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銀河英雄伝説クラシック音楽一覧 │ (15)第8話「冷徹なる義眼」

OVA「銀河英雄伝説」で使われているクラシック曲をGoogleスプレッドシートにリスト化し、Webサイトで公開しています。
🔗 銀河英雄伝説クラシック音楽一覧 Musik und Szenen – ein Strauß gelber Rosen

このnoteでは曲のことや物語のこと、ミッターマイヤーのこと、そのほか銀英伝に関するいろいろを書いていきたいと思います。
⚠️ネタバレを含みます。

今回は第8話「冷徹なる義眼」帝国ターン。もちろん、あの義眼のお方の登場です。
ちょっと表記を変えてみました🎶


あらすじ

難攻不落を誇ったイゼルローン要塞は、遂に同盟軍の手に落ちた。イゼルローン駐留艦隊の参謀、オーベルシュタイン大佐は、司令部で唯一の生存者として要塞陥落の責を負わされる。彼はラインハルトのもとを訪れ、自らが帝国を憎む理由を語った。

01:33 マーラー《交響曲第3番 第1楽章》
――銀河の歴史

G. Mahler – Symphonie Nr. 3 d-Moll, I. Kräftig. Entschieden
いつもの「銀英伝のテーマソング」です。
銀河帝国ができて→自由惑星同盟ができて→このたび同盟がイゼルローンを制圧、という前回までのあらすじが説明されます。

🔗曲については 映画「わが征くは星の大海」その1

04:08 ベートーヴェン《交響曲第5番「運命」第3楽章》
―― 要塞陥落の報告

L. v. Beethoven – Sinfonie Nr. 5 c-Moll, Op. 67, III. Allegro
リヒテンラーデ侯爵が皇帝に、イゼルローン要塞陥落の報告をするシーンで、「運命」3楽章、初登場。頭から流れます。
チェロとコントラバス、低音の弦楽器の暗く静かな序奏から始まり、1楽章の有名な「ジャジャジャジャーン」と同じモチーフが、ホルンの丸く柔らかい音でゆったりと力強く奏されるところです。

ちなみに、1楽章は頭に休符が入って「ン・ジャジャジャジャーン」ですけれど、3楽章は頭から「ジャジャジャジャーン」です。
休符が入る=裏拍から入ると緊張感がありますね。
3楽章のほうは朗々としている感じ。

1楽章の最初 ヴァイオリン

1楽章「ん・じゃじゃじゃじゃーん」

3楽章 ホルン(ト音記号で3/4拍子です)

3楽章「じゃじゃじゃじゃーん」

出典:Ludwig van Beethoven《Symphony No.5 in C minor, Op.67》 Ludwig van Beethovens Werke, Serie 1, No.5 Leipzig: Breitkopf & Härtel, 1862. Plate B.5. Source: IMSLP #979324(Public Domain)

ちなみにこのモチーフについては「運命はこのようにして扉を叩く」とベートーヴェンが言ったというのが有名な話で、確か学校でも習ったと思います。が、今では信憑性がないようです。

「運命」3楽章が流れるのは下記です。
▻第21話「ドーリア星域会戦、そして…」18:38 ハイネセンスタジアムの暴動
▻第92話「ウルヴァシー事件」12:15 車を降りてブリュンヒルトへ向かう一行
▻第93話 「矜持にかけて」14:20 帝国にも叛逆の報が入る
▻第98話「終わりなき鎮魂歌」1:30 エルスハイマーに全権を託すロイエンタール
▻「奪還者」Kap.Ⅰ 10:29 ヘルクスハイマー伯について説明を受ける
▻「螺旋迷宮」第5話「時の女神に愛された男 ~第二次ティアマト会戦記Ⅰ~」 9:15 ミュッケンベルガーを批判するシュタイエルマルク

うーん、あんまりうれしい話ではなさそうな場面ですねえ……

05:09 元帥府の諸将
(音楽なし)

