『おもしろい』は、どこから始まるのか。
みなさんこんにちは、数学meganeです。
先日、ある方の記事を読んでいて、とても気になる考え方に出会いました。
その記事では、ある本に書かれていた授業についての考え方が紹介されていました。
授業を、次の4つに分けるというものです。
①たのしくてわかる
②たのしいがわからない
③たのしくなくてわからない
④たのしくないがわかる
これを見たとき、「えっ?」と、思わず手が止まりました。
特に驚いたのが、「たのしくないがわかる」が一番下だったことです。
さらに、その本の中では、このような状態を「悪しき人間改造」とまで表現しているそうです。
なかなか強烈な言葉です。
ただ、最初に書いておきたいことがあります。
私は、この考え方を否定したくてこの記事を書いているわけではありません。
むしろ、逆です。
自分の中にはなかった考え方だったからこそ、すごく気になりました。
「へえ、そう考えるのか。」
そして、「じゃあ、私はどう考えているんだろう?」と思ったのです。
自分とは違う考えに出会うと、自分の輪郭が少し見えることがあります。
今回は、この考え方をきっかけに、私が授業で大切にしていることについて、改めて考えてみたいと思います。
私は「まず全員ができる」を大切にしている
私はこれまで、「まず全員ができる」ということを大切にして授業をしてきました。
いきなり難しい問いを投げて、一部の生徒だけが活躍する。
それよりもまず、「あ、できた。」という経験を、できるだけ全員にさせたい。
だからといって、「できればそれでいい」と思っているわけではありません。
数学を学ぶ以上、「なぜ?」と考えてほしい。
「あ、そういうことか!」と分かってほしい。
そしてできることなら、「数学って、ちょっとおもしろいかも。」と思ってほしい。
では、なぜ私は、その入口に「できる」を置いているのか。
今回、改めて考えてみました。
私は、「できる」という入口を越えなければ、「おもしろい」にたどり着けない生徒がいると思っているからです。
できないものを「おもしろい」と思えるだろうか
もちろん、「分からないからこそ、おもしろい。」という人もいます。
難問を見るとワクワクする。
答えが分からないから考えたくなる。
そんな生徒もいます。
素晴らしいことです。
でも、教室にいるすべての生徒がそうでしょうか。
何をやっても分からない、問題を見ても手が動かない、周りの友達はどんどん進んでいる、先生が説明している言葉の意味も分からない。
そんな時間を何度も経験している生徒に、「数学っておもしろいよね。」と言っても、なかなかそうは思えないのではないでしょうか。
私はむしろ、「あ、できた。」が先にあっていいと思っています。
一問できる。
もう一問できる。
さっきできなかった問題までできるようになる。
すると、「あれ?俺、これできるやん。」が生まれる。
その瞬間、ほんの少しだけ数学との距離が縮まる。
「じゃあ、次もやってみようかな。」が生まれる。
次の問題に取り組む。
すると今度は、「あれ?さっきと何が違うんだ?」が生まれる。
そこで初めて、「なんで?」が出てくるかもしれない。
そして、「ああ、そういうことか。」にたどり着く。
私は、こういう学びの道筋もあると思っています。
「おもしろい→できる」だけではない
「楽しい授業」という言葉を聞くと、おもしろいから取り組む。
取り組むからできるようになる。
そんな方向をイメージすることがあります。
もちろん、そんな授業ができれば最高です。
でも私は、逆向きの矢印もあると思っています。
できる。だから、おもしろくなる。
数学では、むしろこの経験もかなりあるのではないでしょうか。
最初から因数分解が大好きな生徒ばかりではありません。
最初から方程式にワクワクする生徒ばかりでもありません。
「なんでこんなのやるの?」
「意味分からん。」
そんなところから始まることだってあります。
でも、できる。
またできる。
少し難しい問題もできる。
すると突然、「先生、これ簡単やん。」なんて言い始める。
そして、「もっと難しいのない?」になる。
最初からおもしろかったわけではありません。
できるようになったから、おもしろくなってきた。
私は、こういう変化を大切にしたいのです。
だから、私が目指しているのは、「おもしろくないができる」ではありません。
「最初はおもしろくなかった。でも、できるようになって、ちょっとおもしろくなってきたぞ。」です。
「できるまでの大変さ」は、悪いものなのか
そして、もう一つ考えたことがあります。
「できる」までの過程は、いつも楽しいとは限りません。
考えても分からない。
間違えて、もう一回やって、また間違える。
友達の考えを聞く。
もう一度、自分で考える。
ようやくできる。
結構、大変です。
でも私は、その大変さまで、すべてなくしてしまう必要はないと思っています。
むしろ、その大変さを越えたからこそ、「できた!」が大きくなることもある。
すぐにできた問題よりも、何度も考えてようやくできた問題の方が、「うわ、できた!」となることがあります。
