第7番 第2楽章》
―― ケッセルリンクと弁務官の会談
A. Bruckner – Symphonie Nr. 7 E-Dur, WAB 107, II. Adagio: Sehr feierlich und sehr langsam
高等弁務官についての説明から入るシーン。
曲は2楽章の頭から。これは私には ”やばい曲" なのです…72話のあのシーンで流れるから…。でも他にもまあまあ使われていますね。
この箇所が流れるシーン
▻第052話「バーミリオンの死闘(後編)」4:30作戦を見抜いたユリアン
▻第072話「マル・アデッタ星域の会戦(後編)」17:45🐺帝国軍の敬礼
▻第091話「発芽」13:55ロイエンタールから皇帝へ招請状
▻第107話「深紅の星路」15:22悩むユリアン
▻「白銀の谷」Kap.Ⅱ8:40同盟軍について話す二人
この最初のホルンのようなトロンボーンのようなチューバのような、低い金管楽器の悲しいメロディー、楽器はワグナーチューバという特注のものです。
上の音源は、1オクターブ下げてトロンボーンで作りました。通常、ホルン奏者が担当するようなので、ホルンのほうがよかったのかな…。
🎧曲を聴く 21:23
動画でバッチリ映っていますので、ぜひぜひ本物の楽器と音をご確認ください。
ワグナーチューバとは、ワーグナーが「ニーベルンゲンの指環」で使うために作った楽器ですが、ワーグナー以降でも、ブルックナーの第7番・第8番・第9番の交響曲、リヒャルト・シュトラウスの楽劇『エレクトラ』『影のない女』『アルプス交響曲』、ストラヴィンスキーの『火の鳥』『春の祭典』、シェーンベルクの『グレの歌』、バルトークの『中国の不思議な役人』などで使われているそうです。どれだけみんなワーグナーが好きなのでしょう…(うれしい)。
このブルックナー7番2楽章について、千葉フィルハーモニー管弦楽団さんの解説、リンクを貼らせてください。
https://www.chibaphil.jp/archive/program-document/bruckner-sinphonie-7/page-3
ブルックナーがこの2楽章の執筆中に、ワーグナーが危篤、そして亡くなったそうで、その報を受けたブルックナーはコーダを付け加えて184小節以下を「ワーグナーのための葬送音楽」と呼んだとのこと。そしてその後、ルートヴィヒ2世に献呈されたそうです。
というところなんですけれど、彼がワグネリアンというのは昔から聞いていましたが、私が確信したのは、この出だしのメロディーが「ジークフリート」のライトモチーフに似ていると思ったのがきっかけでした。それを調べるのにちょっと検索したら、この曲がワーグナーの葬送とわかったという次第です。
実際、曲中にジークフリートのライトモチーフが使われているようなのですが、私が思っていたこの2楽章の出だしは別にそういうことではないみたいでした。
ちなみに銀英伝とぜんっぜん関係ないのですが、映画「クリムゾンタイド」はご覧になりましたか? あの映画でテーマソングが流れるたびに、私の心は「ワーグナーだワーグナーだ!」とざわついていました。あのテーマソング、ジークフリートのライトモチーフとしか思えない…。ですが、そんなふうに思うのは私だけかもしれません。作曲者はハンス・ジマー氏、ご興味ある方は、彼について検索してみてください。
11:40 ヘンデル《二重協奏曲 第3番 HWV334 第3楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ》
―― キャゼルヌ家でユリアンの昇進祝
G. F. Händel – Concerto a due cori Nr. 3 F-Dur, HWV 334, III. Allegro ma non troppo
3楽章の終わり部分。「Allegro ma non troppo(速く、しかしあまり速すぎないように)」の、軽快なバロック音楽らしい曲です。
※「ma(マ)」はイタリア語で「しかし」。「まあ、しかし」と覚えるといいと教えてもらいました。
🎧曲を聴く 7:15
この二重協奏曲第3番は、この3楽章のあと、4楽章の頭がこちらで使われています。ぜーんぜん違う感じの曲です。
▻第054話「皇帝ばんざい!」21:18地球教総大主教
13:20ブルックナー《交響曲第1番 第2楽章》
―― キャゼルヌとヤン
A. Bruckner – Symphonie Nr. 1 c-Moll, WAB 101, II. Adagio
二人が同盟国家と同盟軍について、深刻な話をするシーン。
第1番は初登場です。2楽章頭から。暗く静かで深刻な感じの曲です。
🎧曲を聴く 12:45
22:12 ブルックナー《交響曲第1番 第2楽章》
―― キルヒアイスの墓前のヒルダ
A. Bruckner – Symphonie Nr. 1 c-Moll, WAB 101, II. Adagio
先程は2楽章の頭でしたが、こちらは終わり部分。曲が盛り上がって頂点に達すると、こちらの静かなコーダが流れます。その部分です。
🎧曲を聴く 23:22
以降、1番2楽章が使われているのは今回の2シーンと、こちら2か所のみです。
▻第065話「すべての旗に背いて」23:18レンネンカンプの遺体を受けとる
▻第091話「発芽」19:00🐺陰謀を疑うミッターマイヤー
⬜エンディング「旅立ちの序曲」
歌・作詞・作曲 小椋佳 / 編曲 風戸慎介
BGMリストについて
BGM全曲をスプレッドシートでリスト化し、該当曲がアニメで流れる箇所からYouTubeで聴けるようにリンクを張っています。
今回ご紹介した第29話「細い一本の糸」のリストが見られるのは こちらです。
各曲のどの部分がどこで流れるかは、スプレッドシートのリストをご確認ください。
このnoteをお読みになって曲に興味を持たれた方や、アニメを見て「聞き覚えはあるけれど曲名が思い出せない」「この曲をフルで聴いてみたい」と思ったとき、ぜひご活用ください。