ミッターマイヤーが出てくるので書かせていただきます。
ラインハルトもイゼルローン陥落の報を受け、元帥府のメンバーたちにその話をしているシーンです。貴族たちの嫌味を言い、キルヒアイスが「元帥閣下もお人が悪い」と受け答えをしています。
原作では特にこの場面はなく執務室でキルヒアイスに対して話しているだけです。麾下に若い人材を登用したとミッターマイヤーたちの名前が羅列され、そのあとにキルヒアイスのカストロプ制圧が回想される形で出てきますね。

09:35 マーラー《交響曲第9番 第1楽章》
――オーベルシュタインの面会

G. Mahler – Symphonie Nr. 9 D-Dur, I. Andante comodo
「まずお人払いを願います」「AにはAにむいた話、BにはBに…」
のあそこです(もちろんここでは、A=アー、B=ベーと読みます)。
塩沢さんの声、いいですよねえ…。

マーラー9番は初登場です。
30分ほどある1楽章のうちの8分ぐらいのところ。曲が盛り上がって頂点に達してそのあと急に静かになり、ホルンの「♭ミーレー」という音が響くところです。

「♭シーラー」になってますよね。これだからスコアを読むのは私には大変…
出典:Gustav Mahler《Symphony No.9 in D major》
First edition (reprint), Vienna: Universal Edition, 1912. Plate U.E. 3395.
Reprint: Mineola, Dover Publications, 1993. File #353450 (Public Domain, via IMSLP)

9番1楽章が使われるのはこちら。
▻第23話 黄金樹は倒れた2:55オーベルシュタインの提言
▻第23話 黄金樹は倒れた6:43ヴェスターラントの惨状
となると、なんとなくオーベルシュタインのテーマかなと思うのですけれど…流れるのはここだけです。

9番1楽章は、他には外伝「第三次ティアマト会戦」で4回出てきます。

9番1楽章を頭から聴いてみて、シリアスでいい感じの曲です。上の「♭ミーレー」と同じリズムのメロディーがよく出てくるので、これはそういうテーマ的なモチーフなのでしょう……(たぶん!)。
でもって、ちょっと不思議に思ったのが、メロディーを第2ヴァイオリンだけが弾いているところがけっこうあったことです。第1ではなく。なぜだろう? いや、第1が優先と私が思いこんでいるだけか…

14:58 ベートーヴェン《交響曲第5番「運命」第2楽章》
―― オーベルシュタインは危険な男です

L. v. Beethoven – Sinfonie Nr. 5 c-Moll, Op. 67, II. Andante con moto
オーベルシュタインを参謀にすると、キルヒアイスに話すラインハルト。キルヒアイスははっきり「危険な男です」と言いましたが、原作にはないセリフのような…

「運命」2楽章は、明るく穏やかな優しい雰囲気の曲です。「新たなる戦いの序曲」で音楽学校の女生徒が署名活動をしているのをジェシカが励ますシーンで出てきました((8)映画「新たなる戦いの序曲」その3)。

次に出てくるのは第080話、なので後ろの方で使われています。
▻第80話「回廊の戦い(中編)–万華鏡–」23:51讃うべきかな、マイン・カイザー
▻第92話「ウルヴァシー事件」18:40ルッツとの別れ
▻第93話「矜持にかけて」3:33どうにもならんよ
▻第97話「剣に斃れ」4:30メックリンガーが通過
▻第98話「終わりなき鎮魂歌」24:00ラング夫人の歎願
▻第110話「夢、見果てたり」4:24ブリュンヒルト内で会見するラインハルトとユリアン
ううううう、見ているとなんだか悲しくなっちゃいますね…。

17:50 マーラー《交響曲第9番 第4楽章》
――幼年学校時代の回想

G. Mahler – Symphonie Nr. 9 D-Dur, IV. Adagio
幼年学校時代、アンネローゼに会いに行き門限に送れそうになる二人。途中、貴族が平民の女性にからんでいるのを目撃し、改めて決意をかためるラインハルト…をキルヒアイスが回想するシーン。

