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良い曲しか作れない呪いをかけられた男、五十嵐隆。

syrup16g(シロップ16グラム)は、専門学校で知り合った五十嵐隆(Vo.)、中畑大樹(Dr.)、佐藤元章(Ba.)によって1996年に結成されたスリーピースロックバンド。

インディーズでの精力的なライブ活動を経て、1999年に1stミニアルバム『Free Throw』をリリース。
とりわけ2001年リリースの1stフルアルバム『COPY』が音楽ファンの間で話題を呼ぶ。

生活(2001)/ syrup16g

パッチワーク(2001)/ syrup16g

土曜日(2001)/ syrup16g


2002年に日本コロムビアと契約し、アルバム『coup d'Etat(2002)』でメジャーデビュー。

同時期に佐藤元章が(腰痛の悪化のため)脱退し、サポートメンバーだったキタダマキ(Ba.)が正式メンバーとして加入。

My Love's Sold(2002)/ syrup16g

生きたいよ(2002)/ syrup16g


syrup16gはザ・ポリス、ザ・スミス、ザ・キュアーといった英国ニューウェイヴ影響下のロックサウンドに、グランジ由来のノイジーなダウナー感がブレンドされた独自の音楽性でコアなロックリスナー層から支持を集めた。
BUMP OF CHICKENやART-SCHOOLらと共に、2000年代初頭の下北沢周辺のインディーシーンのトンマナを決定付けたバンドの1つであり、盟友の藤原基央や木下理樹はもちろん、藤巻亮太(レミオロメン)、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、ホリエアツシ(ストレイテナー)、大木伸夫(ACIDMAN)、尾崎世界観(クリープハイプ)、果てはあのちゃんに至るまでファンや影響を公言するミュージシャンは挙げればキリがない。

特にBUMP OF CHICKENとの親しい間柄が周知されて以降は、素直でうら若きバンプファン達を、ハイラインレコーズ界隈の下北ギターロックの沼に引き摺り込むゲートウェイバンドとしての役割を担った。syrup16g聴いてART-SCHOOL聴いてBURGER NUDS聴いて、みたいな。
それまでミスチルとスピッツとバンプだけで充分満足してたのに、syrup16gを知ったせいでROCK IN JAPANのラインナップを毎年チェックするような特異体質になってしまった、という被害者も数知れない。被害者代表として褒めてます。


メジャーで通算5枚のアルバムをリリースし2008年に一度解散するが、2014年に再結成を果たし、現在も鋭意活動中である。

センチメンタル(2002)/ syrup16g

Reborn(2002)/ syrup16g

吐く血(2003)/ syrup16g


フロントマンの五十嵐隆は、作詞作曲はもちろんアレンジャーとしてもsyrup16gの全楽曲に関わっており、オルタナマナーを踏襲したロックミュージシャンでありながら、桜井和寿を唸らせる(『Reborn(2002)』のカヴァーを度々披露)ほどメロディメイカーとしても一線級で、次々とキャッチーな主旋律を生み出す「作曲家」としての才能も特段に際立っている。
そう言う意味でやっぱりちょっとビリー・コーガンと被るんだよな五十嵐隆って。

タクシードライバー・ブラインドネス(2003)/ syrup16g

夢(2003)/ syrup16g

イマジン(2003)/ syrup16g

I・N・M(2004)/ syrup16g

さくら(2008)/ syrup16g

冷たい掌(2015)/ syrup16g


五十嵐隆はおそらく幼少期、学校の帰り道の通学路で、通りすがりの魔女に呪いをかけられた。

「次々と良いメロディが浮かんでくる」才能の代償として「暗い歌詞しか書けない」という呪い。

ちなみに1980年代のイギリスで同じ呪いにかかっていたのがモリッシーである。

そんなわけで方々で「鬱ロック」みたいな評され方もするsyrup16gだが、五十嵐隆の書く歌詞は、センテンスとして意味が立ち上がってきた時点ではペシミスティックな印象を受けるが、選ぶ言葉の一つ一つは彼自身の美意識が反映された上品さを纏っている。離れて見るとダークアートなのによく見たらビーズ絵みたいな歌詞を書く人である。
なのでsyrup16gの音楽を聴いていても、不思議と聴き手が完全な悲観に侵食されることがない。


syrup16gそして五十嵐隆は、この世のあらゆる内なる地獄を、美しいメロディと言葉の力で凌駕する術を示してくれる存在である。

明日を落としても(1999)/ syrup16g

イマジネーション(2008)/ syrup16g

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