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【AI格闘記④】AIで作った最新資料が、現場のプロジェクターに完敗した夜。【かりゆし塾35周年】

序章:35年分の熱気が、一つの部屋に凝縮された夜

昨夜は、特別な夜でした。

「かりゆし塾35周年記念 大交流会」。沖縄県経営者協会の宮城会長をはじめ、りゅうせきの金城相談役、沖縄電力の本永社長。沖縄経済を牽引してきた重鎮たちが、20代の若手から80代のOBまで100名超と、同じ部屋で杯を交わしました。この熱気を、どう表現すればいいのか。12年間、講師としてこの塾に関わってきた私でも、言葉が追いつかない瞬間があります。

「これが現場だ」。そう思いながら、私は内心、もう一つの「想い」を胸に秘めていました。

挑戦:64歳、AI武装して現場へ

この日、私には5分間の活動紹介の出番がありました。

テーマは「AI時代における人間臭いプロセスの価値」。なぜAI時代だからこそ、対話と現場が必要なのか。それを真剣に説こうとしていた。

しかし同時に、こんな下心もありました。

「よし。ここで64歳のAIスキルを、沖縄経済界の重鎮たちに見せつけてやろう」

私が今年から使い倒している画像生成AI「Nano Banana Pro」で、スライド用のイメージ画像を徹底的に作り込みました。色彩、構図、ディテール。「これは本当にクールだ」と自画自賛しながら、何度も調整を繰り返しました。

頭の中では、すでにスティーブ・ジョブズのプレゼンが流れていました(笑)。

事件:解像度の壁、という名の現実

スクリーンに映し出された瞬間、私は悟りました。

1/3は、読めない。

精魂込めて作ったAI画像は、会場のプロジェクターを通過した途端、「謎のモザイクのような何か」に変貌していました。文字は潰れている。画像も見づらい。高齢の参加者の方が、目を細めてスクリーンを見つめているのが視界に入ります。

「読めん……」(これは私の心の声ではなく、たぶん会場全員の心の声です)

ここで、人生の選択肢は二つありました。

慌てて謝る。あるいは、開き直る。


見せたかった画像

解決:最後に頼れるのは、結局これだった

腹を括りました。

「スライドの画像は潰れてますが、私の想いは潰れていません!」

スライドを捨て、生の言葉だけで5分間を走り切りました。AIが作った完璧な画像の代わりに差し出したのは、12年間この塾で現場に立ち続けてきた、泥臭い実体験と、それを伝えたいという一点の熱意だけでした。

結果、会場から温かい笑いと拍手が返ってきました。

皮肉な話です。「AI時代だからこそ人間臭いプロセスに価値がある」というテーマで話そうとしていた私が、AIが使えなくなった瞬間、そのテーマを自分の体で実証してしまったのです。

準備したスライドよりも、その場の失敗談の方が、よほど雄弁でした。

交流:この絆は、どんな高解像度にも映せない


宮城会長(経営者協会会長)金城会頭(那覇商工会議所)本永社長(沖縄電力)

懇親会では、宮城会長、金城会頭(元かりゆし塾塾長)、本永社長(元かりゆし塾塾長)と言葉を交わしました。

こういう場に、肩書きだけでは入れません。12年間、同じ現場で汗をかいてきた時間が、この距離を縮めてくれています。城間同窓会長をはじめ、この日のために奔走してくれた役員の皆さんの苦労と情熱が、100名を超える参加者の笑顔と熱気に変換されていました。

画像生成AIに、これは作れません。

城間同窓会会長(左から二人目)、歴代同窓会長の皆様

現場知工房の教訓:プロジェクターは、裏切る

AIはすごい。本当に便利です。私は今後も使い倒します。

しかし現場に出れば、「プロジェクターが古い」なんてことは日常茶飯事です。Wi-Fiが繋がらない、マイクが使えない、そもそも会場が変わっている。準備した通りにいかないことの方が、むしろ現実です。

ツールが機能しなくなった瞬間、最後に頼れるのは何か。

「伝えたい」という人間の情熱と、それを温かく受け止めてくれるコミュニティの存在。

12年かけて積み上げてきた「かりゆし塾」という場は、まさにそれでした。潰れたスライドを補って余りある最高の解像度が、あの夜の部屋を満たしていました。

AI武装も大事です。でも、やっぱり現場は面白い。備えながら、開き直る。その両方を持っていることが、これからのリーダーに必要な「現場知」ではないか。そんなことを、文字が潰れ見えづらいスクリーンを前にしながら、改めて確認した夜でした。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。 「現場知工房」では、AIと現場を行き来する泥臭い実践知を、これからも発信していきます。 フォロー・スキをいただけると、執筆の励みになります。


【参考:かりゆし塾とは?】
沖縄県経営者協会が主催する「かりゆし塾」は、企業・団体・行政の若手・中堅職員が混ざり合い、約半年かけて沖縄の地域活性化プランを立案・実行する官民交流型の人材育成研修です。地域活性化を担うリーダーの育成と、業界を超えたネットワーク作りを目的としています

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