出典:Gustav Mahler《Symphony No.9 in D major》
First edition (reprint), Vienna: Universal Edition, 1912. Plate U.E. 3395.
Reprint: Mineola, Dover Publications, 1993. File #353450 (Public Domain, via IMSLP)

ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」から「愛の死」が引用されているとか。十六分音符のところのことでしょうか。
雰囲気も「トリスタンとイゾルデ」と似ているような。暗く深く静かですが、きっぱりと決心しているような印象もある曲です。

21:30 マーラー《交響曲第9番 第4楽章》
――せいぜい華麗に滅びるがよいのだ

G. Mahler – Symphonie Nr. 9 D-Dur, IV. Adagio
リヒテンラーデ候が皇帝に、ラインハルトが図に乗るのではないかと遠まわしに言うシーン。原作を見ると、どうせ滅びるなら……と言った後に、 『皇帝の声が彗星の不吉な尾のようにつづいていた』と書かれ、「せいぜい華麗に滅びるがよいのだ、につながります。彗星の不吉な尾!

マーラーの交響曲は10番が未完なので、これが最後ともいえます。その最終楽章、そしてここで使われているのはそのおしまいの部分です。おしまいのおしまい。
※とはいえ、10番のおしまいもつかわれていて…しかもあそこで(またそのときに)

弦楽器が長い音、そしてとても小さい音で流れます。どのくらい小さいかというと、p(弱く)×3です。第一ヴァイオリンは×4ですね。消え入るように終わるということですね…。

出典:Gustav Mahler《Symphony No.9 in D major》
First edition (reprint), Vienna: Universal Edition, 1912. Plate U.E. 3395.
Reprint: Mineola, Dover Publications, 1993. File #353450 (Public Domain, via IMSLP)

ちなみに、強弱記号の「p」はこんな順番になっています。pが多いほど弱いです。
p ピアノ
pp ピアニッシモ
ppp ピアニッシシモ
pppp ピアニッシシシモ

9番の4楽章は、他に下記で使われています。流れる箇所は同じものもあれば違うところもありますので、またそのときに。
▻第16話「あらたなる潮流」6:04諸将をねぎらうラインハルト
▻第18話「リップシュタットの密約」12:35メルカッツが承諾
▻第55話「儀式から再び幕は上がり…」14:35メルカッツと再会
▻「決闘者」Kap.Ⅲ14:38相手の異様さに気づく
▻「第三次ティアマト会戦」後編16:15同盟の帰還
▻「第三次ティアマト会戦」後編17:45帝国も撤退。ラインハルトの運命の話

その他

⬜オープニング「Skies of Love」歌・作詞・作曲 秋吉満ちる / 編曲 風戸慎介
⬜エンディング「光の橋を越えて」歌・作詞・作曲 小椋佳 / 編曲 風戸慎介

運命の話

今回は、マーラーとベートーヴェンでした。
ベートーヴェンは5番「運命」、そして曲とは関係ないのですけれど、マーラー9番4楽章が他に出てくるところとして『「第三次ティアマト会戦」後編17:45帝国も撤退。ラインハルトの運命の話』と書いています。ラインハルトがこんなことを言っていて、いいなあと思ってメモしていました。
『運命? 運命などに、おれの人生を左右されてたまるか。おれはおれの長所によって成功し、自分の短所によって滅びるだろう。全て、おれの器量の範囲内だ』
よくないですかー?


BGMリストについて

BGM全曲をスプレッドシートでリスト化し、該当曲がアニメで流れる箇所からYouTubeで聴けるようにリンクを張っています。
今回ご紹介した第8話「冷徹なる義眼」のリストが見られるのは  こちら です。
このnoteをお読みになって曲に興味を持たれた方や、アニメを見て「聞き覚えはあるけれど曲名が思い出せない」「この曲をフルで聴いてみたい」「あの場面ではどんな曲が流れていたのか知りたい」と思ったとき、ぜひご活用ください。

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