【読書記録#8】イシューからはじめよ[改訂版] 知的生産の「シンプルな本質」
読書記録8冊目
読書記録#8は、安宅和人著『イシューからはじめよ[改訂版] 知的生産の「シンプルな本質」』
「イシュー」とは、答えを出すべき問い、つまり知的な生産活動の目的地となるものである。
本書の考え方は、まず解くべき問い(イシュー)を見極めること。
次にそれを答えの出せる大きさに分解し、話の順番を組み立てる。
最後に分析して、伝わる形に磨き上げるという流れである。
「悩む」と「考える」の違い
「悩む」と「考える」の違いについて考えたことはあるだろうか。
本書ではこの2つの言葉を区別して定義している。
「悩む」とは、答えが出ないという前提のもとで考えるフリをすること。
「考える」とは、答えが出るという前提のもとで建設的に考えを組み立てること。
同じように頭を使っていても、この2つはまったく別物である。
そして著者は、仕事において悩むことは無意味だと切り捨てている。
仕事とは何かを生み出すためのものであり、変化を生まないと分かっている活動に時間を使うのはムダでしかない。
この区別を意識していないと、悩むことを考えることだと取り違えたまま、時間だけが失われていく。
バリューのある仕事とは
バリューのある仕事は、2つの軸で決まってくる。
①イシュー度
その局面で、その問題に答えを出す必要性がどれだけ高いか。
②解の質
そのイシューに対して、どこまで明確に答えを出せているか。
この2つの軸は掛け算で考える。
どれだけ質の高い答えを出しても、そもそも答える必要のない問題であれば、価値はゼロに近い。
そのうえで著者は、世の中で「問題かもしれない」と言われていることの大半は、本当に取り組む必要がある問題ではないと述べている。
にもかかわらず、多くの人はイシュー度を問わないまま、労働量と根性で解の質だけを上げようとする。
本書ではこれを「犬の道」と呼ぶ。
量をこなした分だけ手応えは残るが、問いを選び直していない以上、いつまでも価値のある仕事には辿り着けない。
だから先にやるべきことは、イシュー度の高い問題に絞り込み、時間を浮かせることである。
よいイシューの3条件
それでは、何がよいイシューなのか。本書では3つの条件を挙げている。
①本質的な選択肢である
どちらに転ぶかによって、その先の判断が大きく変わるもの。
逆に、答えが出ても何も変わらない問いは「なんちゃってイシュー」であり、そこに時間をかけてはいけない。
②深い仮説がある
一般に信じられていることを並べ、そのなかに否定できるもの、異なる視点で説明できるものがないかを探す。あるいは、共通性・関係性・グルーピング・ルールといった「新しい構造」で世の中を説明できないかを考える。
③答えを出せる
どれほどカギとなる問いでも、答えを出す手段がなければ意味がない。
答えを出せる範囲で、もっともインパクトのある問いを選ぶ。
そして、イシューは言葉にして初めて輪郭を持つ。
言葉にすることで、自分が何と何の分岐点をはっきりさせようとしているのかが明確になる。
イシューを分解する
多くのイシューは、大きすぎてそのままでは答えが出せない。
そこで、答えを出せるサイズまで分解する。
分解された一つひとつを、サブイシューという。
たとえば事業のテーマであれば、どの領域を狙うべきか(WHERE)、どのような勝ちパターンを築くべきか(WHAT)、どう実現するか(HOW)という形に切り分ける。
そして、分解したサブイシューにも、それぞれ仮説を立てる。
もし仮説の見立てがなくても、強引にでもスタンスをとる。
イシュー・サブイシューの曖昧さを排するほど、必要な分析のイメージが明確になるからだ。
ストーリーラインと絵コンテ
次に、サブイシューをどの順番で並べれば言いたいことが伝わるかを考える。これが「ストーリーライン」である。
ストーリーラインの型は2つ紹介されている。
1つは「WHYの並び立て」
言いたいメッセージを、複数の理由で並列に支える形である。
もう1つは「空・雨・傘」
空を見上げて雲行きが怪しい(課題の確認)、ひと雨きそうだ(課題の深掘り)、だから傘を持っていこう(結論)という流れである。
そして、そのストーリーラインに沿って、必要な分析のイメージを並べたものが「絵コンテ」である。
分析する前に、どんな結果が出ればどう言えるのかまで描いてしまう。
ここが決まっていれば、分析は答え合わせの作業になる。
分析とは比較である
絵コンテづくりの第一歩は、軸を整理することだ。
「分析とは比較、すなわち比べること」というものだ。
分析と言われるものに共通するのは、フェアに対象同士を比べ、その違いを見ることだ。
「○○について調べる」では足りない。
「どのような軸で、どのような値を、どのように比較するか」まで具体的に設計する。
分析の大半を占める定量分析における比較は、比較・構成・変化の3種類しかない。
また分析は、原因側と結果側の掛け算で表現される。
軸を考えるとは、原因側で何を比べ、結果側で何を比べるのかを決めることである。
さいごに
本書では、課題解決を2つの型に分けている。
あるべき姿が明確で、そことのギャップを埋める「ギャップフィル型」。
そもそもどういう姿が望ましいのかを見極めるところから始める「ビジョン設定型」。
後者は世の中の課題解決の1割もないだろうとしつつ、
これこそがAI×データ時代に人間に求められる真の課題解決だと述べている。
そして仕上げの段階で求められるのは、「本質的」と「シンプル」の2つの視点だ。
複雑さは要らない。曖昧なものは排除する。
最終的なアウトプットで、イシューに沿ったメッセージを人に力強く伝えるということも大切なことなのである。
読書記録#9に続くことを祈っていただけると幸いである。