数学のおもしろさは、いつも最初からそこにあるわけではない。
苦労して関わった先で、あとから立ち上がってくる「おもしろさ」もある。
私は、そう思っています。
「先生の授業、めっちゃ疲れる」
私の授業が終わったあと、生徒からよく言われる言葉があります。
「先生の授業、頭めっちゃ使うから、すごく疲れるのよね~。」
これを言われると、私は少しうれしくなります。
もちろん、「しんどいだけで何も残らない。」なら困ります(笑)。
でも、「今日、めちゃくちゃ頭使ったわ。」という意味なら、私にとっては褒め言葉です。
50分間、ずっと順調だったわけではない。
でも、50分間、脳が動いていた。
言ってみれば、脳が汗をかいている状態です。
私は、そんな授業が好きです。
そして思うのです。
「疲れた」と「つまらなかった」は、同じなのだろうか。
スポーツだってそうです。
全力で走れば疲れます。
本気で試合をすれば、ヘトヘトになります。
でも、「めちゃくちゃ疲れた。でも、おもしろかった。」は普通にあります。
数学だって、同じではないでしょうか。
「難しかった。」
「めっちゃ頭使った。」
「疲れた。」
でも、「なんか、おもしろかった。」
これらは、同時に存在していい。
むしろ私は、そんな授業に魅力を感じます。
100人が100人、同じ方向を向くだろうか
そもそも私たち教師が相手にしているのは、「人間」です。
数学が大好きな生徒もいる。
数学が嫌いな生徒もいる。
難しい問題ほど燃える生徒もいる。
簡単な問題から自信をつけたい生徒もいる。
友達と考えたい生徒もいる。
一人でじっくり考えたい生徒もいる。
同じ授業を受けても、「楽しかった!」という生徒もいれば、「難しかった。」という生徒もいる。
「もっとやりたい。」という生徒もいれば、「今日は疲れた。」という生徒もいる。
100人いたとして、100人全員が、同じところで、同じように、「楽しい!」と思う。
果たして、そんなことが可能でしょうか。
私は難しいと思います。
でも、だからといって、「人それぞれだから仕方ない。」で終わりたくもありません。
授業をする以上、その50分は生徒にとって有意義な時間であってほしい。
だから教師は考えるのだと思います。
何を入口にするのか。
どこまで支えるのか。
どこで手を離すのか。
何を考えさせるのか。
何を教えるのか。
「できる」を先にするのか。
「わかる」を先にするのか。
「おもしろい」をどこに置くのか。
きっと、いろいろな考え方があります。
だからこそ、授業はおもしろい。
そして私は、「まず全員ができる」から始めたい。
今のところ、そう考えています。
「できる」は、ゴールではなく入口
今回、まったく違う考え方に出会ったことで、自分がなぜ「まず全員ができる」を大切にしているのか、
少し分かったような気がします。
私は、「できる生徒」をつくりたいだけではありません。
「できる」を入口にして、その先に進んでほしいのです。
できる。
もう一問やってみる。
さらにもう一問。
そして、違いに気づく。
だから、「なぜ?」が生まれる。
そして「なぜ?」を考える。
だから、少しずつ分かってくる。
だから、おもしろくなる。
だから、またやってみたくなる。
もちろん、すべての生徒がこんなきれいな道筋をたどるわけではありません。
そんなに簡単なら、授業で悩むこともありません。
人間を相手にするというのは、きっとそういうことなのだと思います。
だから私は、これからも悩むのだと思います。
「今日は足場をかけすぎたかな。」
「もう少し任せてもよかったかな。」
「この子には、最初の一問が難しすぎたかな。」
そんなことを考えながら、また次の授業をつくる。
そして、「あ、できた。」という瞬間を、できるだけ多くの生徒につくりたい。
なぜなら私は、その先に、「もう一問。」があると思っているから。
その先に、「なんで?」があると思っているから。
そして、そのさらに先に、「数学って、ちょっとおもしろいかも。」があると思っているから。
私が目指したいのは、「おもしろくないができる」授業ではありません。
「最初はおもしろくなかった。
でも、できるようになったら、なんかちょっとおもしろくなってきたぞ。」
そんな授業です。
だから私はこれからも、「まず全員ができる」を大切にしていきたいと思います。
「できる」は、ゴールではない。
その先にある「わかる」や「おもしろい」に向かうための、私なりの入口です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
このnoteでは、
・授業でそのまま使える教材・授業展開
・思考力を育てる問題
・実際の授業実践、指導のコツ
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を中心に発信していきます。
忙しい中でも「これなら使える」と思ってもらえるような、現場目線の即戦力になるような教材を届けたいと思っています。
