趣味趣味おじさんのエッセイ第19回「私の音楽グラフティー⑬」
「私のクラシック時代」
私には子供が二人いるのだが、上の子が三歳になった頃、なにか楽器でも弾けたらいいねと軽い気持ちで息子に聞いた。何を思ったのか「ヴァイオリンやりたい」と言い出した。私の周りでヴァイオリンを弾く人いたかな?「いた、俺のおじいちゃん、三年前に死んでる」「いや、隔・隔世遺伝だ」「そんな馬鹿な・・・」一番目の子供に期待するのは世の習いである。
三歳からだから、トータル十五年間、毎週一回、片道五十分、雨の日も、雪の日もヴァイオリンの先生の所へ通ったのである。厳しい先生だった。とにかく厳しかった。レッスン室の中は怒号と泣き声が渦巻いていた。
息子は大の練習嫌いだ。家では家内が楽器を弾けないながらも、家庭では先生役を務めた。この先生も厳しかった。家内から罵声と怒号を浴びながらも、練習もせずにレッスンに臨むのである。そして、息子はじっと黙秘権を行使するのである。私も思わず首を垂れるのであった。
息子が十五年間で学んだことはベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第五番
「春」、葉加瀬太郎の「情熱大陸のテーマ」と「忍耐力」だった。
素質はあるとの先生の見たてだったが、結局営業トークみたいだった。毎週仕事が終わってから息子が罵声を浴びるのを耐え忍ぶのも疲れるものである。
しかし、息子はレッスンに行かないとは決して言わなかった。争いごとの嫌いな息子は波風立てるよりは我慢する方を選んだのだろう。レッスンが続いたのは学習塾と同じで継続こそが力という家内の信念の方が強かったからだろう。わたしは素質がないものはすぐやめて別な道を選んだほうがいいと思っていたのだが・・・
息子はレッスンが終了することを聞いてから、一度もヴァイオリンを弾いていないのである。ヴァイオリンは成長に合わせて買い換えないといけない。ピアノは一回買えば一生ものである。最後のヴァイオリンは結構値がした記憶がある。それが一度も弾かれないのである。私は密かにメルカリを考えているのだが、息子はいつか弾くかもと首を縦に振らない。
今日は私ではなく「息子のクラシック時代」になってしまいました。悪しからず。
今日の落穂拾い(4)
あまりにも有名なので気が引けましたが
「ザ・ビートルズ アビー・ロード(1969)」

実質ザ・ビートルズ最後のアルバムである。一曲目の「カム・トゥゲザー」からジョンのロック全開である。これを聴くとみのもんたが文化放送時代にこの曲をバックに「みの、みの、もんた~、みの、もんた」と軽妙に出てくる番組を思い出す。
以前、ビートルズの最高傑作は?とアンケートを取ると「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」が一位だったそうだが、今は「アビー・ロード」が一位だそうだ。私もこのアルバムが一番だと思う。「サージェント~」ではジョンの曲が少なく、ファンには申し訳ないが、ポールの捨て曲が多すぎる。ジョンがメインに作った「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」が最後に控えているから恰好がついているだけである。
ジョージの傑作「サムシング」、「ヒヤー・カムズ・ザ・サン」超美しいハーモニーが聴ける「ビコーズ」ジョン流ブルースの解釈と世の中のブルースブームを皮肉った「アイ・ウォント・ユー」など捨て曲なしの傑作である。
「サージェント~」以降ポールの発言力が大きくなるにつれて、ジョンがやる気をなくしてきた。ジョンが本気を出すとこんなもんだぞと我々に伝えてくれているような感じがする。
やはりザ・ビートルズはジョンとポールの二人がそろった時が最高だと思う。B面の後半のメドレーでつなぐところも以降の他のミュージシャンに影響を与えている。リンゴ唯一のドラムソロ、三人によるギターバトルと聴きどころ満載である。
つづく
いつもの〆の一首
「アビー・ロード、ロックの聖地、とするなら、我が家の聖地、母の歌声」
「2026年9月16日 記」
