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「聞き書き青春記」㉔セールスウーマン1

「ぼくの母もそうでした」
D君が話し始めた。Aさんに張り合うつもりらしい。
「玄関を開けると、母が何かを手に若い女性と話をしている。2人とも少し驚いたようだった。相手はセールスウーマンというところか。ぼくが部屋に入ると、聞こえてきた。『だめ?』『・・・』はあ、と母のため息が聞こえ、ドアの閉まる音がした。変な感じがしました。前にもこんなことがあったような・・・。『またかよー』ぼくは部屋を飛び出して母に詰め寄りました」
Aさんは先が読めたのか、ビールを手にニヤニヤしていました。
「何かを買ってはセールスの人と話し込んでたんですよ。母はコミュニケーションの達人。セールスマンやセールしウーマンにひけは取らなかった。母は何をしていたと思います?え、違いますよ。母は、ぼくを売り込んでたんですよ。息子が不甲斐ないもんだから、業を煮やしたんです」
私の中では、不安が先に立ってどんどん歩いて行きます。
「『だって、いい娘だから・・・、今度はうまくいくと思ったんだけどねえ・・・』確かに玄関を入った時、チラ見したんですが、かわいい子でした。正直言って好みでした。でも、男子の沽券に関わること、断固として言いました。『余計なことはするな』と」
Aさんも私も、涙を浮かべて言いました。「いいお母さんですねえ」と。
「ところが、それだけでは終わらなかったんです」
話はクライマックスに差し掛かっていました。

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