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「銀行が面倒」という不満を、Appleはどう最高の体験に変えたのか? | 海外事例から読み解く「日本のエンベデッド・ファイナンス」 Vol.1

皆さん、こんにちは。GeNiE代表の齊藤です。
今日から新しい連載をスタートします! この連載では、僕が日々注目している「世界のエンベデッド・ファイナンス(組込型金融)」の事例を、その国の文化や環境と一緒にひも解いていこうと思います。
記念すべき第1回は、やっぱりここ。アメリカです。


「Apple Card」はなぜあんなにカッコいいのか?

アメリカのエンベデッド・ファイナンスを語る上で、絶対に外せないのが「Apple Card」ですよね。
チタン製のスタイリッシュな物理カードにiPhoneのWalletアプリとの完璧な連動……。
発表された時、僕も「これだよ、これ!」と唸りました。
でも、本質は見た目のカッコよさじゃありません。
銀行とやり取りしている感覚をゼロにしたこと」なんです。

通常、クレジットカードを作るときは、必要な事項を入力して、審査を待って……という面倒なプロセスがありますよね。しかしApple Cardは、iPhoneの中で、数分で完結し、その瞬間から使えるようになります。

実は裏側では伝統的な銀行(ゴールドマン・サックスなど)が動いているのですが、ユーザーはそんなこと一ミリも意識しません。
まさに「金融が体験に溶け込んでいる」状態。 これこそが、エンベデッド・ファイナンスの理想形の一つです。

なぜアメリカでこれが進むのか?

「それはアメリカだからでしょ?」と思うかもしれませんが、背景には明確な理由が2つあります。

1. 「信用(クレジット)」が社会のOSになっている

アメリカは「クレジットスコア」が全て。国民が自分自身の信用スコアを当たり前に認識しており、社会インフラになっています。このスコアさえベースにあれば、テック企業が融資を提案するハードルが日本よりずっと低いのです。

2. 銀行への「不満」がガソリンになった

実はアメリカ人は、伝統的な銀行に対して「手数料が高い」「手続きが遅い」という不満を長年抱えていました。そこにAppleやAmazonのような「使い勝手最高のスター」が現れたことで、信頼の対象が銀行からテック企業へシフトしやすい土壌ができていたのです。

僕たちが目指すべきところ

さて、翻って日本はどうでしょう?
日本は銀行への信頼がものすごく厚い国です。これは素晴らしい強みです。
でも一方で、「金融は銀行の窓口やアプリでやるもの」という固定観念も強いですよね。
アメリカのように「銀行を倒す」のではなく、「銀行の信頼」と「サービス企業の使いやすさ」を、GeNiEのような黒子が裏側でガッチリつなぎ合わせる。
「気づいたら、このアプリで買い物も支払いも、ローンの契約も完結してた。便利だな」
そんな風に、ユーザーが比較検討などの難しいことを考えずに済む世界を作りたい。ユーザーの「不便」を解消し、これまで煩雑だった金融と生活の橋渡しを心地いいものに変えていく。
アメリカの事例を見ていると、日本なりの「心地いい金融」のヒントが、まだまだたくさん転がっていると感じます。

おわりに

「便利」の裏側には、必ず「面倒」を肩代わりする技術があります。 
僕たちは、その一番面倒でカッコ悪い部分を、最高にスマートに解決するプロでありたいと思っています。
次は、スマホ一つで国が変わった「東南アジア編」をお届けします。
どうぞお楽しみに!



執筆者:齊藤雄一郎 (さいとう ゆういちろう)
GeNiE株式会社 代表取締役。
2005年、アコム株式会社に新卒入社。経営企画やマーケティング業務での責任者を経験し、2022年アコム株式会社の社内起業家としてGeNiE株式会社を設立。 エンベデッド・ファイナンスを通じて、新たな “信用のカタチ”をデザインする「マネーのランプ」を提供中。